2026/01/27

1on1ミーティング

受け身で終わる1on1から抜け出すための、部下向け「1on1の受け方教育」とは

1on1がうまくいかないとき、多くの企業ではまず「上司側の関わり方」に目が向きます。

質問力が弱いのではないか。
傾聴が足りないのではないか。
フィードバックが適切でないのではないか。

こうした視点は確かに重要です。

一方で、上司側の改善を重ねても、1on1がどこか噛み合わないまま続いている企業も少なくありません。

その背景には、メンティ(部下)側の「受け方」が揃っていないという構造があります。

この記事では、部下が受け身で終わってしまう1on1が、どのように生まれているのかを整理しながら、「部下向け1on1の受け方教育」という打ち手の位置づけを考えていきます。

この記事で扱うこと

✅ メンティ(部下)が1on1をどう「受け取ってしまっているか」という前提の整理
✅ 受け身で終わる1on1が生まれやすい構造と、その見えにくいズレ
✅ メンティ側に必要な「1on1の受け方」の共通認識

この記事は以下のような方におすすめ

✅ 上司側の改善だけでは1on1に限界を感じている方
✅ 若手・部下が1on1で受け身になってしまう理由を整理したい方
✅ 部下向けに1on1の受け方を揃える必要性を感じている方


なぜ1on1は「受け身で終わってしまう」のか

受け身な1on1は、必ずしも部下の意欲や姿勢の問題から生まれるわけではありません。多くの場合、部下は1on1を「何を求められている場なのか分からないまま」迎えています。

日常の業務会話と同じ延長線上で捉えている部下もいれば、評価や指導の場だと身構えている部下もいます。

こうした認識のばらつきがある状態では、どれだけ上司が工夫しても、対話は表面的になりやすくなります。

受け身で終わる1on1は、「個人の問題」ではなく、前提が共有されていない構造から生まれているのです。

メンティが1on1で感じやすい「違和感」と「警戒」

1on1の場では、上司が日常会話ではしないような質問を投げかけることがあります。

将来についてどう考えているか。
最近、何に悩んでいるか。
仕事の意味をどう捉えているか。

こうした問いは、1on1では自然なものです。しかし、事前に説明がない場合、部下にとっては違和感のある問いになります。

「なぜ今それを聞かれるのか分からない」。
「評価につながるのではないか」。
「正解を言わなければならないのではないか」。

こうした警戒心が生まれると、部下は無意識のうちに、当たり障りのない受け答えを選ぶようになります。結果として、1on1は深まらず、受け身な時間として消化されていきます。

「理解されていない1on1」で起きていること

1on1の目的や価値、どのような対話が想定されているのかが共有されていない場合、現場では次のようなことが起きやすくなります。

✅ 上司の問いの意図が分からず、無難な回答に終始する
✅ 本音を話す場なのか判断できず、様子見が続く
✅ 毎回の1on1が「何となく話す時間」になる

これらは、部下が怠慢だから起きているわけではありません。1on1という場そのものを、どう受け取ればよいのか分からない状態で、参加しているだけなのです。

実際に、管理職向けの対話スキル向上の取り組みを行った際、多くの管理職から次のような声が聞かれました。

「このトレーニングを通じて、私たちは1on1の目的や価値を十分に感じることができた。
でも、部下たちが同じように1on1に臨んでくれるのかが不安だ」。

管理職自身は、1on1を意味のある対話の時間として理解できている。一方で、部下側がその前提を共有していないまま1on1に臨めば、対話が噛み合わなくなるのは自然なことです。

このとき起きているのは、スキル不足ではなく、上司と部下の前提理解の非対称です。

メンティに必要なのは「スキル」よりも「受け方の前提」

部下側の課題を語るとき、「自己開示力を高めるべきだ」「発言力をつけるべきだ」といった議論になりがちです。しかし、大切なポイントはそこではありません。

重要なのは、部下が次のような前提を理解しているかどうかです。

✅ 1on1は何のための時間なのか。
✅ 上司はどのようなスタンスで関わってくるのか。
✅ 1on1を自分にどのようなメリットがあるのか。

これらが分からないままでは、どれだけスキルを求めても、部下は動きようがありません。

また、部下向けの1on1受け方教育は、部下のためだけの施策ではありません。

管理職が


「この問いを投げかけて大丈夫だろうか」。
「どう受け取られるだろうか」。

と迷いながら1on1に臨んでいる状態では、対話はどうしても浅くなります。

部下が1on1をどう理解しているのか。その前提が揃っているかどうかは、管理職が安心して関われるかどうかにも直結します。

「受け方の教育」とは、部下に何かをうまく話させるためのものではなく、安心して参加できる前提を揃えることなのです。

「受け方」を揃えるという打ち手の位置づけ

では、部下向けの1on1受け方教育は、誰のための施策なのでしょうか。

それは、次の三者すべてに関わる打ち手です。

✅ 部下が1on1をどう受け取ればよいか判断できるようにするため
✅ 管理職が迷わず問いを投げ、対話に集中できるようにするため
✅ 1on1という仕組み全体の効果を高めるため

どちらか一方のための施策ではありません。上司と部下の間にある前提のズレを減らし、1on1が機能する条件を整えること。それが、部下向け「1on1の受け方教育」の本質的な役割です。

ここで重要なのは、「どう設計するか」「どう実施するか」ではありません。まず、なぜ前提を揃える必要があるのかを、組織として理解できているかどうかです。

まとめ

✅ 受け身な1on1は、部下の姿勢ではなく前提の不一致から生まれやすい
✅ 部下向けの受け方整理は、管理職の不安を和らげる意味も持つ
✅ 上司と部下の前提を揃えることが、1on1全体の効果を支えている

自社の1on1は、部下にとって、管理職にとって、どのような場として受け取られているでしょうか。

次のフェーズでは、こうした前提をどのように現場に根づかせていくのかを、別の観点から整理していくことになります。

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