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中小企業は1対1のマネジメント

中小企業では、実に多種多様な人材が働いています。 特に中途採用中心の企業では、個人のバックグラウンド、モノの考え方や会社に期待すること、働く目的などが全くバラバラという状況も多いのです。

更には業務上でつかう各種の用語も、それぞれの前の職場のものを使い続けているようなこともあります。

例えばウチの店舗でも、前職の外食企業のフレーズの「はい!喜んで!」を現場で使い続けた社員が存在しました。

このようなバラバラの社員をまとめるために、中小企業経営者は日々頭を悩ましているのです。


大企業との違い

このように苦労をしている経営者に対して良く言われるのが、 「新卒が社員の半分になった時に本当に会社は良くなっていく」ということです。

確かに自社で新卒を採用し育成していけば、 自社独自の組織文化が徐々に形成されていくでしょう。

大企業では、入社の段階で選別をしてある一定の基準をクリアした新入社員を採用し育成していくことが可能です。

一方、中小では、そもそも選ぶほど応募者が来ることは無いですし、 新卒採用中心で人員体制を構築するステージに至っていない企業が多いのが現実です。

実際には、中途採用中心で応募してきた人はほぼ全員採用して、 何とか人員数を揃えているという状況が多いのです。

結果として、前述のように社内にバラバラの考え方が存在し、とても一致団結とはならないということになってしまうのです。


1対1こそ中小企業のマネジメントの鍵

そんな中で、少しでも会社の理念やビジョンを浸透させ一体感を醸成するために有効なのが、経営者と社員の1対1の面談です。

社員数が大企業のように多くないということをアドバンテージに捉えて、経営者が定期的に一人一人の社員と30分から1時間、じっくりと時間をかけて面談をするのです。

そしてその中で個人が求めているものと会社の方針を擦り合わせていくのです。

一見すると、会社の方針とは合わないような社員個人の考えも、「何のためにそれをしたいのか」と問いかけていくことで、徐々に抽象度が上がってどこかで会社の方針と一致する点が見いだせるのです。

例えば、役者として成功するために今はお金を稼ぐ目的だけで働いている社員のケースも、お客様に喜んでいただくという点では共通しているし、今の仕事から将来の夢につながる道は見出せるのです。

コーチングのようなコミュニケーションのスキルを使って、 個々の社員との関係を強化していきながら個人の目標と会社の方針を擦り合わせていくことが大切です。


一人一人に寄り添っていくマネジメント

以前、「企業にコーチングなんて不要だ」と発言した超優良企業の経営者がいました。

確かにその企業にとってはコーチング的なコミュニケーションは不要かもしれません。

就職人気企業で、優秀な応募者が殺到し自社に合う人材を選ぶことができ、 自分で考え自分で行動していける人材が育っていく環境ができていれば、個々に寄り添うようなコーチング的な対応は不要でしょう。

しかし、能力も考え方もバックグランドも多様な中小企業では残念ながらそうはいかないのです。

一人一人を良く見て、コミュニケーションの取り方を個別に工夫しながら、 良い面を見出してそれを基に業務の進めていく、そんな丁寧な寄り添っていくアプローチが必要なのです。


まとめ

多様な人材が働く中小企業は、社員の気持ちをまとめるのが難しいという面もあります。

しかし、一方で一人一人の社員と1対1で向き合って個々の特性を見て強みを見出しながら、会社の方針と個人の夢を一致させていくことができれば大きな力を発揮できます。

​​​​​​​大企業でも、1ON1の重要性が認識されてきていますが、 人数の少ない中小企業だからこそ経営者、リーダーがコミュニケーションスキルを磨いて社員の能力的、人間的成長を促していくことが重要なのです。

湯澤 剛
湯澤 剛
大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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