シンガポールで出会ったグリットの強さ
グリット(GRIT)と言う言葉、お聞きになったことがあると思います。ビジネス書や新聞などでもよく目にする言葉です。日本語では「やり抜く力」と訳されます。
今回改めて調べたところ、「GRIT」と言う言葉には以下の4つの言葉の要素を含むそうです。
- 度胸(Guts):困難に挑み、逆境にたじろがない勇気
- 復元力(Resilience):挫折から立ち直る力
- 自発性(Initiative):率先して物事に取り組む力
- 執念(Tenacity):どんなことがあっても物事に集中しつづける能力
どの言葉も、私たちが直面するコロナ禍において、強く心に刻み込みたいエネルギーを感じます。
今回は、私がビジネスの現場で経験したGRITについてご紹介します。その舞台は、シンガポールでした。
困難に直面した時の反応の違い
以前シンガポールで仕事をしていた頃の経験です。医療用機器の開発、製造、販売に携わり、東南アジア市場に向けた製品開発を行っていました。
その製品には技術的な課題があり、シンガポールの国立研究機関から協力を受けることになりました。
現地でのミーティングでその課題を説明したところ、出席していた3名の研究員(3名ともサイエンスの博士号取得者)が口を揃えて言いました。
「う〜ん、これは難しいな〜。」
この時私が思ったのは、「やっぱり無理か。日本でもこれまで散々そう言われてきたから、仕方ない。」でした。しかし、次に彼らの口から出てきた言葉は、
「難しいけど、これが実現できたら、世界で初めての製品ができるかもしれない。どうしたら実現できるかな? ○○研究所の△△さんへ相談したらどうか?」
と言うものでした。「難しい。だめだ。無理に決まっているでしょ?」とも言えたはず。私たちの日常にも、このような簡単に諦めてしまう思考や発言がありませんか? 恥ずかしながら、私自身がそうです。しかし、3名のエリート研究員たちは違いました。
「難しい。でも、どうしたら果たせるだろうか?」
と知恵を絞り始めました。そして、「自分たちにない手段(リソース)は、外から持ってくる」という発想です。
どうでしょう?
私には、日本とシンガポールとの間に大きな違いがあると感じてしまうのです。
とにかく準備を整えて、万全の体制を整えてからでなければ動かない日本。
一方で、不完全ではあっても、まずゴールを決め、どうしたら辿り着けるかを考え、まずやってみる。そして、できないことには、できる人の力を借りるシンガポール。
アメーバー組織―多様性の中を生きるには、柔軟性が大事!
改めて彼らとのやりとりを思い出すと、柔軟性と共に、諦めずにやり抜こうとする強烈なプロ意識が印象的でした。
加えて、縦割りの組織構造ではなく、横断的に横串を刺すようにリソースを活用する。
ご存知のとおり、シンガポールは東南アジアの中でも小国ですが、一人当たりの平均GDP(国内総生産額)は日本以上の豊かな国です。
しかし、天然資源が無く、人材が唯一の資産と言う国。だからこそ、柔軟性とスピード感、行動力を大事にするのかもしれません。
そのような社会の精鋭達から飛び出した、強烈なGRIT力を感じた経験でした。
今は不自由な生活や社会活動を強いられる環境下ですが、あなたが本当にやりたいことや果たしたい夢を、改めて描いてみませんか?
アフター・コロナを目して、GRIT力を生かした人生を歩んで行きましょう!