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リーダーが身に付けたい「ポジティブさ」とは何か?

あなたは、会社・組織内で様々なリーダーと協業したご経験をお持ちだと思います。

私も30年を超えるビジネスマン歴で、20人以上の上司・リーダーに仕えて来ました。この経験に基づいて、リーダーが身に付けたい資質についてお話したいと思います。

今日のテーマは「ポジティブさ」です。


「ストレングス・ファインダー」での意外な診断結果が!

20年ぶりに再度試してみた「ストレングス・ファインダー」診断。

上位5つの強みが、前回と比べてどう変化したのかに注目していたところ、意外な結果が出ました。

20年前には上位5つに含まれていなかった「ポジティブ」が最上位となったのです。

「え、どうして?そんなにポジティブな人間じゃないのに!」

むしろ自分自身では、「物事に対して疑り深く、批判的精神が旺盛。楽天的でイケイケどんどん、という人間では無い」と捉えています。

そこで、この素朴な疑問について考察してみることにしました。


そもそも「ポジティブ」とは何か?

「positive」とは、ロングマン現代英英辞典によると、こう説明されています。

" You are hopeful and confident, and think about what is good in a situation rather than what is bad."

つまり、悪い状況ではなく良い状況を思い浮かべて、希望や自信を持っていること。

また、「ポジティブ」を広辞苑で引いてみると、「積極的・肯定的」とあります。

そして、「ストレングス・ファインダー」のガイドブックによると、ポジティブとは、

「どんな状況でも常にポジティブな面を探す。生きていることは素晴らしい、仕事は楽しいものにできるという信念を持っている。周りにプレッシャーを感じさせない。」

とあります。

そして、

「状況判断の認識が甘いから、根拠なしに前向きで自信を持っている訳ではない。」

という説明もあり、私は、「なるほど、これだ!」と合点が行くように感じました。


ポジティブな上司とは?(私の実体験)

「では、これまで仕えてきた上司の中でポジティブな上司は?」と問われて思い出すのがA部長です。

私は既にその外資系IT企業で15年以上の経理経験がありました。そこに経理部門以外から異動してきたのがA部長でした。

「え、Aさんが私の上司? 業務系出身で経理の経験は全くないよね?」

私は正直面食らっていました。なぜなら上司への説明や説得が厄介になることを恐れたからです。

しかし、私の心配は程なく杞憂に終わります。経理実務の経験は全くないものの、これまで私が仕えてきた経理畑の上司とは働く姿勢と仕事への視点が全く異なっていることに気が付きました。

「Aさん、すみません遅くなって。米国本社へ送るレポートが出来たのでチェックして頂けますか?」

恐る恐る席に伺ったのが夜の9時過ぎ。自分の仕事で忙しくしているA部長でしたが、私の言葉にすぐさま体をこちらに向けて、私に視線を合わせました。その日が月次レポートの締め切り日だったのです。

どんな突っ込みが来るかと内心ドキドキの私の気持ちをよそに、ざっと目を通したA部長は、「なるほど、そうか。OK、これで提出しておいて!」と躊躇すること無く承認してくれました。

「え、これで大丈夫ですか?」ダメ出しされることが、それまでの上司では日常茶飯事だったため、私はむしろ心配で返答しました。

「あー、分析内容は的を得ているので大丈夫。それに砂村が自分で調べて書いたんだろ? 工場長のSさんから話は聞いている。何か心配な部分があるのかい?」


こんな上司と協業したい!

A部長と一緒に仕事をする頻度が高くなるにつれて、色々な事に気が付きました。

それをリーダーの「ポジティブさ」という切り口で振り返ってみると、次のようなことが言えると思います。

( 1 ) 物事に対するオープンさ

経理関連の経験が無かったことが奏功しているのかも知れませんが、私も含めて部下や他部署の人の話に耳を傾けていました。

これまで他部署で色々な経験をされているので、「それは変だ、間違っている」という思いもあったはずです。

しかし、そういう言葉は聞いたことがありませんでした。

外界に対してしなやかに対応する、「開かれた存在」という印象で、アグレッシブで突飛な私の申し出にも、笑いながら付き合ってくれました。

( 2 )  視座が一つ上

部下と同じレベル・土俵ではなく、もう一段上の視点で議論する姿勢を持っていたように感じます。

経理の視点ガチガチである私の分析内容を見て取って、「数字的にはそうなんだけど、工場部門の人はどう考えているかな?」「アメリカ本社はその数字の大小をどう感じるんだろうか?」など、高い視座で仕事を捉え、広い視点で周りの人たちを見ていたんだと、今になって感じます。

( 3 ) 行動を起こす・行動を起こさせる

もう一点秀逸だったのが、部下に行動を起こさせる働きかけ方です。

それまでの上司は、「なんで、こんな分析になるんだ? おかしいだろう、S工場長に聞いてこい!」 こんな言動が日常茶飯事でした。

これに対してA部長は、「分析が少し甘いこの部分は、俺が業務課に聞いてみるよ。砂村はSさんに確認してみてくれ。いつごろ出来そう?」

自分で動く部分と部下の分担の切り分けが絶妙で、かつ、少し高いハードルだが乗り越えられそうな仕事を割り当てるのが上手でした。


まとめ

私はA部長の足元にも及ばないですが、ポジティブな上司と協業した部下として感じるのは「安心感」です。

一緒に仕事をしていると、なぜか「上手く行くような」気がするのです。

のびのびとした気持ちで仕事を進めることが許され、困ったときには絶妙な指示をもらえる。

リーダーの「ポジティブさ」には、いくつかの側面があるかと思いますが、私なりにまとめてみると以下の通りです。

  • 単に楽天的というより、物事の「プラス面」に目を向けている。
  • 「行動する」ことを推奨する。「どうすれば仕事を前に進めることが出来るのか?」という志向や考え方を持っている。
  • 一方、物事のポジティブな面だけではなく、実はネガティブ部分や懸念点にもきちんと目配りして、必要なアクションを取っている。

このようなリーダーと一緒に仕事が出来たら、出社することが楽しくなりますね!




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砂村 義雄
砂村 義雄
上智大学経済学部卒。外資系大手企業などで財務経理本部長などを歴任し独立。 経営者を対象としたエグゼクティブ・コーチング、及び企業向けにコーチングとコンサルティングを掛け合わせた「協業型コンサルティング」を提供。また「1on1ミーティング」導入支援や管理職研修を通じて、組織開発・企業風土改革のプロジェクトを展開中。名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)取得

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