メンタリングセッションを受けると、どうなるのか?
ビジネスパーソンなどに対して、メンタリングセッションを受けることをお勧めすると、タイトルのような質問をお受けすることがあります。
そこで今日は、私のメンター経験に基づいた事例をご紹介したいと思います。なおセッション内容には「守秘義務」がありますので、主旨が伝わる範囲で編集しています。
Sさんへのインタビュー
はじめてコーチからのメンタリングサポートを受けられたSさん(企業内の部門トップ経験者)に、メンタリングを受ける前と受けた後について、インタビューを行いました。
【Q】どうして、コーチからのメンタリングを受けようと思ったのですか?
とにかく、相談する人が必要でコーチを付けました。メンタリングについては別の研修で聞いたことがあったのですが、正直言ってその効果はあまり期待していなかったです。
でも、転職先で全く成果が出せず、入社後3ケ月余りで社長から『もう明日から出社に及ばす』と言われてまして…。
そこで、自分と同じような経験のあるプロコーチを探しました。サラリーマン社会の上司との関係や組織の軋轢などを、スッと分かってくれる人が良かったので。
【Q】メンタリングを受けてみた感想は?
藁をもつかむ気持ちで受けたメンタリングセッションだったのですが、Yコーチは私の話をずーっと聞いてくれるんです。2時間もですよ!
そして私は、これまでの生い立ち、仕事に関する経験や想いをYコーチに聴いてもらっているうちに、何故か段々と肩の荷が下りるような気がしてきました。
自分で見つけてきた部門トップのポジションだけど、よーく考えてみたら『お前の次の仕事はこのレベルの仕事だ』と言われているように感じて、他人に見せるための転職だったと気が付いたんです。
海外勤務から日本へ帰ってきて凱旋のように思い上がっていたのかもかもしれません。地に足がついていなかったですね!
そして、Yコーチに「Sさんは結局、どういう仕事をしている時に満足感が得られるの?」と訊かれて目が覚めた気がします。自分を取り戻す、大切にしている価値観を再認識するとはこういうことなんですね。
間もなく次の転職先が決まって、コーチングのお陰かどうかは良く判らないですが、気持ちが吹っ切れたことで視界が開け、再び力が出たように思います。
コーチ・メンターとしての感想
Sさんは最初はとても肩に力が入っている印象でした。せっかく見つけた部門トップのポジションだったようで、前職までの仕事でのやりがいや、上げてきた成果、海外赴任の経験など意気揚々と話してくれました。これまで小さな失敗はあったけど何とか乗り越えた、とか。
私は、サラリーマン生活での挫折や、その後独立した話をしました。
そして、Sさんにはこれまでの経緯や想いを沢山話してもらったのですが、直近の件になると何故か少し声がトーンダウンした時があって。
「Sさん、少し声の調子が変わったように感じましたが、何かありましたか?」と差し向けると、「え? いや大丈夫です」と何かに蓋をするような感じが伝わってきました。自分のキャリアを他人の視点で見ていたことに気付いたようでした。
それまでは「転職先の上司からの扱いが酷い」とか「仕事の進め方が想定外」など、会社に対して批判的だったのが、それを選んだご自身へ視点が向いたようで、「内省」的な発言が多くなってきたように感じました。
まとめ
上記の内容について、以下にポイントをあげてみたいと思います。
◆クライアント(Sさん)の状態・変化
- 仕事上の悩みから、相談相手を必要としていた
- メンタリングは聞いたことがあったが、期待はしていなかった
- 同じ経験を持つメンター・プロコーチを探した
- 話を、長時間にわたり聞いてもらうことで、自分自身の考えが変わっていくことを感じた
- 自身を語ることによって、発言が内省へと変化した
◆メンターが行ったこと
- クライアントの現状を注意深く傾聴した
- クライアントと同様なメンター自身の経験を開示・共有した
- クライアントの微妙な変化に気付き、フィードバックした
◆クライアントのその後の変化
- 自分の本当にナリタイ姿や価値観を発見する事につながった
- 結果として、本当にヤリタイ新たなステージへ行くことができた
いかがでしたでしょうか。メンターとの関わりで得られる気付きと知見で、更なる一歩を踏み出す機会をつかんでみませんか?