2026/01/23

1on1ミーティング

1on1が定着している企業が共通して踏んでいる4つの段階 〜 他社事例から整理する進め方の全体像

1on1研修を導入しようと検討を進める中で、「研修は実施したのに、現場があまり変わらなかった」という話を耳にすることがあります。

この問題は、研修内容の細かな良し悪し以前に、最初の研修の設計段階で結果がほぼ決まってしまっている ことが少なくありません。

本記事では、1on1研修を導入する企業が、最初の研修で必ず押さえておきたい2つの条件 に焦点を当てて整理します。

この記事で扱うこと

✅ 1on1が定着し、機能している企業がどのような段階を踏んでいるか
✅ 複数の他社事例をもとに整理した、共通する進め方の全体像
✅ 成果が出るまでに、各段階で何が起きていたのか

この記事は以下のような方におすすめ

✅ 他社の1on1の取組みを参考にしたいが、自社との違いが判断できていない
✅ 1on1を進めているものの、今のやり方が正しい順序なのか不安がある
✅ 次にどんな打ち手を検討すべきか、全体像から考えたい


他社の1on1事例を読んでも、「参考になるようで、結局どう自社に当てはめればいいのか分からない」そう感じる担当者は少なくありません。

その理由は、事例の内容が悪いからでも、自社のレベルが低いからでもありません。

多くの場合、自社と他社で“置かれている段階”が違うまま比較してしまっていることに原因があります。

この記事では、複数の企業事例を横断して見えてきた、1on1が定着している企業に共通する「進み方の段階」を整理します。

やり方やノウハウではなく、どんな順序で、どんな壁にぶつかってきたのか。その全体像を確認することを目的とします。

なぜ他社の1on1事例は、そのまま真似してもうまくいかないのか

事例記事を読むと、成果が出ている状態だけが切り取られて見えることがあります。しかし実際には、どの企業も最初からうまくいっていたわけではありません。

違いを生んでいるのは、「優れた施策」ではなく、どの段階で、何に直面し、どう乗り越えてきたかです。

段階が違えば、同じ取り組みでも意味合いは大きく変わります。その前提を揃えないまま比較してしまうことが、「参考にしたのに活かせない」状態を生んでいます。

1on1が定着している企業が共通して踏んでいた4つの段階

他社事例を構造的に整理すると、多くの企業が次の4つの段階を行き来していることが分かります。

✅ 【まずは始めてみた期】
✅ 【手応えと課題の発見期】
✅ 【良質1on1メンター増加期】
✅ 【実施率の維持と定着努力期】

重要なのは、この4段階が一直線に進む成長モデルではないという点です。部署ごとに段階が異なったり、複数の段階が同時に存在したりすることも珍しくありません。

第1段階|【まずは始めてみた期】に組織の中で起きていること

この段階では、とにかく1on1が「始まった」状態にあります。目的や意味づけは揃っていなくても、面談の予定が入り、上司と部下が時間を取って話し始めています。

現場では、「これで合っているのか分からない」「正直、手応えはまだない」といった声が出やすい時期です。

しかし、多くの企業事例を見ると、この段階での違和感は失敗ではありません。後の改善につながる材料が、ここで初めて集まり始めています。

第2段階|【手応えと課題の発見期】で必ず直面する壁

1on1を続けていくと、一部の現場で「少し良くなってきた」という声が出始めます。同時に、管理職ごとの差もはっきり見えてきます。

この段階で多くの企業が直面する大きな課題は、管理職の1on1スキルのばらつきです。

✅ 話が広がる人と、すぐ業務指示に戻る人
✅ 部下の話を引き出せる人と、沈黙が続く人

こうした差が可視化され、「このままでいいのか」という問題意識が生まれます。ここでは、解決策そのものよりも、課題として正しく認識されることが重要な転換点になります。

第3段階|【良質1on1メンター増加期】に企業が行っていること

課題が明確になると、一部の企業では次の動きが始まります。それは、全員を一気に変えようとするのではなく、良質な1on1を実践できる管理職を増やしていくという取り組みです。

この段階では、社内にロールモデルとなる存在が生まれ始めます。

✅ 「あの人の部下は1on1に積極的に取り組んでいる」
✅ 「困ったときに相談できる」

こうした認識が、少しずつ組織の中に広がっていきます。

第4段階|【実施率の維持と定着努力期】に入った企業の特徴

良質な1on1が実施されるようになると、次に浮上するのが「実施率をどう保つか」という課題です。異動や昇格、新任管理職の増加によって、1on1の前提条件は常に変わります。

この段階にたどり着いた企業の特徴は、第3段階の取り組みをやめていないことです。実施率の維持と並行して、新たな管理職に対しても、良質な1on1が実施できるような施策を行なっています。

定着はゴールではなく、継続的な調整が必要な状態として扱われています。

4つの段階は、同時並行・行き来するものとして捉える

実際の企業では、4つの段階がきれいに分かれて存在することはほとんどありません。

✅ ある部署は第2段階
✅ 別の部署は第3段階
✅ その他の部署は第1段階

といったように、複数の段階が同時に進行しています。

大切なのは、「今どこか」を正確に決めることではなく、どんな課題が前に現れているかを把握することです。

まとめ:他社事例は「答え」ではなく「現在地確認」に使う

✅ 4つの段階は、正解を示すモデルではなく整理のための枠組み
✅ 課題の質は、段階によって大きく変わる
✅ 他社事例は、自社の次の論点を見つけるために活用する

他社がどこまで進んでいるかよりも、自社が今どの段階にあり、何が見え始めているか。

それを判断できる状態をつくることが、次の打ち手を考えるための出発点になります。

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