「フォロー」と「フォローアップ」の違い
組織のリーダー、あるいは、マネジャーであるあなたは、仕事上、自分の部下に対して「フォロー」または「フォローアップ」をした経験があるでしょうか?
「YES」と答えた方に再度質問をします。
あなたが行ったことは、「フォロー」でしたか?それとも「フォローアップ」でしたか?
「フォロー」と「フォローアップ」の違いを言えますか?
この似て非なる言葉の意味を、あなたは考えたことがあるでしょうか?
私は、研修やコーチングの講座時に、受講者の方にこの2つの言葉の意味を尋ねることがあります。受講者の方から出て来る回答は、たいてい以下のようなものです。
「フォローは、対象者をサポートすること、フォローアップは、対象者をサポートしながら(「アップ」という言葉が付いているので)成長させること」
「フォローは、対象者のできないことをカバーすること、フォローアップは、対象者のできないことをできるようにさせること」
いずれもいいセンを行っていますね。これに対して、私は、辞書に掲載されている下記の言葉をもって正解に代えています。
■フォロー
対象者の足りないところを後から補うこと
■フォローアップ
対象者にある事柄を徹底させるために、後々まで面倒をみたり、追跡調査をしたりすること
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質問の意図に置き換えて言えば、フォローとは、「部下ができていないことを、上司が代わりに行うこと」であり、フォローアップとは、「部下ができるようになるために、上司ができるようになるまで面倒をみること」ということができます。行動の主体で言えば、前者の場合は上司、後者の場合は部下ということになりますね。
実は「フォロー」も「フォローアップ」も両方大事
ここでご注意いただきたいことは、私はこれらの優劣を語っているわけではない、ということです。仕事においては、状況に応じて、「上司が部下をフォローすること」も「上司が部下をフォローアップすること」もいずれも必要になるからです。
ただ、ここで考えていただきたいことは、どちらの行動が部下の育成につながっているか、という点です。言葉の意味からすれば、「部下の成長を促す」という明確な目的がある場合は、あなたは「フォロー」ではなく「フォローアップ」をする必要があるということですね。
「フォローアップ」が部下の成長を促す
実は、私が専門とするコーチングの分野においても「フォローアップ」という概念があります。
コーチングとは、一般的にクライアントとの協働関係をベースに、セッションを継続し、成果を積み重ねていくことで、目標を達成することや問題を解決することを目指すものです。言い換えれば、コーチングは、1回のセッションのみで目標達成までの全ての道筋を見つけたり、問題解決したりするものではありません。
コーチングの期間中、セッションを継続していくプロセスの中で、コーチは、クライアントがコーチと約束した事柄を実践したかどうか、実践できていなければ何が理由でできなかったのか、そのことから何を学んだのかといったことを「フォローアップ」していくのです。
クライアントは「フォローアップ」があることにより、自律的に行動できるようになっていく、つまり、成長していくことが可能になるのです。
最後にあらためて質問します。
あなたが実践してきたことは「フォロー」でしたか?それとも「フォローアップ」でしたか?
もし答えが前者であれば、後者のスキルを身につけてみたいと思いませんか?