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振り返ってみて、今だから言える「上司の心得」(その4)

会社員現役の最中では見えなかったものが、時間が経った今だから見えてくる。

思い返して改めて気付くこと、そして真摯に反省すべき点も少なくない。

私のサラリーマン時代の「苦い」経験を論語の成句と共に振り返ります。(氏名は仮名)


凄い部下が入社してきた!

「入社おめでとう! 先日までは外部コンサルタントとして色々お世話になった。今日からはうちの社員としてERPシステム* の導入に尽力して欲しい。」 * 基幹系情報システムのこと

内製の社内システムを捨て去り、統合型システムの導入を決定した我が社ではあったが、実務ノウハウが全くない。

そこで大手外資系企業のコンサルタント、鈴木優を活用していた。鈴木がその後、縁があって我が社へ中途入社してくれることになった。

ユーザー目線でシステムを理解している数少ないコンサルタントとして、以前から我々が目を付けていたのだ。

そんな鈴木がチームメンバーとなってくれたことで、新しい時代の経理システムを彼が支えてくれると経理部長の砂村は内心、少しほっとしていた。

システムの構築や関係各位との調整、自社独特の経理処理への対応などは、ERPシステムの機能を知り尽くした鈴木にとっては、容易いことだったのだろう。

それほど大きなトラブルもなく、システムのカットオーバー(開始)は実現した。

「さすがに鈴木だな。彼に来てもらって本当に良かった!」

砂村は、上司である経理本部長の浅田とプロジェクトの成功を喜んだ。

「浅田さん、鈴木の処遇はどうしましょうか? これまで経理システムのプロジェクト・リードでしたが、経理課長として昇格させましょうか?」

このように上司に持ち掛けた砂村ではあったが、実は一抹の不安があった。


上司の迷いと部下の戸惑い

「砂村さん、うちの上司の鈴木さんのことで、ちょっとお話があるのですが。」

古参女子社員の田村は砂村と同期入社ということもあり、いつも気軽に話しかけてくる。

田村は経理一筋20年のベテランで、論理的思考には乏しいものの、数字に関しては動物的な勘が働く、根っからの実務担当者である。

「鈴木さんですが、ここだけの話、どうも話が嚙み合わない気がするんです。」

顛末を良く聴いてみると、田村が鈴木に経理の実務的な相談をしても、「システムはこういう仕組みなのでこのように処理をするもの」、「システムはそういうものだから、例外処理は難しい」との一点張りで、田村の実際的な困りごとや悩みを真剣に取り合ってくれない、と言うのだ。

(やっぱり、そうか!)

砂村が鈴木を課長に昇格させる際にちらりと頭をよぎった不安が現実となったのを察知した。


上司の視野 vs. 部署全体の視野

田村と同様、経理実務たたき上げの砂村は彼女の気持ちが痛いように分かった。

「鈴木、もっと柔軟に対応できるようにシステムを変えるように!」と、上司として命令することは簡単だ。

しかし、それを許せば、古い経理システムを捨て去り、ERPを導入した意味が無くなってしまう。

  • そもそも、鈴木を半ば無理やり中途採用した目的は何だったのか? 
  • 確固たるビジョンは持ち合わせてはいなかったが、自分の見える範囲の視点だけで鈴木を押さえつけてしまって良いのか? 
  • これからの経理部の果たす役割とその方向性は? 
  • 鈴木の才能をどう活用するのか? 

砂村は逡巡した。


論語からの引用

論語に「君子は人の美を成して、人の悪を成さず。小人は是に反す」という成句がある。

良きリーダーは部下の美点を褒め伸ばして使い、欠点をあげつらったりはしない。

人は自分の良い所を褒められるとモチベーションが上がっていい結果につながり、反対に欠点を責められると元気が出なくなる。

組織を動かす人の心得は、その組織を構成する全ての人の長所・強みを引出すことだ。


ありたい姿

迷った末、砂村は鈴木本人と直接話をすることにした。


砂村「田村からちらっと聞いたが、具体的にはどんな相談が来ているのかな?」

鈴木「実は田村さんから無理難題を言われて困っているんです。」


鈴木と対話を進めて行くうちに話は、仕事のやりがいや課長として仕事に及んでいった。

「そもそも鈴木は、どうして外資系コンサルからうちのような事業会社に転職する決心をしたの?」

システムの話題では饒舌だった鈴木は、この問いかけには暫く口を閉ざした後、ぼそっと、

「単なるシステム屋を卒業したかったのです。」

そしてこう続けた。

「もう一度田村さんと話をしてみます。基本的にはERPでの処理方法は変えられませんが、何か工夫できることはあるかも知れません。」

何か大事なことに気付いたのだろうか?

鈴木の表情がすっと明るくなったように感じ、砂村は彼を昇格させて良かったと思った。


まとめ

  • 部下の「長所」に焦点を当てる。当たり前ではあるが、忘れがちな上司の心掛けである。
  • 実務的には「短所」をカバーするように「長所」を活用する工夫が必要である。
  • そのためには、まず部下本人に長所と短所を理解してもらった上で、仕事でどういう成果を出したいのか?

プロフェッショナルとして「どうありたいのか?」を本人に考えてもらうことが重要である。


( 砂村 義雄 メンターの詳細プロフィールはこちら )

砂村 義雄
砂村 義雄

上智大学経済学部卒。外資系大手企業などで財務経理本部長などを歴任し独立。 経営者を対象としたエグゼクティブ・コーチング、及び企業向けにコーチングとコンサルティングを掛け合わせた「協業型コンサルティング」を提供。また「1on1ミーティング」導入支援や管理職研修を通じて、組織開発・企業風土改革のプロジェクトを展開中。名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)取得

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