1on1に役立つ基礎理論 〜 経験学習モデル
企業の中で導入が広がる1on1ミーティング。ですが、「うまくいっているとは言えない」という声も多いようです。
1on1本来の効果を得るためには、「知識」と「実践」の両面から取り組む必要があります。
今回は、1on1の基盤とも言える、「経験学習モデル」についてご紹介します。
教わることより効果的な学習とは
経営コンサルタントのロバート・アイチンガーの研究によると、人は仕事において、7割を仕事上の経験から学び、2割を他人からの助言やフィードバックから学び、1割を研修などのトレーニングから学ぶと言われています。
また、組織行動学者のデービット・コルブは、学習とは、「経験を変換することで知識をつくり出すプロセス」と考え、「経験学習モデル」を構築しました。
経験学習モデルは、
- 具体的な経験をし、
- その内容を振り返り、
- そこから得られた教訓を抽象的な仮説や概念に落とし込み、
- それを新たな状況に適用することによって人は学習する
というものです。
部下が一人でこのサイクルを回せるようになることが最終的なゴールですが、それまでは、上司がその「補助」を行い、部下の習慣化を促します。
定期的、かつ、継続的に行う1on1は、この経験学習モデルのサイクルを回す上で、最適な機会となります。
経験学習モデルの例
ここで、経験学習モデルの例を見てみましょう。
① 具体的な経験をする
新規事業の商品イメージを、既存商品の画像を使ってコラージュしてみたところ、社内の非協力者たちが一気に賛成者になりプロジェクトが進んだ
② 経験を振り返る
非協力者の誤解が解けたほか、社内の既存リソースの活用のイメージが具体化・共有化され、「これはいい、これなら可能」と思ってもらうことができた
③ 教訓に落とし込む
賛同者を増やすには、分かりやすいビジュアル資料を作成・活用すると効果的
④ 新たな状況に適用する
特に、部署横断的な資料には、画像や図解を多く使い、共感を引き出したり、理解を深めたりする工夫を行う
この例は、うまくいったケースですが、うまくいかなかったケースにおいても、同様にサイクルを回すことができます。
では、この経験学習モデルを、1on1の中でどのように使えるのか、見てみましょう。
1on1へ生かしてみよう
①内省の支援の質問例
- 今回の取組みを振り返ってみて、自己採点すると何点?
- 良かった点は?
- 課題や改善が必要と思うところは?
②概念化の支援の質問例
- 今回の取組みで、得られた気づきや学びは? 他には?
- 教訓として、「大切な3つのポイント」をあげるとすると?
③適用の支援の質問例
- 今回の教訓をどんなことに役立てられそう? 他には?
- さらに工夫できるとしたら、どんなことができそう?
④具体化の支援の質問例
- まずは、この教訓を何に生かす?
- 具体的には、どのように生かしていく?
まとめ
このように、部下の成長を促す方法として、部下に自身の経験を振り返らせ、どのような結果であってもその経験から教訓を引き出し、今後の活動にどのように生かせるか、具体化を支援することが有効です。
1on1は、このサイクルを回すのにとても良い機会です。ぜひ、実践してみてください。
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