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『経験学習モデル』を部下に活用しようと思ったら・・・。

この記事を読もうとしているあなたは、タイトルにある『経験学習モデル』あるいは『経験学習サイクル』という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれませんね。ですが、言葉の響きから何となく意味は理解していても、実際に説明するとなると、口籠ってしまう人も多いのではないでしょうか。

そこで、今日はこの『経験学習モデル』についてお話したいと思います。


『経験学習モデル』とは何か?

『経験学習モデル』とは、組織行動学者のデイビット・コルブ氏が提唱した理論です。

経験したことから学びを得ることを「経験学習」といい、単に経験するだけでなく、経験を次のステップに活かすためのプロセスが重要であるとして、そのプロセスを理論化したものを『経験学習モデル』と言います。

具体的には、下図にあるように、「経験」→「内省」→「概念化」→「実践」のサイクルを繰り返すことで、人は学び、成長するとされるものです。



次に大切になってくるのは、「経験」→「内省」、「内省」→「概念化」、「概念化」→「実践」といった、次のステップに向けての上司の部下に対する働きかけ方です。具体的には、それぞれのステップにおいて、どのような問いかけをするか、ということです。ここでは、上司の「質問力」が問われるところです。


問われるのは上司の「質問力」

◆経験→内省(内省支援)

経験からどんなことを学んだか・気づいたかを部下に言語化してもらいます。

(質問例)

「この経験から学んだこと(気づいたこと)は何ですか?」

「この経験における成功要因は何ですか?」


◆内省→概念化(概念化支援)

概念化することで、部下に新しい機会に応用できる力を身につけてもらいます。

(質問例)

「今の話を一言でまとめると、どういうことですか?」

「この経験を今後の教訓として言い換えるとすると?」


◆概念化→実践(実践支援)

概念化した事柄を新しい機会で実践できるように後押しをします。

(質問例)

「この経験を今後どのように活かしていきますか?」

「新たにチャレンジできそうなことはどんなことですか?」


いかがでしょうか。あなたにも何となく『経験学習モデル』を回すイメージが湧いてきたでしょうか。

実際に、ビジネスの現場でこのモデルを活用するとしたら、日常業務における報告・連絡・相談時はもちろんのこと、OJTにおける実践の事前や振り返り時、あるいは、1on1ミーティング時などにも活用できるでしょう。


「質問力」を活かすためには

繰り返しになりますが、この時に大切なことは上司の「質問力」です。

上記の質問例を見てもわかるように、上司は教えることはせずに、部下に考えさせる質問をしています(上司の部下に対する情報収集が目的ではないことにご留意ください)。


この時に必要なことは、上司が「部下の中に答えがあることを信じる」というマインドであるということは言うまでもありません。

『経験学習モデル』を適切に回すためには、質問スキルに加え、「相手のことを信じる」マインドが何よりも大切になってくるのです。


大石 典史
大石 典史
東証一部上場企業2社を含む4社で法人営業、コンサルタント職、人事総務等を経験。現在は、銀座コーチングスクール(GCS)丸の内校代表、研修講師、パーソナルコーチを務める。国際コーチング連盟(ICF) 認定プロフェッショナルコーチ(PCC)。

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