上司の首を縦に振らせる
企業で仕事を進めていく中で、自分のやりたいことをやるためには、上司に決裁してもらう必要がある。
私は、エレベーターの製品開発、事業企画、営業でマネジャーとして仕事をしてきた中で、常に上司や会社の経営層に対して自分の考えを提言し、決裁を仰ぎながら事業と組織を動かしてきた。
降りてくるのは数年先の数値のみ
製品開発で求められたのはQCD。
Qは、製品そのものの品質(仕様や製品コスト、工事期間など)、Cは開発にかかる費用、Dは開発期間(納期)である。
特に製品品質の面では、他社にできない技術を作り込み、市場のパラダイムを変えていくための活動をストーリーにし、上司や会社の決裁を得てきた。
事業企画に異動していきなり直面したのが中長期的な数値目標だった。
5年後の販売目標台数、売り上げ規模、利益率。
事業企画初心者の私が責任者としてこの3つを受け取った。
数字を作り込み最適なプロダクトミックスを検討する
とにかくやってみよう。
本社の企画部門は少数精鋭。彼らの力を借りながら、情報を集め、数字の積み上がり方を理解していく。
メンバーと数字を見ながら、たくさんの選択肢をスピード感を持って検討していく。
事業の性格上、いくつかの商品をどんなバランスでお客様に届けていくかが、規模拡大と利益率の改善のキーとなる。
数字だけを見ると、5年後の3つの数字はクリアできるはず。
そう考えて数字を作り、それを実現するための施策を作った。
経営層が気にしていること
計画を立てる段階で、経営層に「よし、やれ」と言ってもらわなければ先に進めない。
普段話すこともないような、報酬は自分の10倍もある企業グループの役員との会議。
そこで問われたのは「課題は何か」と「どう対応するのか」のみ。
うまくいっていることは簡単な報告だけで良い。
逆に、経営陣が疑問を感じているようなことについては「川上はどう思う?」と率直に聞かれる。
給料が10倍違っても、意見を求めてもらえる時間だった。
最後はバックデータが自信を後押しする
そんな時でも自信を持って発言できるのは、バックデータ(数値データーや現場の情報)をしっかりと持っていて、それが頭の引き出しの中に、いつでも出せる状態にあるから。
「この事業に関しては誰よりも自分が詳しい」という自信の裏には、製品への知識と事業を運営していく上での課題と数値データーがあった。
だからこそ、経営陣も信用してくれて、首を縦に振ってくれたのだと思う。
結果的に、大枠での数値目標は与えられるものの、進め方は自分たちの考えた通りに進めることを許された。
これを各支社や現場に届けるために伝わりやすい姿にして伝えていく。
常にデータを持っていて、相手によって伝え方を変えていく。
そのコミュニケーションの中で、自分のやりたい仕事のやり方に対して上司の首を縦に振らせるのである。
まとめ
仕事を進めていく中で上司の決裁を仰ぐタイミングはたくさんある。
「上司が認めてくれない」と感じる人は、もしかすると「情報が足りなくて自信がない」か「伝わるストーリーができていない」のかもしれない。
上司の視点に立つと、そこがしっかりしていれば「よし、やれ」と言ってもらえるはずだ。