千利休の教え − その8 − じゃない方
今回は、利休百首の中から「じゃない方」に焦点をあてた歌を紹介します。
「右の手を扱ふ時はわが心 左の方にあるとしるべし」
「右手で動作をしている時は、左手はおろそかになる事があるので、その存在に意識を向けなさい。」
茶の湯で例えると、柄杓で湯を汲む時は右手を使いますが、その際に左手がだらりとしていては、緊張感を含む全体の美しさが損なわれます。
右手の動きが大事なのは当たり前ですが、左手の方にも神経を集中するようにしたいものです。
(ちなみに、茶道は右利き仕様なので、左利きの方は苦労してます。。。)
「じゃない方」は左手だけではない
この歌では、右手に対する左手を代表として表現しています。なので、茶を点てる際には目も耳も含めた五感を集中させる事が大事です。
では、皆さんの仕事の場面では、どんな「じゃない方」がありますか?
大事な商談やプレゼンの場面、当日の資料や話す内容はもちろん大事ですが、ここに至る事前の準備の方が本当は重要だったりします。
また、チームで進める仕事には、ヒーロー的な存在もいますが、きっと黒子に徹してくれたメンバーがいるからこそのヒーローだし、チームの成果には欠かすことの出来ない存在だったりします。
「じゃない方」を意識すると右手はより輝く
一方で、「じゃない方」を意識する事で、逆に今の充実度が高まるというのも期待できます。
私の習性なのですが、仕事でも遊びでも有意義な時間を過ごしていると感じる時は、その空間を俯瞰して自分の周りを眺めたり、その一連の行為の限られた時間軸全体をイメージしたりすることがあります。
すると、不思議な事に有意義と感じる今が、さらにパワーアップするという感覚になります。
まとめ
ぜひ、あなたも、周りにある「じゃない方」の存在を意識してみてください。
自分やチームの立ち位置の再認識に役立つはずです。