「交渉」の成否は事前準備にあり(補足:リーダー視点)
前回と前々回の2回にわたって、交渉の事前準備の紹介をしました。
大学や大学院でも、交渉を扱った科目が存在していますが、決してアカデミック一辺倒ではなく、実務への応用度が非常に高い学問であります。
交渉における事前準備について、リーダー視点で意識して行って頂きたい事について補足したいと思います。
交渉の場に臨む人は誰?
日々の仕事では、他者(取引先、お客様、他部門など)との交渉は、比較的多く発生すると思います。
それらの交渉は、ステージによって交渉に臨む人が異なることでしょう。
皆さん自身が、交渉に出席する場合は、これまで紹介した交渉前の事前準備を用意して頂ければと思います。
一方で、交渉をメンバーにゆだねる際の事前準備は、メンバーだけではなくリーダーである皆さんも一緒に考えて用意するようにして下さい。
一緒に考えて用意するメリット
誰が交渉に臨むかに関わらず、その交渉の目的(ミッション)は必ず確認します。
仮に確保できる時間が数分しかなくても、これだけはリーダーである皆さんはしっかりとメンバーとの共有が大事です。
交渉内容が困難であればあるほど、この目的(ミッション)の存在が出席しているメンバーの大きな拠り所となり、無用な交渉結果を招くリスクが軽減し、メンバー自身の交渉力向上にも貢献します。
交渉は合意が成功ではない
そして、リーダーとしてもう一つ大事な視点。
それは、交渉は合意することが成功ではない、という事をリーダー自身が認識して、メンバーに伝えて下さい。 交渉の成功は目的の達成に近づくことです。
交渉の場面では、誰しもが「合意バイアス」という心理的な思い込みを持ってしまします。
- 合意する = 交渉成功 = 私の評価 Up
- 合意しない = 交渉失敗 = 私の評価 Down
交渉に臨む前のメンバーに、合意バイアスの呪縛を取り除くことも、リーダーの役割です。
この合意バイアスも、目的(ミッション)が明確になっていて、代替案(BATNA)の用意があれば、回避しやすくなります。
つまり、事前準備がしっかりと出来ていれば、交渉は怖くないという事です。