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リーダーに不可欠な「自己認識力」

多くの経営者や管理職の方々と関わる中で「リーダーとは、どうあるべきか?」「リーダーシップとは?」と私は、しばしば自問しているように思います。

そんな時、ある文献で「自己認識力」という言葉に出くわしました。

そこで今回は「自己認識力」について綴って行きます。


「自己認識」とは何か?

自己認識(セルフ・アウェアネス)とは「自分が何者で、自分の強さや弱さ、感情、思考、価値観を理解していること」です。

こう記述してみると、自分のことは自分が分かっているのが「当たり前」と感じるかも知れません。しかし実際はどうでしょうか?

そして、この自己認識には、自分という人間が周りの人にどのような影響を与えているかを認識していること、も含まれているとしたら、皆さんはどこまで自己認識していると言えるでしょうか?

「自己認識」に関する学術研究では、次のような事柄が明らかになってきています。

・自分について明確に認識している人は、より自信があり、より創造的で、より適切な判断をし、より強い人間関係を築き、コミュニケーション能力が高い。

・また、嘘をついたり、騙したり、盗んだりする可能性が低く、仕事のパフォーマンスが優れ、昇進しやすい。

・自己認識力が高い人は、有能なリーダーになる可能性が高く、周りの人の満足度は高く、会社に収益向上にも貢献している。

上記からすると、より良い仕事、より良い人生を歩むために「自己認識力」は、誰にでも必要と考えられます。

なぜなら自分が何者かをきちんと理解していなければ、納得のいく人生やキャリアを歩むことは不可能だからです。


なぜリーダーに「自己認識力」が不可欠なのか?

激しい環境変化に対応するために重要な舵取りを担っているリーダーですが、一人の人間であることに変わりありません。

そして現代社会は一人のリーダーが、いかなる得意分野を持とうとも、深い見識があろうとも万能とは言えないVUCAの世の中になっています。

この環境下で組織を率いて結果を出すために、リーダーは周りの人の力を引き出し、結集して成果を産み出すことが求められています。

これを実現するためには周りの人から自分が、どのように見られているかを正しく把握していることが必須となります。

その視点が無ければ、適切なリーダーシップが発揮されない可能性が高くなってしまいます。 特に日本社会においては、「自己認識」という概念は更に重要になっていくと考えられます。

これまでは、単一民族でハイ・コンテクスト、つまり文化の共有性が高く、言葉以外の表現に頼る環境下にあったこと。

また終身雇用などの企業環境に助けられ、「自分が何者であるか」とか、「どういう価値観を持っているのか」などを敢えて言語化する必要が無かったからです。

しかし世の中がこれだけグローバル化し、様々な意味で境界が消滅している現代では、自己認識を再度確認することが必須となっている、と考えられます。


自己認識力の低いリーダー vs. 高いリーダー

それでは、自己認識力が低いリーダーと高いリーダーとでは、何がどのように異なるのでしょうか?対比して見てみましょう。  

〖自己認識力の低いリーダー〗

・自分という人間や現在の立ち位置など、「現状」の認識に正確さを欠くため、ゴールまでの道筋が見えずらかったり、誤っていることがあり得る。

・好き・嫌いという自己の観点のみで意思決定をしてしまいがちで、リーダーとしての役割をきちんと果たせない可能性がある。

・自分という人間を理解しようする意識が薄いことから、同様に、他人を理解しようとする意識が薄い。

・自分は他人にはどう見えているか、という視点が乏しいため、様々な判断が「自分の意図」という視点のみでなされてしまう可能性がある。 〖自己認識力の高いリーダー〗

・自分が何者かを理解し、弱みや不足している部分も認識しているので、他者の意見を積極的に受け入れることができる。 ・周りの人たちの力を引き出し、発揮させることができる。

・自分の不足分や至らない部分を、他人の言葉や助言に耳を傾けることで補おうとするので、チームやグループ全体で成果を出すことができる。

・周りの人の自己認識力を高めるような行動を取ることができるので、組織内の結束や協業体制を構築しやすい。


どのように「自己認識力」を高めるか?

ではリーダーに必須の「自己認識力」は、どのように高めることが出来るのでしょうか?

公益財団法人日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターの中竹竜二氏は、以下の3つを挙げています。

(1)意識を、他責ではなく「自責」へ転換させること。(リーダー自身が変わることが必要だと気付く。)

(2)自分の弱みをさらけ出すこと。(自分をさらけ出して初めて、周りの人が忌憚ない意見やフィードバックを口にしてくれる。)

(3)他人の言葉にきちんと耳を傾け、そのフィードバックを受け入れること。


まとめ・教訓

ハーバード・ビジネス・スクールの教授であり、メドトロニックの前CEOのビル・ジョージ氏は、「自己認識」こそがリーダーシップの出発点である、と述べています。

つまり、リーダーが効果的にリーダーシップを発揮できるか否かは、

(1)リーダーが自分自身をどれだけ認識・理解しているか?

(2)他者が自分をどのように見ているかを、どれだけ認識・理解しているか?

(3)そして、自分と他者の間の相互関係をどのようにマネージするか? という3点を意識しているかどうかに、大きく依存するというのです。

今回はリーダーに必須である「自己認識力」を採り上げました。

自分というものを認識・理解するためには他者の視点が必要となり、それをフィードバックとして受け入れ、日々のリーダーシップに活かす。

つまり、周りの人を活かすことが、引いては自分を活かすことになる、ということを意味しているわけですが、実際はそれほど簡単なことではありません。

そこで、もし自分のマネジメント・スタイルを振り返ってみよう、見直してみようと思い立ったら、メンターと一緒に検討してみませんか?


参考文献 ・ターシャ・ユーリック『インサイト insight』中竹竜二監訳 樋口武志訳(英治出版、2019年) ・中竹竜二「自己認識は、いまこれからの課題解決のカギとなる」(「ハーバード・ビジネス・レビュー」、HBR、2019年) ・Bill George, True North (San Francisco, 2007)


砂村 義雄
砂村 義雄
上智大学経済学部卒。外資系大手企業などで財務経理本部長などを歴任し独立。 経営者を対象としたエグゼクティブ・コーチング、及び企業向けにコーチングとコンサルティングを掛け合わせた「協業型コンサルティング」を提供。また「1on1ミーティング」導入支援や管理職研修を通じて、組織開発・企業風土改革のプロジェクトを展開中。名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)取得

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