多面的な視点で「質問力」を鍛える
職場ではもちろん家庭において、我々が何気なく使っている「質問」。
その質問を創り出す力、いわゆる「質問力」を鍛えることには色々な利点があります。
たかが質問、されど質問。今回は「質問力」について考えてみます。
「質問」する目的とその効果とは?
そもそも我々はなぜ、質問をするのでしょうか?
自分が疑問に感じた時、不明な点を相手に尋ねるのが一般的な質問です。これは質問者、すなわち自分のための質問です。
また相手に気付いてもらうことで、行動を引き出すことを意図した質問もあります。これは相手のための質問ということになります。
そして、自分も相手も答えを持っていない、もしくは答えが漠然としている時もあります。一方、思考が堂々巡りをしていて、発想に行き詰まるという経験もお持ちでしょう。
そのような時に立てる「問い」は、今後の行動や将来に焦点を当てた「課題」と言えると思います。そして課題とは、自分や相手が置かれた環境や状況に由来するものなので、Googleでは検索できないもの!
自らの力で問いを立て、そして自らの力で最適解を常に探し続けることが求められます。
質問とは「課題設定」である
皆さんは職場のリーダーとして、例えば中長期計画を策定したり、来年度の予算を検討する機会があると思います。
その際、「5年後の社会情勢はどうなっているだろうか?」とか、「1年後の経済状況は、今とどのように異なっているだろうか?」などを自らに問うと思います。
これこそ将に自分にも相手にも「正解のない問い」です。 この種の問いかけには、自分と相手とで協力しながら答え見つける、探し続けることを促す効果があります。
取り巻く環境がこれだけ目まぐるしく変化する時代は、これまで無かったように感じます。
従って自分たちで、自分たちへの「問いを立てる」ことで自らの「課題」を見つけ出し、その答えを探し続けるという心掛けが、今の時代には非常に重要だと考えられます。
「質問力」は多面的視点で磨かれる
では、自分たちの行動や将来を探求させる質問とは、どういうものであったら良いのでしょうか?
答えというものは「問いかけ」から導かれるので、得られる答えの質や内容は、問いかけ自体の内容や質に依存すると想像されます。
従って、特に今後の行動や将来に焦点を当てる問いは、品質の高い、「良い質問」でありたいです。 では、良い質問とはどういうものでしょうか?
VUCAの時代と言われ、そもそも何を以って「良い・悪い」、「正解・不正解」を判断するのか、それ自体が非常に難しくなっています。
また、変化が激しいために、正解がころころ変化するという側面もあります。このような時代においてこそ我々が持ちたいのは、物事を「多面的に見る視点」です。
この視点は問いを立てるスキル、つまり「質問力」を磨くことで培われると考えられます。
質問を創り出す上で活用したい「多面的な視点」とは、例えば以下のような切り口です。
(1)仮定の立場を採る
- 制約条件を外してみる「お金の制約が無かったら、何を目指すか?」
- 制約条件を付けてみる「3ヶ月で成果を出すとしたら、何から手を付けるか?」
(2)時間軸を変化させる
- 視点を将来から現在へ「10年後の世の中を想像したら、今、何をすべきか?」
- 視点を過去から現在へ「過去の成功経験を今、どう活用できるのか?」
- 短期的・長期的など時間軸の長短を変える
まとめ・教訓
これまでの論点をキーワードで簡単にまとめてみると、以下の通りです。
- 「VUCAの時代」では、自らの課題を自ら見つけ、答えを探求し続けることが必要。
- 「質問力=課題設定力」、従って質問力を向上させたい。
- 「多面的視点」を持つことで質問力を磨くことができる。
多面的視点を持つためには、日頃からの心掛けが大切です。
例えば、職場で日々遭遇するトラブルは、つい目先の解決を目指しがちです。しかし時間軸を変えて、「長期的な視点に立つとすれば、根本的な解決策は何か?」と問いてみる。
このような思考トレーニングに取り組んでみることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか? もし、ご自身の課題の設定や正解の探求に窮したら、メンターと一緒に考えてみませんか?