1on1 はじめてみたけど、何か違う…
もしあなたが、1on1の導入担当者の立場で、「1on1を導入してしばらく経つけれど、その効果がなかなか見えてこない」とお感じなのであれば、いちど点検をされた方が良いかもしれません。
あちらもこちらも「ワン・オン・ワン」
今から20年ほど前にインテル社で誕生したとされる、上司と部下による「1on1ミーティング」(以下、1on1)は、その後シリコンバレーのIT企業などを中心に広がり、今では、日本の多くの企業でも導入、または導入を試みるようになってきています。
地下鉄に乗っているサラリーマン同士の会話からも、「昨日のワン・オン・ワンでさぁ…」と聞こえてくることも多くなり、ひょっとすると、それを知らないというビジネスパーソンのほうが少なくなっているかもしれません。
しかし、「ワン・オン・ワンをやっている」というビジネスパーソンにその実態を聞いてみると、それは、シリコンバレー由来の「1on1」ではないことが多く、日本では「上司と部下の1対1面談」と言う形式のみを表した広い意味での「ワン・オン・ワン」が ”蔓延” していることが分かります。
それ自体が悪いことではありませんが、そもそも経営者や人材育成責任者などにとっては、シリコンバレーのIT企業や日本のYahoo!などで効果を発揮している、あの「1on1」を導入しようとしたはずですので、これを小さな問題と放っておくわけにはいかないでしょう。
「ワン・オン・ワン」と「1on1」の違いとは
では、「ワン・オン・ワン」と「1on1」とは、何が違うのでしょうか?
1on1について、公式な定義があるわけではありませんが、概ね、「上司と部下が定期的・継続的に対話を行うもの」、「部下を主体とし、話す内容は仕事からプライベートまで多岐にわたる」などが共通して表現されています。
ちなみに、Biz Mentor では、「1on1」について少し長いですが次のように定義しています。
< 1on1ミーティングとは >
1on1ミーティングとは上司と部下の間で、月1~2回、30~60分程度、定期的に行われる1対1の対話のことをいう。
扱うテーマは、仕事からプライベートまで広範囲に及び、都度、部下自身が決める。
対話は、部下の主体性を尊重し、コーチングやティーチング、フィードバックなどのスキルを使用する。
正しく実践することで、部下の仕事への熱意や、仲間への愛着が高まり、部下の意欲やスキル、メンタルヘルスの向上に役立つ。
その結果、組織として高いパフォーマンスの発揮が期待できる。
Biz Mentor「1on1実践トレーニング」より
一般的な「ワン・オン・ワン」では、部下よりも上司のほうが多く話していることが多く、このような対話では、「1on1」の本来の効果である、上司と部下のエンゲージメント(絆)、部下のモチベーション、心理的安全性などの向上にはつながりにくいでしょう。
この問題は、1on1導入責任者にとって見逃すことのできない大きな問題だと言えるのではないでしょうか。
「1on1導入研修」の落とし穴
一方で、研修会社などを活用して「1on1導入研修」を実施する企業も少なくありません。「本来の1on1」を学べるという点で、導入責任者も一安心でしょう。
しかし最近、そのような企業から聞こえてくるのは、またしても「なんか違う」という声なのです。
詳しく話を聞いてみると、その「1on1導入研修」は半日〜1日ほどの研修であることが多く、内容については、1on1を行う効果や重要性についてはたっぷりと解説があるものの、1on1の実践方法については、せいぜい「傾聴」のスキルを数分程度のロールプレイで体験するのみ。1on1をどのようにスタートし、どのように進め、どのように終わらせたら良いかなどの解説は全くなかったというのです。
これでは、本来の効果を生み出す1on1ができるようになるわけがありません。
1on1の効果が出ない3つの理由と対策
1on1で使用する主なスキルは、コーチング、ティーチング、フィードバックなどとされており、そのうちコーチングのスキルは、1on1の主要スキルと言えるでしょう。
私は、コーチング研修・講座の講師として、10年以上その指導にあたってきましたが、効果の出るコーチングや1on1が実施できないのは、主に3つの理由があると考えています。
次回ブログで紹介したいと思います。
Biz Mentor では、「1on1を導入したが、うまくいっていない」と言う企業様向けの個別相談会を実施しています。
お問合せフォームよりご連絡ください。(https://www.bizmentor.jp/contact)