「1on1研修」3つの問題点と成功のための5つのポイント
上司と部下の定期的な会話を行う「1on1」を導入する企業が増えています。一方で、従来の「人事考課面談」や、個別の「業務進捗ミーティング」などの1対1型面談と区別されておらず、残念ながら「1on1」本来の効果を得られていない企業も多くあるようです。
また、研修会社などの「1on1導入研修」を実施した企業においても、「まだ、うまくいっているとは言えない」という声も多く聞かれ、各社、「どうしたら、1on1の本来の効果が得られるようになるのか」と模索している状況と言えるでしょう。
今回のブログでは、本来の「1on1」と従来の「1対1型面談」との違いや、一般的な「1on1研修」の問題点と、その解決策をご紹介します。
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そもそも「1on1」とは何なのか?
1on1とは、シリコンバレーの先進的なIT企業が導入し、世界的に注目を集めている人材育成の手法で、「1on1ミーティング」の略称です。
日本では、ヤフーが取り入れたことで話題となり、現在では多くの企業で導入が進んでいます。
従来の1対1型面談と区別されずに導入されているケースも多く、残念ながら、1on1本来の効果を得られていない企業も少なくないようです。
「1on1」と従来の「1対1型面談」との違い
では、1on1と従来の1対1型面談とは何が違うのでしょうか? 1on1の比較対象としてあげられるのは、「人事考課面談」と「業務進捗ミーティング」です。
これらを、目的、テーマ、「会話支配率」の観点で比較してみましょう。
目的の違い
- 【人事考課面談】 人事考課のための、目標設定や進捗確認、上司からのアドバイスなど
- 【業務進捗ミーティング】 業務の進捗確認、他者との調整や上司からのアドバイスなど
- 【1on1】 経験学習支援による中長期的な部下育成、エンゲージメントの形成など
頻度の違い
- 【人事考課面談】 半期または四半期に1度 など
- 【業務進捗ミーティング】 週に1度、不定期 など
- 【1on1】 毎週、または、月に1~2度など定期的に実施
テーマ(会話の内容)の違い
- 【人事考課面談】 期初に設定した目標の達成に向けて
- 【業務進捗ミーティング】 進行中の業務やプロジェクトに関することについて
- 【1on1】 仕事・プライベートに関わらず、部下が話したいや考えたいこと何でも
部下の「会話支配率」の違い
- 【人事考課面談】 1~50%?
- 【業務進捗ミーティング】 1~50%?
- 【1on1】 70~80%
※「会話支配率」とは サッカーなどのスポーツにおいて、ある選手やチームが試合時間の中でボールをどのくらい保有していたかを表す指標を「ボール支配率」と言いますが、それを会話に置き換え、一方が話している時間や考えている時間の合計が、会話全体に占める割合を「会話支配率」と表現しました。 |
このように、「1on1」と従来の「1対1型面談」とは、「似て非なるもの」と言えますが、特に「会話支配率」に大きな違いがあるように、1on1は、部下を主体(主役)とし、部下が話したいことを自ら決めて、部下のために行われる、というところが大きな特徴です。
なお、1on1の導入とは、従来の「人事考課面談」や「業務進捗ミーティング」を1on1に置き換えるということではありません。
1on1で期待される効果
1on1をうまく実施できるようになっている企業では、副次的なことも含め、次のような効果を得ています。
- エンゲージメント(絆)や心理的安全性の向上
- 業務スピードの向上
- 内発的動機づけによる部下の意欲向上
- 経験学習モデルによる部下のスキルアップ(成長)
- 人材の維持(離職防止・メンタルヘルスの向上) など
1つ目の「心理的安全性」の詳細については別の機会で触れたいと思いますが、Google社の調査・分析によると、チームの効果性に最も大きく影響を与える要素が「心理的安全性」だとされています。
上記に挙げられている効果が、1on1を導入・定着させようとする企業の狙いなのです。
一般的な「1on1研修」3つの問題点
先述のような効果を狙い、多くの企業で「1on1研修」を実施し、上司と部下の定期的な1on1がスタートしています。
しかし、スタートはしたものの、現場の管理職からは、「やり方がよく分からない」「何を話したらいいの?」「うまくできているか分からない」などの声が。
一方、部下からは、「業務進捗ミーティングと何が違うの?」「結局、上司が話したいことを話している時間となっている」など、戸惑いの声が多く聞かれます。
なぜ、このような問題が起きているのでしょうか?
私は、一般的な「1on1研修」には、以下のような、3つの問題点があると考えます。
一般的な「1on1研修」の3つの問題点
-
実践の参考となる手本が少ない
- 一般的な「1on1研修」は、1on1の重要性や必要性の知識のインプットが中心で、実践方法や手本となるような情報が少ない。
-
上手くできているのか分からない
- 実践段階での指導・フォローアップがほとんどないため、「上手くできているのか分からず不安」との声が多い
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上達方法が分からない
- 前向きに取り組んでいきたいが、どのように上達していけばよいのか分からない
研修全般に言えることですが、「わかる」と「できる」は違うということの典型ではないでしょうか。
特に1on1研修については、参考となる「手本」が少なすぎる、ということが言えるでしょう。
効果的な1on1ができるようになるための5つのポイント
それでは、管理職の皆さんが、先述の本来の効果が得られるような1on1ができるようになるためには、どのようにすればよいのでしょうか? 5つのポイントをお伝えします。
効果的な1on1ができるようになるための5つのポイント
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実践重視の研修を受ける
- 「知識インプット型」ではなく、手本セッションと実践解説からなる実践重視研修
-
「本物」を体験する
- プロによる複数回の1on1(メンタリング)を経験し、「本物」を知る
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スキル向上目標のステップを設ける
- 3つほどのステップを設け、段階を踏んで上達を目指す
-
フィードバックを受け改善する
- 「下手の上塗り」を避けるため、指導者などからフィードバックを受け改善する
-
改善と実践を重ねる
- 改善を意識した練習量に比例し上達する
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回のブログのポイントは以下の通りです。
- 1on1と従来の「1対1型面談」は似て非なるもの
- 一般的な「1on1研修」では、効果的な1on1ができるようにはなりにくい
- その理由は、実践のための「手本」などの情報やフィードバックの機会が少ないこと
- 効果的な1on1ができるようになるためには、本物を知り、段階的にステップアップし、フィードバックを受けること
少しでもお役に立てていれば幸いです。
参考図書:「任せているリーダーが実践している1on1の技術」著:小倉 広/日本経済新聞社などを参考にし、JRLAにて編集
「できるようになる」にこだわった「1on1実践トレーニング」とは
先述の一般的な「1on1研修」の問題点や、効果的な1on1ができるようになるためのポイントを踏まえ、Biz Mentor(JRLA)では、「できるようになる」ことにこだわった、リーズナブルな総合研修プログラム「1on1実践トレーニング」を開発し、この3月よりサービス(β版)を提供することとなりました。
主な特徴は次のとおりです。
Biz Mentor「1on1実践トレーニング」3つの特徴
- 初級・中級・上級に分かれたトレーニングカリキュラム
- 上達のための豊富な手本
- フィードバックで改善ポイントを知り上達
研修対象者が取り組みやすいように、インプット学習は個別のeラーニングを(確認テストや講師への質問対応あり)、セッションなどの双方向プログラムでは、Zoomなどのオンラインを活用しています。
これにより、集合研修のような時間的な制約を最小限に抑えられるほか、場所を選ばず、リモートワークなどにも対応しています。
Biz Mentor「1on1実践トレーニング」4つの仕組み
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個々人が時間を調整して視聴できる「eラーニング」
- 1on1の実践方法を詳しく解説。確認テストあり
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1on1メンティ体験で「本物」を知る
- プロメンターによる複数回の1on1を体験できる
-
研修生同士の練習サポート
- スキルアップのための実践演習をサポート
-
検定とフィードバック
- 3段階(初級・中級・上級)の検定と課題のフィードバック
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