「毎月必ず変える」 自分と約束した結果がもたらしたもの
入社して人事部に配属になり、最初は採用課、次に人事課に所属しました。
山谷はありましたが、それなりに自分では成果を出している感じのあった30歳の時、社内広報課へ異動になりました。
上司にそれを告げられた時には、人事から外れる感もあり、正直に言って大変残念な気持ちでした。
ところが、あることをきっかけに、「毎月のひと工夫」によって、最高の仕事に変化していきました。
異動は嫌、さらに厳しく思えた指摘
人事部では採用を2年間担当し、人事課に異動した後には、人事制度の運用や部門の人事担当、海外に出向している方のケアなど多くの仕事を抱え、あふれるような仕事に溺れかかったこともありました。
しかし、忙しさをむしろやりがいに感じ、まだまだこれからやれることがたくさんありそうな気がしていました。
社内広報課は人事部ではありましたが、狭い意味では人事の仕事ではありません。
社内広報課の主な業務は、毎月社内報を発行することです。
私の前任の方は長くこの仕事を担当されていらっしゃいました。
私は、「前任の先輩がやっているようにやればいいだろう」くらいに考えていました。異動後ひと月くらい経過して、課長から意外なことを聞きました。
部長が、「吉森君が行ったのに社内報は何も変わっていない」と言われているというのです。
いささか気分がよくありませんでした。
社内報は1カ月に一度の発行、前任の方はまだ在籍されていて、3カ月くらいしっかり引継ぎをするようにと言われていたからです。
どういう意図で言われたのかは、わかりません。
激励だったかもしれませんね。未熟な当時は反発心の方が強かったです。
その時、こんなふうに思いました。「変えていいんだな。じゃ、変えよう」。
「毎月必ずひとつは新しいことをする」
それから自分に課した約束があります。
「毎月必ずひとつは新しいことをする」です。新製品ですね。
引き継いだ当時はタブロイド新聞型だったのをA4雑誌型に変え、タイトルを「創造」から「Creativity」に変えました。
印刷会社に発注していた社内報のレイアウト、割付を社内の印刷室のDTPでやることにし、私と印刷室の担当者で行いました。
社内報の表紙デザインは、社内のデザインセンターのデザイナーに毎月持ち回りで担当してもらいました。
コンテンツも新しい企画をやりました。
社外の経営者や文化人などにインタビューする「月イチインタビュー」、職場で目立たないけれどもしっかりと役割を果たしている人を取り上げる「私はここにいます」、エッセイ風のコラムなど。そうそう写真コンテストもやりました。
毎月となると、大きな変更ばかりできるわけではありません。そういう場合には、「ここの文字の大きさを1ポイント大きくしよう」とか、「明朝体からゴシック体に変えよう」や、「今までよりも写真の大きさを大きくしよう」とか。
小さな変更、小さな新製品も自分に許して、とにかく「毎月必ずひとつ新しいことをする」はやり続けました。
毎月の約束は、自分でも驚くように私にとってこの仕事を最高のものに変えていきました。
とにかく新製品、新企画を考えるのが楽しいのです。
上司にはいい意味で任せていただいたので、自分で考え多くのことを決めることができました。
印刷物ですから、目に見える形で残ります。自分でも変化を実感します。
身びいきは承知の上ですが、よくなっているなと思います。
全員が読むものですから、社長の方針や考えを発信していただく場にもなります。
会社に何か良い影響を与えることができると思って企画なども考えていました。
その頃は知りませんでしたが、これを並べてみると「モチベーション3.0」に書かれているモチベーションの源泉「自律性」「熟達」「目的」にあてはまっているんですね。
自分で決めた約束はたった一つのことでしたが、やり続けてよかったなと思います。
まとめ
望まない異動で少しやる気をなくしかけましたが、「毎月変える」という自分との約束をすることで最高になりました。
いま思えば、上司の指摘を別の角度から見ることができたからよかったと思います。
「変わっていないよ」と言われ、それを「あ、変えていいんですね。だったらやりますよ」と思えた。
青臭い反発心があったことも否定しませんが、見る角度を変えることで前向きに進むことができたのかなと思います。
見方や視点を変えることで、まったく違う景色が見え、道が開けることがあります。
自分でもできますが、コーチング・メンタリングを受けることで効果的な気づきが得られることも多いですよ。