あなたのメンターは、誰ですか?
先日、顧問先の会社の社長さんとランチミーティングをしていたときのこと。
突如、社長さんから次のような質問を投げかけられました。
「先生には、メンターっているんですか?」
私、これまで色んな方を見て、その人の素敵なところを取り入れようとすることはあったものの、「メンター」と呼べる特定の方はいませんでした。
そこで、正直にその旨を伝えると、社長さんは、ご自身の「メンター」について話してくださいました。
一から全てを教えてくれた人
その昔、会社を継ぐために、社長さんは父親の会社に入社しました。
しかし、それまで勤めていた会社と、業界も業種も全く異なるため、経営者として一から勉強する毎日だったそうです。
そんなとき、同業他社を経営していた「メンター」に出会いました。
メンターは、何も分からない社長さんに、帳簿の読み方から従業員との接し方まで、手取り足取り教えてくれました。
社長さんと同世代の経営者らに声をかけ、勉強会を開いたり、人脈を築くきっかけも与えてくれました。
父親のやり方には、反発したり疑問を抱いたりすることがあったものの、「メンター」の言葉には、素直に耳を傾けることができたそうです。
そう、社長さんにとって「メンター」は、一から全てを教えてくれた人、でした。
ビジネスの厳しさを、身をもって示してくれた人
しかし、この方が社長さんにとって「メンター」になった理由は、これだけではありませんでした。
「メンター」は、社長さんにだけでなく、色んな人に手を差し伸べるとても優しい人でした。
そして、困っている人から頼まれると、嫌とは言えない、断れない、という弱さもありました。
この弱さに付け込まれて、借金の肩代わりをしたり、二束三文の不動産をつかまされたりしたこともあったそうです。
そして、最終的には、この弱さが原因でご自身の会社の不動産も手放さざるを得なくなり、「メンター」は倒産してしまいました。
それでも、嘆くことなく、最後まで笑っていたのが印象に残っているそうです。
そう、社長さんにとって「メンター」は、ビジネスの厳しさを身をもって示してくれた、反面教師でもありました。
「メンター」の魅力
「メンター」というと、私の中では、“模範になる人”という固定観念がありました。
しかし、社長さんのお話によると、「メンター」の魅力は、必ずしもそれだけにとどまるものではないようです。
長所も、短所も、その人らしさすべてが、誰かの「メンター」になるのですね。
さぁ、あなたのメンターは、誰ですか?