
激変期に求められる「ポータブルスキル」とは
変化の激しい時代において、企業の採用活動や人事考課などで活用され始めている「ポータブルスキル」をご紹介したいと思います。
キャリア自立の時代へ
ビジネス社会は、更なる成果主義への移行、人材の流動化、雇用形態の多様化など、産業構造の大転換期を迎えています。雇用環境においては、今後さらに流動化が進んでいくでしょう。
企業が個人を守ってくれる時代は過ぎ去り、個人が自己のキャリアを形成していく、「キャリア自立」の時代になりつつあります。
企業にとっては、雇用の維持が難しくなり、厳しい選択を強いられる事もあるでしょう。
そのような中、転職を考えるビジネスパーソンは年々増えているように思いますが、特にミドル層において、収入的側面(給与、退職金、ローン)は大きな懸念事項です。
また、「一つの会社で積み重ねた経験は他社で通用するか」とか、「これまでの人脈を失ってしまう」など、不安を抱える人も少なくありません。
これからの時代に必要とされるスキル
私は事業会社で人事の仕事を担当していますが、会社の求める人材、ハイパフォーマ―の行動特性など、自社社員に必要なスキルは何かという議論が社内で繰り返されてきました。これは多くの会社でも同様でしょう。
一方、自社の事業領域が多角化したり、M&Aが行われたり、ビジネスモデルが大きく変化する時代を迎えています。このような時代において、従来型の採用方法や育成方法では十分ではありません。
こうした時代に求められるスキルとして、「ポータブルスキル」を重視した採用も増えています。
ポータブルスキルとは、特定の業種や職種、時代背景にとらわれない能力のことです。例えば、主体性や積極性、几帳面さなどその人のことを表す性格や人柄の評価を指します。
ポータブルスキルとは別に、特定の業界や職種で必要とされる能力を「専門スキル」と呼びます。
中途採用で入社したものの、専門スキルはあるが主体性はなく、期待した以上の働きができなかったりするケースがあります。
これは、ポータブルスキルが不足していると言えるかもしれません。
ポータブルスキルを身につけるには
ポータブルスキルは、「対人力」・「対課題力」・「対自分力」に分けられます。
①「対人力」:相手とのコミュニケーション能力。傾聴や説得、交渉、協調などが含まれる
②「対課題力」:課題への対応能力で、ロジカル思考やデザイン思考があげられる。
③「対自分力」:自身の行動や考えの制御や、自律といったセルフコントロール能力。
ポータブルスキルは特殊スキルではなく、経験の中で身につけられるスキルです。
そのためには自身の行動を内省し、「なぜ?」を繰り返し、振り返りから得たものを一般化、言語化していくことが大切です。
これらの行動サイクルを続ける日々を積み重ねることで、ポータブルスキルを身につけることが可能となります。
まとめ
ポータブルスキルは誰もが経験を通じて身につけられるスキルです。
「自分のスタンスや認識を変えると何ができるか」を考えたり、相手の立場や目線でみてみることで、新たな発見に繋がったり、更なるスキル向上に繋がっていくでしょう。