ドラッカーの5つの質問
ドラッカーは、非常にシンプルな5つの質問を我々に投げかけた。 シンプルな質問であるからこそ答えにくい。
しかし、それを深く考えることにより、いまの組織がどのような状態か把握でき、将来に向けてのミッションとビジョンが見えてきた。
5年前、オフサイトミーティングで
会社のマネージャーが集まるオフサイトミーティング。
そこでグローバル本社が掲げた全社共通のミッションから、我々日本が、またその一つ一つの組織が、それをどう実現していくかを議論した。
ミーティングでは、「経営者に贈る5つの質問 The five most important questions.(ダイヤモンド社)」を使い議論を進め、部門毎に暫定ミッションを策定した。
その後、半年間継続して、これらの質問に向き合うことで、議論が深まり、我々は、何を実現したいのか、つまり部門のミッションが徐々にクリアになり、未来へのコミット、顧客へのコミットが明確になった。
ドラッカーの5つの質問とは
- 第1の質問:「われわれのミッションは何か?」
- 第2の質問:「われわれの顧客は誰か?」
- 第3の質問:「顧客にとっての価値は何か?」
- 第4の質問:「われわれにとっての成果は何か?」
- 第5の質問:「われわれの計画は何か?」
これら5つの質問の主語は、「われわれ」である。
つまり、社長や部門長が考え、答えを共有するので無く、すべての人が、同じ土俵の上で取り組むことを意味している。
われわれのミッションは何か?
私たちはこの議論を通し、ミッションとは、われわれは何を、何のために行うのか、その組織の存在理由は何か、それらをシンプルに表現するもの、目的のみを規定し手段は規定しない、と言う結論にたどり着いた。
そして私たちも、非常にシンプルな言葉で、私たちのミッションを表すことに成功した。
その後、一度の改版を行い、初回の策定以来5年間、部門の中に浸透し続けている。
例えば、国際赤十字のミッションは「弱者への奉仕」。
極めてシンプルだが、赤十字のすべての活動と将来のありたい姿が、この言葉の中に凝縮されている。
私たちのミッションも、こんな感じた。
ミッションを具現化するビジョン
ビジョンは、こうありたいと言う未来の姿。
ミッションは目的や存在意義を規定しているのに対し、ビジョンは、時間を区切り、ありたい姿を明確にするものである。
前出の国際赤十字であれば、「弱者への奉仕」を、どのように実現していくか。
例えば、紛争や災害時の救援活動や防災活動などにおいて、いつまでに何をどのように実現するのかを定義している。
ミッションとビジョンが具現化されると、誰もの同じ旗の元、同じ方向で進むことができる。
我々にとって、羅針盤のような存在だ。
まとめ
まだ第1の質問「われわれのミッションは何か?」しか触れていないが、1から5の質問を繰り返し考え抜くことで、ミッションに深みが増してくる。
我々の顧客は誰かを見極め、その顧客にとっての価値、そして何をもって成果とするかかが明らかになってくると、いま行っていること、行っている理由、これから行うべきことがクリアに見えてくる。
組織の大小に関わらず、組織のリーダーであれば、自らのチームを引っ張っていく上でも、この5つの質問に皆で取り組んでもらいたい。