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山歩きと経営

先日、ちょっとした山歩きをしてきました。

横浜市南部の栄区から、山の中の道をぬけて鎌倉市に至るハイキングコースです。

「鎌倉アルプス」なんて大層なネーミングの山道をとぼとぼ歩いている中で、経営と山歩きは似ている点があるな、と感じましたのでそれを共有させてください。


山歩きの注意点

鎌倉アルプスはハイキングコースとして設定されていますが、登山道として整備されていない部分も多く、段差があったり、木の根が出ていたり、道の横が崖になっていたりして、ハイキングコースとはいえ危険な場所がいくつもあるのです。

気楽な気持ちで歩いていると足を挫いたり、崖からすべり落ちてしまう可能性もあります。

私は、何度か木の根に躓いているうちに、しっかりと足元を確認しながら、一歩一歩踏みしめる様に進んでいくようにしていきました。

ところが、足元を確認するために下を見ながら前を進んでいると、今度は行き先を見失ってしまうのです。

正式な登山道ではない部分もあるので、どこに進むのかがはっきりしないところがあります。

そのための目印として、木の合間から時折みえる頂上の鉄塔の先端を、確認しながら進むと迷子にはならずにすむのですが、木々の間から時折見えるだけなので、足元ばかり見ていると見逃してしまうのです。

平日で人も疎らな状況だと、本当に迷子になってしまうこともあります。


成り行き経営の先には

私は、足元を一歩一歩確認しながら、時折見える鉄塔で進む道を確認しながら、無事鎌倉までたどり着くことができました。

そして歩きながら、山歩きは経営ととても似ているなと考えていました。

経営においては、日々の課題に追われる毎日が続きます。

現場を良く見て、目の前のことに集中していくことが求められます。

多くの中小企業経営者、ベンチャー起業家は、目の前のことに忙殺されて毎日を過ごしているのではないでしょうか。

しかし、目の前の事だけをみていると、自分たちがどこに向かって進んでいるのかが不明確になってしまいます。

一所懸命に経営に取り組んでいても、あっという間に一年、二年、三年が経過し会社のステージは変わらないままということになりかねません。

日々の業務に対応していくだけの成り行き経営では、会社はなかなか良くはなっていかないのです。


ビジョンだけを追いかけると

大切なのは、自分達がめざす頂上をしっかり確認しながら進んでいくことです。

10年後のありたい姿をビジョンとして明確に描きながら、そこに向かって一歩一歩進んでいくことです。

10年後のビジョンを掲げることで、進むべき方向がはっきりと確認できます。

ところが、たまにあるケースとして、ワクワクする将来のビジョンにとらわれるあまり、現状の業務、現場への意識が希薄なってしまうということがあります。

社員や取引先にたいして壮大な夢を語る一方、現場の日々の業務はボロボロというケースです。

これではビジネスはいずれ立ち行かなくなります。

当たり前のことですが、日々の業務が大事であり、ビジョンだけを語っていても会社は良くはならないのです。


まとめ

大事なのは、将来の自分達の目指す姿をしっかりと定めて確認しながら、日々現場にしっかりと向き合って毎日の業務に邁進していくことです。

大企業では、長期のビジョンを考える部門と、日々の業務に集中する部門の役割が分かれているので、それほど問題はないですが、中小企業においては、経営者が将来のビジョンと日々の実践をバランス良く考えることが大切です。

まさに、登山のように頂上を見据え、そこに至る道筋を確認し足元を確認しながら、一歩一歩踏みしめていく、このような経営が求められているのです。

湯澤 剛
湯澤 剛
大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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