2025/06/23

1on1ミーティング

1on1が変わる心理的安全性の力

「うちの1on1、正直あまり意味を感じないんです」
そんな声を聞くことはありませんか?

定期的な1on1の導入が進む一方で、その本質が置き去りにされ、形骸化してしまうケースも少なくありません。その背景には、話の中身や頻度以前に、「心理的安全性」という土台があるかどうかが大きく関わっています。

1on1が機能しているか。それは、部下が「この場では安心して本音を話せる」と感じられるかにかかっています。つまり、心理的安全性の担保はリーダーの責任であり、その鍵は“信頼”という関係性の質にあるのです。

なぜ「心理的安全性」が1on1に不可欠なのか?

心理的安全性とは、「チームの中で自分らしくいられる」「間違いや弱みをさらけ出しても否定されない」という感覚のこと。Googleのリサーチでも、高パフォーマンスが上がっているチームに共通する要素として注目されてきました。

1on1は、部下の話を引き出し、共に考えるための貴重な対話の場。その中で、もし部下が「どう思われるかが気になって本音を言えない」のであれば、1on1は単なる報告の時間に成り下がります。

心理的安全性が担保されて初めて、学びや気づき、関係性の進化が生まれるのです。

「信頼」はリーダーから始まる

心理的安全性は、相互の信頼関係の上にしか築かれません。そして、その第一歩は、リーダー自身が“信頼を差し出すこと”です。

例えば、1on1でこんな問いかけをしていないでしょうか?

「最近、何か困ってることはない?」

「何か改善してほしいことある?」

一見よさそうに見える問いも、関係性ができていなければ「様子伺い」や「監視」と受け取られる可能性があります。


それよりも、まずはリーダー自身が「最近こんなことで悩んだ」「自分にも課題がある」といった“開示”をすることで、部下の安心感を生むことができます。

信頼される前に、信頼する。この順番が重要です。

多様性と個別性への配慮が、1on1の質を高める

心理的安全性を語るとき、もうひとつ意識したいのが「部下一人ひとりの感じ方は違う」という視点です。
性格、経験、文化的背景、現在のコンディション——それぞれの違いが、安心できる“条件”を変えます。

つまり、型通りの1on1では限界があるということです。
ある人にとっては「話を遮らないこと」が安心であり、別の人にとっては「時間を厳密に守ること」が安心だったりします。

リーダーに求められるのは、個別性への観察と配慮です。小さな気づきや態度が、大きな信頼につながります。

まとめ──対話を育てるのは、信頼という土壌

心理的安全性は、テクニックではなく関係性の中で育まれるものです。
1on1を「行う」こと自体が目的になっていないか、ぜひ立ち止まって見直してみてください。

信頼は一朝一夕には築けません。しかし、日々の関わりの積み重ねでしか生まれないからこそ、リーダーの在り方が問われます。


本音が出る場には、必ず信頼があります。
そしてその信頼は、まず「安心できるあなた」がいることから始まるのです。

執筆:田部井 茉里 メンター

リーダーとして信頼を生む1on1に興味のある方は、以下ご参照ください。
管理職の1on1面談スキルを高める「1on1実践トレーニング®︎」ご紹介ページ

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