「話すテクニック」と「聴く器量」
「リーダーシップを発揮する」とは、どういうことでしょうか?
「組織を効果的に動かすリーダー」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?
世の中にはいろんなタイプの人が存在しています。それゆえ、リーダー像もたくさんあるんですね。
今回テーマとしたのは、「話すこと」と「聴くこと」。人と接する上で重要となるこの2つのスキル、もちろん2つとも大事なんですが、私が重要視しているのは「聴くこと」。その理由について考えてみました。
頼れるリーダー像が変化している
昔、独裁的でカリスマ性があり、象徴的なリーダーが必要とされていた時代がありました。高度成長期の産業においては、方向性を決める少数の人と、多数の作業者という関係性の中で、労働時間によって対価を得て、満足と安心を得ていた時代だったと言えます。
では、今の社会において、人々は仕事の中でどんな満足感を得ているのでしょうか?
組織を動かして大きな成果を得るために求められるリーダー。あなたがついていきたい、一緒に成果を分かち合いたいと思うリーダーを想像してみてください。
確かに話すテクニックは必要。でも。。。
話の組み立てや話し方の上手な人には魅力を感じますよね。だからみんな「うまく話せるようになりたい」と考え、話すテクニックを学びます。もちろん、相手にうまく伝えるためには、話し方、伝え方を身に付けておく必要があります。ただ、一緒に仕事をしていくためには、それだけでは足りません。
むしろ、テクニックだけで話をしてくる相手とは、一緒に仕事をしたいと思わないのではないでしょうか。
では、話すテクニック以前にリーダーが身につけておくべきことは何でしょう。
「聴く力」とコミュニケーション力
現代社会に求められるマネジメント力には、メンバーがモチベーション高め、チームとしての成果を引き出す能力が求められます。特に現代は「ココロの時代」でもあります。
あなたは上司に声をかけられた時に、どんな気持ちになりますか?
「うわ。いやだなぁ」と思う上司に、自分の本心を相談したいと思いますか?
そういった視点から、「お話がうまい上司よりも、ちゃんと向き合ってくれる上司」が求められるようになりました。つまり、部下の目から見て「お話がうまい人」よりも「聴いてくれる人」の方がコミュニケーションの相手として受け入れられるということです。
「聴く力」とは、ただ作業を止めて「耳を傾ける」だけでなく、相手の話したいことを、話を遮らずに聞き、声のトーンや表情から相手の感情を感じ取り、言えていない部分まで理解するように聴くことであり、大きな器で相手を受け止め、包み込むように、なんでも安心して話せる環境を準備することなのです。
聴ける力があれば、部下もあなたも成長できる
あなたがそんな聴き方をできるようになったら、どんなコミュニケーションが生まれるでしょうか?
部下一人ひとりとの会話が増え、関係性がより深くなり、部下にとって安全な場が出来上がります。会議で上司が部下に対して一方的に話している時間も減り、双方向のコミュニケーションの場が作れるようになるでしょう。部下は自発的に考え行動できるようになる。あなたは、場作りができるようになる。チームとしては成果があがる。
「聴く力」をつけることは、部下と、あなたと、チームの成長につながるのです。
私自身、職場で「聴くことによる場作り」を意識するようになって、部下との関係性は大きく変わりました。歳の離れた部下や年上の部下、歳の近い管理職の部下など、どんな相手であっても効果がありました。だからこそ、私は「話すこと」よりも「聴くこと」を大切だと感じているのです。
「聴く器量」をあなたが身につけることで、チームのコミュニケーションは格段に向上するでしょう。