CASE
導入事例

グループリフレクションでエンゲージメントを高めたい

株式会社 山本山
代表取締役社長
山本 奈未
 
事業内容
株式会社山本山は、1690年に創業したお茶と海苔を販売する老舗企業。江戸期には初めて煎茶を販売したほか、「狭山茶」の普及にも尽力し、六代目当主は「玉露」を発明するなど、お茶文化の普及に寄与。現在は全国から厳選したお茶と海苔を販売するだけでなく、お茶や海苔を使ったスイーツ商品なども企画・販売している。
 

導入前の課題

  • 社員の成長を促し、事業のさらなる成長に繋げたい
  • 社員の熱量や会社への愛着、挑戦や相互尊重を高めたい(エンゲージメントの向上)
 

導入サービス

  • グループリフレクション ファシリテータ入門研修
  • グループリフレクション体験セッション
 

導入後の効果

  • 社員間のコミュニケーションの質が向上した
  • 次ステップとして、仕事の成果に繋げるグループリフレクションに取組中
 
従業員エンゲージメントを高めるために、1on1ミーティングを導入する企業は少なくありません。しかし、管理職の負荷が増えることや、上司と部下の相性、雑談になってしまうのではないかという懸念から、1on1ミーティング以外の方法で取組みを開始するケースもあります。

2023年に、創業333年を迎えた株式会社山本山は、新社長の就任とともに、エンゲージメント向上のための取組みを開始し、1on1ミーティングの導入の前段階として、「グループリフレクション」を導入することにしました。

グループリフレクション(Group Reflection)とは、グループ内のメンバーが共同で過去の経験や活動を振り返り、そのプロセスや結果について考察し、理解を深めることを指します。このプロセスは、グループのパフォーマンス向上、個々のメンバーの学習促進、およびグループ内のコミュニケーションや協力関係の強化に役立ちます。

山本山では、グループリフレクションのファシリテーターは、新社長を含む4名の役員がそれぞれ担当することになりました。2024年1月に、弊社の研修プログラムである、「グループリフレクション入門研修」と「グループリフレクション体験セッション」を役員向けに実施し、以降、社内では全社員を5名ずつのグループに分けて、グループリフレクションがスタートしています。

1回目のグループリフレクションが終了した時点で、弊社代表の林 英利が、山本奈未社長にインタビューを行いました。

社員とのランチミーティングで関係を深める

社長就任の直後に行ったこと

林(JRLA):2023年10月に日本法人の代表取締役社長にご就任されました。どのような組織にしたいとお考えですか?

山本様(山本山):実は、11年ぶりの日本への帰国となるので、社内の状況を詳しく把握する必要があると感じていました。組織は人によって成り立っているものですので、人を見ることから始め、その上で今後の方向性や戦略を考えるようにしました。

具体的には、気軽な気持ちで参加してもらいたかったので、複数人でのランチミーティング形式で行いました。一人一人から自己紹介をしていただき、これまでの経験や、好きなことなどを話してもらい、場が和んできたところで、仕事や会社についてどのように考えているのかなどを話してもらいました。

一人一人が、自分のことだけではなく会社のことも考えて、積極的に自分の意見を発言したり、行動できる環境にすることが大切だと思います。そして、一人一人が組織に貢献するだけではなく、会社としては社員が活躍し、働きがいを感じられるような場を提供することが大切だと思います。

:役員の方同士でも定期的に食事会を開催しているとも伺いました。

山本:役員同士も相互理解を深めることが大切だと思います。日本にまだ「飲みニケーション」という言葉があるかはわかりませんが(笑)、月に1度、役員だけで社外で食事会を行なっています。

ホスト役は交代制とし、美味しさや値段でお店を選ぶのではなく(もちろん予算内で選びますが)、そのホスト役の思い出の場所やストーリーが語れる場所で開催しています。

:以前、役員の皆さんとお話をした時に、とても雰囲気が良いと感じました。そのような食事会を通じて役員同士の関係が深まることは、従業員の方にも良い影響を与えそうですね。

グループリフレクションでエンゲージメントを高めたい

グループリフレクション導入の経緯

:「グループリフレクション」を導入することになった経緯を教えて下さい。

山本様:社員へのインタビューを進める中で、問題と感じたのは、社員同士がお互いのことをあまり知らないということでした。

例えば、「社員同士において、お互いにフレンドリーには話してはいるものの、相手の仕事内容や、相手のことをよく知らないので、実は話しづらいと感じている」という声や、「お互いのことをもっとよく理解し合いたい」という声が多かったため、社員間のエンゲージメントを高める必要性を感じました。

社員間のエンゲージメントを高める方法について、担当役員の榎森と話し合っていたところ、「グループリフレクション」の導入を提案してくれたので、取り組むことになりました。

:グループリフレクションの導入により、社員にどのような変化や反応が見られるでしょうか?

山本様:私が2週間ほどの海外出張に行っている間に、社内では、グループリフレクションの取組みがスタートしました。出張から戻り、オフィスに行ってみると、以前よりも社員同士でよく会話するように変化していると感じました。

グループリフレクションに参加した人たちへのアンケート結果をみると、8割の人がポジティブに捉えていることが分かりました。
アンケートでは、「”おはよう”を言いやすくなった」とか、「今日の○○はどうなったの? と気軽に声をかけられるようになった」など、社員同士のコミュニケーションが深まったと感じる人が多くいたほか、「今まで、会社内で自分のことを話す機会があまりなかったことに気づいた」という声もありました。

また、「ポジティブシャワー」というワークを行ったことについて、「恥ずかしい気持ちがありながらも、嬉しかった。ここまで褒められたことはない」という感想もあり、多くの人がグループリフレクションを楽しんでいることもわかりました。
とても良いことだと思っています。続けていくことが大事ですね。

グループリフレクション現在の課題

:現時点におけるグループリフレクションに関する課題は何でしょうか?

山本様:今回のグループリフレクションは初回だったので、社員同士の相互理解を深めることを目的として行い、一定の効果が見られています。

今後、継続して定期的に開催していきますが、次のステップは、グループリフレクションを仕事に結びつけていく段階となります。テーマ設定や、使用するグループリフレクションの型(進め方)、グループメンバーの入れ替えなどについて、実務的な準備を進めています。

"飲み会"で得られていたことを業務時間内で

:これから社員同士のコミュニケーションの量や質を高めようとする企業に対して、どのようなメッセージがありますか?

山本様:私は、昨年まで11年間に渡りアメリカで生活をしていました。久しぶりに日本に戻って感じているのは、社内でのコミュニケーションや”雑談”の時間、社員同士での仕事後の飲み会や食事会の機会が大きく減っていることです。

新型コロナウイルスの影響も大きいと思いますが、若い人たちの仕事や同僚に対する考え方の変化もあるかもしれません。仕事とプライベートの境界線をきっちりと引く人も増えていると聞いたことがあります。

社員間の相互理解と業務の円滑化の機会になっていた、以前のような“雑談”や、アフターファイブの食事会がなくなってきている以上、その機会を勤務時間内に設けなければなりません。そこは、マネジメントの決断にかかっています。

そうしたカジュアルなコミュニケーション機会を作り、社員のエンゲージメントを高めていく手段の1つが、グループリフレクションだと思います。

その一方で、社員のエンゲージメントや社内コミュニケーションの改善度合いを、何らかの指標で測定していく必要もあると思います。具体策とともに、評価方法も合わせて検討していきたいと思っています。

組織開発・人材育成部門は、社長直轄くらいの位置付けに

これからの組織開発・人材育成について

:組織開発・人材育成に関するお考えをお聞かせください。また今後の取り組みを予定していれば教えてください。

山本様:まずは、グループリフレクションの活動を継続し、仕事に繋がる成果を出していきたいと考えています。

私は従業員のエンゲージメント向上やコミュニケーションを重視しています。これをスローガンのように使うのではなく、本当の意味でエンゲージメントを高めていかなければなりません。

そのためにも、エンゲージメントやコミュニケーションについて、言葉の意味を明確に定義して、どのような人物がコミュニケーション力が高く、エンゲージメントが高いのか。その理由を明確にすることが大切だと考えています。

アメリカの企業においては、「ヒューマン・リソーシーズ(HR)」や「ピープルマネジメント」という言葉をよく聞きます。日本においても、組織の発展を促し社員の動向を見極める部署として、HRに求められる役割が以前にも増して高度化・複雑化してきています。

当社でも人事部門を社長直轄にして、私が社内の課題をタイムリーに把握して、社員が前向きな気持ちと積極的な姿勢で仕事に取り組みながら、組織を活性化させられるようにしたいと考えています。

:本日はお忙しい中大変ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

写真左より、株式会社山本山 榎森様、山本様、JRLA 林、株式会社山本山 吉田様
※本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞や場所等は取材当時のものです。

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