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「正論」と「正解」

経営者やリーダーが直面することの一つが「正論」と「正解」の違いです。

正論とは、道理に適った正しい意見。誰からも後ろ指をさされない筋の通ったことが正論です。

一方、正解とは、正しく解くこと、正しく解釈することです。

ビジネスの現場では正論でなく正解が求められることが多いですが、その判断が難しいのです。

自分の決定が正解なのか、それとも経営者の単なる甘え、逃げなのかが分からなくなるのです。


売上金に手を付けた社員

私の経営している会社では、かつては金銭不正のようなことが何度か発生しました。 店の売上金を胡麻化して自分の懐に入れるという事です。

あってはならないことですし、私もとても心を痛めました。 残念なことに一度ならず二度もやってしまう社員もいました。

正論で言えば、二度もやってしまったら通常は解雇ですよね。 しかし、ここが判断の難しいところ。

その社員は、金銭面以外は非常にまじめで会社にとても貢献していたのです。 彼が急に抜ければ組織としての痛手は大きい。

また彼も直ぐには仕事も見つからず生活に困窮するかもしれない。 しかし、これを軽い処分で済ませれば他の社員はどう思うのか?

組織のモラルが崩れるのではないか?  理念に照らしたらどうすべきなのか? 経営者として判断に迷うところです。

正論でいえば二度も不正を行えば退職させるのが妥当でしょうが、 正解で考えれば、色々な選択肢が考えられます。

彼の今後の生活や人生、店舗の人員体制など考えればきちんとペナルティは与えて、 一方雇用は継続するということもあり得ます。

しかし、それは本当に正解なのか、それとも自分の甘え、逃げなのかで悩むのです。


自分都合かどうかを確認する

こんな時に私がいつも意識するのは、 自分の下す判断が自分都合になっているのではないかという点です。

自分が厳しい処分を言い渡すことが嫌なので穏便に済ませる、 人が不足しているので仕方なく継続雇用するなど、 自分都合の判断になっていないかを自分で振り返ります。

現場では正論ではなくて正解が必要などといいながら、 結局は自分が逃げているだけということもあるのです。

大切なのは、よくよく自分の心の内側を点検して、 この状況で最善の選択は何かを自問自答すること。

そうすることで、最善の選択でなく自分に甘い選択をしたときに、 自分は逃げたのだと自覚できます。

本来は、~すべきだったが、今回は自分に甘い選択をしたと振り返りができれば次回からは正しい意思決定ができるように心掛けます。

経営の現場では状況に負けてしまうこともありますが、それでも自分を胡麻化さないことが重要です。


白が黒に見えるリスク

本当は違うと思っていながら、「これで良いのだ」「これが正解なんだ」と自分を偽っていると 何が正しいのかが分からなくなっていきます。

自分を胡麻化し続けていると、そのうち白が黒に見えるようになります。

例えば資金不足で苦しんでいたり、人不足で運営が厳しい時、 普通に考えれば絶対に選択しないような意思決定をしてしまうのです。

白が黒に見える、追いつめられるとあり得ない意思決定が正解だと思えてしまうのです。

とても怖いことです。 経営における大きな失敗は、このような中から発生するのではないでしょうか。


まとめ

経営者は、常に自分の意思決定を客観的に振り返り、 自己都合ばかりで判断しないように意識して訓練することが大切です。

そのためにはコーチやメンターとのセッションを通じて客観的に自分をみつめることが有効です。



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湯澤 剛
湯澤 剛

大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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