2026/01/20
1on1ミーティング
「1on1が嫌だった」と言われる前に 〜 効果が出ない1on1を見直す最初の一歩

1on1は、本来、部下の成長や関係性の質を高めるための時間です。しかし現場支援をしていると、「上司との1on1が嫌で嫌でたまらなかった」という声が、退職者インタビューから聞こえてくる企業もあります。
これは制度の良し悪し以前に、現在の1on1がどのような状態で運用されているのかを、組織として把握できていない可能性を示しています
いきなり研修や制度を変える前に、まずは現状を確認することが欠かせません。この記事では、そのための最初の整理の仕方を扱います。
この記事で扱うこと
✅ 1on1が形骸化しているときに現れやすいサインとは
✅ 感覚論に頼らず、現状を把握するための進め方
✅ 現場の声を集めるアンケート設計と、その読み解きのポイント
この記事は以下のような方におすすめ
✅ 1on1は導入しているが、効果を実感できていない
✅ 若手の反応や離職に違和感があるが、原因がつかめていない
✅ まずは予算をかけずに、自社でできることから始めたい
1on1が「嫌だった」という声は、何を示しているのか
「1on1が嫌だった」という言葉は、1on1という取り組みそのものを否定しているとは限りません。多くの場合、その言葉の裏には、話す内容や進め方、期待されている役割が曖昧なまま続いていた状態があります。
特にIT企業など変化の速い環境では、若手社員が違和感を抱えたまま声を上げられず、結果として離職時に初めて本音が出ることもあります。
重要なのは、誰が悪いのかを決めることではありません。こうした兆候が自社にも出ていないかを、冷静に確認することです。
1on1が形骸化している組織に見られるサイン
1on1がうまく機能していない組織では、いくつか共通したサインが見られます。
✅ 面談が報告や進捗確認だけで終わっている感覚がないか
✅ 部下側が「何を話せばいいか分からない」と感じていないか
✅ 実施している事実はあるが、振り返りや共有が行われていないか
これらは原因を断定するための材料ではありません。あくまで、現状を把握するための観察ポイントとして扱うことが重要です。
まず行うべきは、評価ではなく現状の見える化
1on1がうまくいっていないと感じると、改善策や研修を検討したくなります。しかし、その前に必要なのは、良し悪しを判断しない状態で事実を集めることです。
現状把握の目的は、上司や部下を評価することではありません。
「今、何が起きているのか」を、組織として共有できる状態をつくることにあります。
現状把握を進めるための基本ステップ
自力改善のトライアル期においては、複雑な設計は不要です。最低限、次の流れを押さえることが出発点になります。
✅ 1on1の実施実態を整理する(頻度・時間・対象)
✅ 関係者が感じている違和感や温度感を集める
✅ 共通点とばらつきを区別して眺める
この段階では、結論を出そうとしないことが重要です。見える化された情報そのものが、次に進むかどうかの判断材料になります。
1on1アンケートで確認すべき観点と設問例
現場の声を集める方法として、簡易的なアンケートは有効です。この段階で重要なのは、評価や原因追及ではなく、感じ方や実態を観察することです。
以下は、そのための設問例です。
✅ 1on1の時間で、業務やプライベートのことについて安心して話せていると感じますか
✅ 1on1で話した内容が、その後の仕事に何らかの形でつながっていると感じますか
✅ 1on1の目的や位置づけを、自分なりに理解できていると感じますか
✅ 1on1の場で、話したくないことを無理に話している感覚はありませんか
✅ 1on1が、自分にとって負担やストレスになっていると感じることはありますか
✅ 1on1の頻度や時間は、今の業務量と比べてどう感じますか
✅ 1on1について、改善してほしい点や違和感があれば自由に記載してください
これらの設問は、上司の良し悪しや能力を評価するためのものではありません。回答の傾向やばらつき、無回答の多さそのものが、現在の運用状態を示す手がかりになります。
数値の高低だけで判断せず、「どの問いに反応が集まっているか」を見ることが重要です。
アンケート結果をどう受け止めるか(判断の前に)
アンケート結果を見ると、すぐに対策を打ちたくなるかもしれません。しかし、ここでも、単発の結果で結論を出さない姿勢が求められます。
結果は、次の一手を決めるための材料であり、答えそのものではありません。
今の状態で、どこまで自力で向き合えるのかを判断するために活用します。
まとめ
今回は、あるIT企業の事例をきっかけに話をしましたが、1on1が「善意で運用されている一方で、実態が見えにくい」という構造は、業種を問いません。
1on1がうまくいっていないと感じたとき、最初にやるべきことは「改善策を考えること」ではありません。
✅ 「1on1が嫌だった」という声は、現状把握が不十分なサインかもしれない
✅ 改善策を考える前に、事実と感じ方を切り分けて整理する必要がある
✅ 自社で対応できる範囲と、次のフェーズに進む判断点を見極めることが重要になる
これらを整理するための現状把握は、自社だけで、費用をかけずに始めることができます。
その結果、構造的な見直しが必要なのか、研修や支援を検討すべき段階なのか、を判断できる状態になって、初めて次の選択肢が意味を持ちます。
「このままでいいのか?」
そう感じた今こそが、1on1を見直すスタートラインです。
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本記事で解説したように、1on1の立て直しは、まず現状を正確に把握することから始まります。
もし、
・自社の1on1の課題を客観的に整理したい
・アンケート設計や課題の見える化の進め方を確認したい
このような場合は、無料相談をご活用ください。
貴社の状況を伺いながら、次に取り組むべき優先事項の整理をお手伝いいたします。
関連記事のご案内
本記事は「現状可視化期」の取り組みを解説したものです。
1on1立て直しの全体像と各フェーズについては、以下の記事をご参照ください。
→ あなたの会社の1on1はどの段階?|立て直しフェーズ別ガイド(全8記事ナビ)
次の段階について知りたい場合:
→ マニュアル展開も説明会もやったのに1on1が変わらない理由 〜 人事が見落としがちな3つの構造要因
→ 1on1を立て直すなら、どこから始めるべきか 〜 全社展開を成功させるための第一歩


