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中間管理職が活用したい「セルフコーチング」

組織の一員として働くあなたは、日々様々な課題に遭遇していることと思います。

今回は、私がビジネスマン時代に遭遇した出来事を振り返り、「セルフコーチング」でどのように対応したのかを検証してみます。

今日のテーマは「気付きで行動を変える」です。


「え、そんな風に感じていたの?」

「今日も終電か! そろそろ帰ろう、乗り遅れてしまう!」

連日連夜の激務に疲れているのだろう、無言で書類を片付けた部下のAさんと足早にオフィスを出た。

遡ること5年ほど前に、経理課長の私が初めて中途採用した経理課員のAさん。

彼女らしいこれまでの溌剌(はつらつ)さの影は無く、視線は伏し目がちだった。

「毎晩の残業、ご苦労様!」

という私の声に突然反応したAさんは、乗客がまばらな車内でこう切り出した。

「もう疲れました、そして嫌になってきました。体育会で鍛えたので体力には自信があるので、残業は問題無いのですが、このままではいつまで続けられるか・・・・」

そして少しためらって、Aさんはこう続けた。

「前に比べて、砂村さん、変わりましたね。何ていうか、仕事に対する取り組み方が。」

Aさんはこれ以上は語らなかったが、私の頭の中には思い当たることがあった。


様々な変化

「ひょっとしたら、彼女を追い詰めてしまっているかな?」

大型コンピュータ事業部のアジア太平洋地域を統括する経理部門へ経理課長として異動になってから、私の業務範囲は日本からアジア全体に広がり、一人では対応が難しくなっていた。

それまで以上にAさんへ仕事を依頼することが増えていったのは事実だが、業務量だけの問題ではなかった。

私の新しい上司であるV氏はシンガポール在住のフランス人。

米国人とは異なり、掴みどころが見えない人物という印象を私は持っていた。

しかし、仕事となると細かいところに妙に拘り、時には感情的になることもあって、要求度が高い上司だった。言葉の壁もあったのかも知れない。

やり取りすることに嫌気が差し始めた私は、財務分析の業務はV氏からの依頼メールを、そのままAさんへ転送、きちんと背景や目的などの説明もせずに、「なるべく早く対応するように」と指示するだけが日常茶飯事となっていた。


セルフコーチングによる内省

Aさんと乗り換え駅で別れた私は、「砂村さん、変わりましたね」という言葉が頭の中でぐるぐると回るのを感じていた。そこで車内の端の席で持たれかけながら、自分に問いてみた。 

●自問

「そもそも自分は、新たな経理課長の役割をどう理解しているか?」


◯自答

グローバル展開している外資系企業では組織変更が日常茶飯事。目の前の業務をこなすことだけに目を奪われ、自分の役割や果たす責任がぼんやりしていることに気付いた。

「どうせまた組織は変わるかも知れない」という勘繰りもある。そんな思いの上司をAさんや他の部下たちはどう見ているのか?

それでは、今の自分に、何が出来るのだろうか? それは原点に返ることかも?

つまり、部下を含めて自分のチームを守り、部下のモチベーションを維持しながら新しい知識と経験によって人材育成を行う、という基本業務だ。

アジア諸国との関わりを活用すれば、部下たちに新たな知見を体得させる良い機会になるはずだ!


●自問

「上司のV氏は何を成し遂げようとしているのか? どのような期待を持ち、一方、どんな障害を感じているのだろうか?」


◯自答

国籍や言語、勤務地が異なろうが、上司も含めて自分たちは、同じ方向性で共通のゴールを見据えて仕事を進める必要がある。

そして、新たなポジションと業務範囲に関して私が抱えている不安と同様、いや、それ以上に上司であるV氏も不安や懸念を抱えているかも知れない。

そこに今まで私は気付いていなかった! 従って、部下として上司の懸念に配慮し、お互いの心配や障害について共有する機会を作る努力、働きかけを行うのが良いのではないだろうか?

つまり、お互いの相性や好き嫌いをうんぬんするのではなく、上司のビジョンを達成するために、自分と自チームというリソースを活用、能力開発を実現するという「win-win」な関係構築を模索する、という発想を持つことが大切だ!

●自問

「自分の正直な気持ちをIさんへ伝えたら、何が起こるのだろうか?」


◯自答

入社以来ずっと一緒に仕事をしてきたAさんなので、少なくとも私の状況は理解してくれるように思う。

しかし一方、経験値やコミュニケーション力という点で開発途上なので、Aさんにこれ以上の負担をかけることは物理的に難しいだろう。

そこで、Aさんとの間では、お互いの役割分担や守備範囲を明確にすることで無用な軋轢を回避し、他の部下たちも含めて「ワンチーム」としての対応が出来るような雰囲気を創っていく。

これが出来れば、少なくともAさんの気持ちが離れて、モチベーションを下げてしまうことは避けられるかも知れない。


自分の行動を無理やりでも変える

セルフコーチングをしたからと言って、その後の激務状況が変わる訳ではない。

しかし、私として先ず出来ることは、上司のV氏との関係構築である。相変わらず様々な要求が電子メールで来ていた。

それをそのままAさんへ転送するのを止め、この財務分析レポートを作成することの意義や目的をV氏に改めて確認することにした。

そしてその際に、Aさんを含めた自分のチームメンバーの能力や強み・弱みなども書き添えて、V氏からの要求に応えられないことも多いと正直に伝えたのだ。

その夜にV氏からこんな返信があった。

「状況は分かった。私も同様の懸念点を持っていたので共有が出来て良かった。先ずは出来ることに注力して対応するように。砂村の部下たちの能力向上は別途一緒に考えよう。私の目指すところはチームメンバーのスキルアップだ。」

V氏からの返信内容をAさんに直接伝えることしなかった。

しかし、私からAさんへの仕事の依頼方法が変わったことで、何かが伝わったのかも知れなかった。

V氏から電子メールによる依頼は相変わらず多かったが、Aさんの表情は少しずつ明るくなってきているように私には感じた。


まとめ・教訓

中間管理職には文字通り、上位者と下位者との「擦り合わせ」という重要な役割があります。

その役割を果たすためには、様々な形のリーダーシップを発揮する必要があると思います。

  • 上司や上位組織が達成しようとしているゴールやビジョンを敢えて言語化してもらい、確認する。
  • 自分が率いるチームの方向性を定め、旗振りをしながらチームを導く。
  • 状況や懸念点をタイムリーに、正直に伝え、協力を仰ぐ柔軟な姿勢。

ご自身が発揮するリーダーシップを自分なりに振り返ってみると、色々なことが見えてきます。

メンターと一緒に振り返ってみませんか?

砂村 義雄
砂村 義雄
上智大学経済学部卒。外資系大手企業などで財務経理本部長などを歴任し独立。 経営者を対象としたエグゼクティブ・コーチング、及び企業向けにコーチングとコンサルティングを掛け合わせた「協業型コンサルティング」を提供。また「1on1ミーティング」導入支援や管理職研修を通じて、組織開発・企業風土改革のプロジェクトを展開中。名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)取得

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