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「受け入れる」と「受け止める」

中小企業経営者として経営の現場で20数年間を過ごしてきました。

次から次へと様々な問題が発生し、大きなものから小さなものまで悩みの種が尽きません。

売上の事、資金不足の問題、設備の老朽化など多くの課題のなかで、やはり一番悩みが多いのは社員との関係です。

中小企業経営者にとって、社員から「社長、ちょっとお話があるのですが。。。」と突然切り出されることは、心臓がドッキとする瞬間です。

そんな状況を防ぐために、日々社員とのコミュニケーションをしっかりと取っていこうと努力するのですがそれがなかなかうまくいきません。

社員の話をしっかり聞くために始めた面談で、いつの間にか気づくと私がほとんど話をして説教していたりすることも度々です。

そんなことを繰り返している中で、最近ようやく少しずつコミュニケーションの取り方のコツがわかってきました。


社員の話を受け止めていない

社員とのコミュニケーションに意識を向けるようなって、自分が如何に社員の話を聞いていないかに気づきました。

話をきちんと聴こうと耳を傾けていても、そのうち社員の口から会社に対する不満や不平、他責の発言が出てくるともう駄目です。

社員の勝手な言い分を聞いていると頭の中で怒りが渦巻いて、どう指導するか、どうわからせるかで一杯になります。

こうなると自分が何を言うかに意識が行くので相手の話は上の空です。

そして相手が間違った考え方をしている、わかっていない、このままにしておくことはできないという思いから、口をはさみはじめます。

「人を責めるのではなく自分が出来る事に目を向けよう」

「そんなことばかり言っていてはいつまでも成長しないよ」

などと指導モードに切り替わります。  

そして気づくと、説教している自分の前に白けた顔で座っている社員がいるのです。

社員との関係を良くしようとしてはじめた面談が全くの逆効果になっていきます。

コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられますが、 私はキャッチボールをしている途中にグローブをバットに持ち替えて相手のボールを受けとめずいきなり打ち返すようなことをやっていたのです。


「受け入れる」と「受け止める」を区別する

私は会社の経営者として、間違っている社員を正しく指導しなくてはならないという思いから説教モードに切り替わっていきました。

社員の言い分を一方的に聞いているとそれに同意している、認めたことになってしまう、それではいけないと頭のどこかで私は思っていたのです。

社員とのコミュニケーションが少しずつ変わり始めたのが、受け止めることと受け入れることを区別するようになってからでした。

まずは社員の話を最後まで聴くことで受け止める。

どんな内容であっても途中で口を挟まずに聞く。

正しい、間違っているという判断は横に置き、社員が何を言っているのかを良く聴いて理解することに集中する。

大事なのは、話をしっかり聞くことは必ずしも相手の話の内容に同意するわけでも言い分を認めたことにもならないということ。

「なるほど、貴方はそう考えているんだね。良く分かった」

とまず一旦相手のボールをしっかりと受け止める。

「その考えはどんなところから出てきたんだろう」

と更に深く相手の話を聴く。

その上で、

「私は別の見方もあると思っているんだけど、伝えてもいいかな」

というように自分の感じていることを、相手の許可を得てから伝える。

受け止めることと受け入れることを区別して社員に対応するようになってから、徐々に関係性は良くなっていきました。

社員の話を途中で遮り、

「いや、それは違うよ。それは受け入れられないな」

と言っていた私が話を最後まで聞いて受け止めて、その上で社員に確認をして別の見方、考え方を伝えられるようになったことで社員も少しずつ私の話をきちんと聞いてくれるようになっていきました。


まとめ

今でもまだ社員の話の途中で思わず説教をはじめてしまったりすることはあります。

それでも、相手の話をしっかり聴いて理解することと、相手の話に同意することを分けることで社員とのコミュニケーションのストレスは大きく減りました。

受け止めると受け入れるの違いを意識する、単純なことですが社員との関係を構築していく上でとても効果がありました。

湯澤 剛
湯澤 剛
大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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