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リーダーが悩む「年上の部下」との接し方

増えゆく「年上の部下」

これまでに実施した管理職向け研修の中で、比較的多くご質問いただくのが、「”年上の部下” とどのように接したらいいのか分からない。」というものです。

中には、「自分の元上司が、今は自分の部下」というケースも多いようで、やりづらさを感じているリーダーは少なくないようですね。

たしかに、役職定年や再雇用制度などによって定年退職後も会社に残る人は増えており、厚労省が発表した『平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果』によると、70歳以上まで働ける企業は35,276社(対前年差 2,504社増)に上り、全体に占める割合は22.6%(同1.4ポイント増)になるそうです。

今後、このような状況は益々増えていくのではないでしょうか。


リーダー達はどのように対応してきたか?

さて、話を研修中の質疑応答に戻します。先ほどの質問に対し、当初私は、研修内容と関連させながら模範的な回答を示していたのですが、ある時、これを研修の一部に取り込もうと考えました。そして次のような設問を投げかけて、グループディスカッションを行うことにしました。


設問:

「協力的ではないと感じる ”年上の部下” が、協力的になったときは、どのような時でしたか?」


グループディスカッションの後、各グループから次のような体験談などが発表されました(抜粋)。

  • 「武勇伝」や好きなことを聞いてみたとき
  • 得意分野や専門分野についてお願いしたとき
  • 「他に頼める人はいない」と率直に言ったとき
  • 低姿勢で教えてもらったとき
  • 飲み会の時に近くに行くようにしてから(話す場をつくるようにしてから)
  • 過去の上司と立場が逆転したが、前の関係通りに関係を続けた(プライドを傷つけない関係)
  • 一方的な関係ではなく、「一緒に仕事を進める」という意識を持って接した


これらを3つにまとめると、以下のようになるのではないでしょうか。


  1. 相手の得意分野を知っている(知ろうとしている)
  2. 相手を尊重し大切に扱っている(上下関係ではなく仕事を進めるパートナーとして付き合う)
  3. コミュニケーションの場を積極的に作っている


全体で発表・共有を行ったあと、受講者に感想を求めてみると、私が一般論を回答していたときに比べて、強い納得感を感じられたようでした。(アンケートにも「他の人の様子が分かり良かった」と言う声が多かった。)

特に、管理職・リーダーは若年層とは異なり多くの経験があるので、研修の中でそれを引き出し、整理する時間を与えること、そして、他メンバーと共有することで、より職場で実践できる学びが得られるようになります。


スキル・テクニック以上に大切なこと

とはいえ、「年上の部下」に協力者として気持ちよく動いてもらうためには、口先だけのテクニックやスキルだけでは、うまくいかないでしょう。

先述の通り、相手の得意なことを知っていることに加え、相手を尊重するマインドや、リーダーの人間力が問われます。そのようなマインドや人間力を養うためには、研修の中で、リーダーが自分自身を見つめ直し、リーダーとして「どうあるべきか・どうありたいか」を明確にする時間をとることから始めると良いでしょう。

自社の研修が「詰め込み型」にはなっていないか、リーダーとしての「あり方」には触れず「スキル中心の研修」になっていないか、今一度点検することをお勧めします。​​​​​​​



林 英利
林 英利
大和ハウス工業(株)、トヨタ自動車(株)などを経て、プロフェッショナル・コーチ、研修講師として独立。その後、銀座コーチングスクール代表を務め、2019年に(一社) 日本リレーショナルリーダーシップ協会(JRLA)を設立し代表理事に就任。2020年秋より「Biz Mentor」事業をスタート。元 国際コーチング連盟(ICF)日本支部 顧問・ICF 認定プロフェッショナルコーチ(PCC)趣味は、楽器演奏(ギター・ドラム)、4歳の孫と遊ぶこと。 ◎著書:一瞬で自分を変えるセルフコーチング(三笠書房)

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