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管理職の「タイムマネジメント」とは、時間管理ではない!

組織を預かる管理職の皆さんは成果を上げるために日々、時間に追われていると思います。

そこで今回のテーマは「タイムマネジメント」。

私の経験も交えながらお伝えいたします。


係長時代の苦い経験:「お前はいつまで、そのやり方を続けるつもりなのか?」

ふと気付くと周りには誰も居なくなっていた。

隣の部署には数名の人が残っていたが、私の部下は知らないうちに退社していた。

今日ここまで進めば締め切りには間に合う!と私は一人、安堵してふと目を上げると目の前に直属上司の青木課長が立っていた。

「お前のところの部下は皆どうした?」声は穏やかだったが、目はそうでは無かった。

「そして一人で遅くまで残って、お前は何をしている?」私は少しむっとした気持ちを抑えて「いや、課長から指示されたレポートのまとめをしていました。やっと目途が立ちそうで良かったです。」

課長は表情を少しも変えずにこう続けた。

「お前が毎晩遅くまで頑張っているのは知っている。しかし部下の林や鈴木には何を担当させている?昼間、結構暇そうにしているぞ!」

「はい、しかし知識や経験面で彼らには、この報告書作成は未だ無理です。締め切りもありますし。」

青木課長は一層険しい視線を向けてこう続けた。

「お前はそうやって仕事を一人で抱えて、彼らの成長の機会を奪っているのが分からないのか?」

「成長の機会?」頭をハンマーで殴られたように感じた私は、この言葉を心の中で何度も繰り返していた。


「タイムマネジメント」は時間管理ではない!

タイムは時間、そしてマネジメントは管理、従って「時間管理」だと考えてしまうかも知れません。

しかしよく考えてみると万民には平等に一日24時間与えられていて、それ自体を管理することは出来ません。

つまり管理する対象は時間ではなく「リソース」だと私は捉えています。

そしてリソースとは「資源」、即ち何かを実行したり達成したり時に活用する様々なもの。

形があって目に見えるものだと例えば「道具」や「お金」、一方、目に見えないものだと例えば「知識」や「経験」などです。

もちろん「人脈」もこの「リソース」に含まれます。 管理職による「タイムマネジメント」とは、業務上の成果物を得るために手に入る様々な「リソース」をやり繰りすること、と私は考えています。

そして管理職が活用したい最大のリソースは「ヒト」です。あなたの周りを見回して活用できるヒトと言えば、あなたが仕える「上司」もいるでしょうし、もちろん「部下」もいらっしゃること思います。

そして勿論、他部署の同僚や取引先なども「リソース」と考えられます。

これら様々なリソースを「やり繰り」するという考え方が、「タイムマネジメント」を実践する上で非常に重要だと思います。


なぜ管理職に「リソースマネジメント」という発想が必要なのか?

「管理職の役割」を少し乱暴ではありますが、二つに大別すると、自分の部課やグループ総体で「業務上の成果」を上げること、そして「部下の育成」をすること、です。

そして前者はどちらかと言うと短期的な視点、一方、後者はやや長期的な視点だと言えます。

また「成果」を出す上では効率や生産性が求められるというのが現実です。

効率や生産性とは、一言で表現すれば「最小のインプットで、最大のアウトプット」を出すこと。

つまり時間や上述の限られたリソースを活用して、最大の成果を上げること、これが管理職に求められているのです。

従って管理職は「自部署の成果とは何か?」「自部署だからこそ提供出来ている『価値』は何か?」を、常に問い続ける必要があるのです。

短期的な観点で管理職はどうすれば「成果」を出すことが出来るのでしょうか?

ここで注目したいのは、活用できる様々なリソースがあり、そのリソースの組み合わせ、つまり「リソースミックス」が成果を左右する、という視点です。

世の中の動きがこれだけ早いVUCAの時代。何が正解か分かりにくい世の中。

こういう環境の中で成果を出すことは、決して簡単なことではありません。

だからこそ管理職自身だけではなく、周りにある様々なリソースを活用することが大切なのです。

私が、タイムマネジメントは「リソースマネジメント」だと考える所以はここにあります。

一方、管理職のもう一つ重要な役割である「部下の育成」は、実は長期的な観点でリソース活用の最適化を支えることに繋がっていると考えられます。

部下の育成は、短期的には効率や生産性を落とすことになるのは皆様、管理職にとっては自明の事実。

部下に任せるより自分でやった方が2倍速く、品質は3倍、これは当たり前です。

しかし、これに対する大きな問いは、「それをいつまで、続けますか? 続けられますか?」です。 ここは発想の転換が必要な場面です。

つまり視点を「仕事」という物事から「ヒト」に変えることが重要です。

つい成果と言うと「モノ」という視点になりがちです。しかし実は成果を産み出すリソースをもたらしている源泉は「ヒト」ということを再認識したいです。


私の「リソースマネジメント」実践法

20年を超える管理職経験で、私が自ら編み出し、そして心掛けてきたリソースマネジメントの実践法をいくつかお伝えします。

・業務担当者を決定する際、自分自身でやるか、部下に任せるかを迷ったら、「どの部下に担当させるのか?」という発想に立つようにする。

・業務は全体プロセスを「考える業務」と「手を動かす業務」に細分化して、任せられる部分は出来るだけ部下に託す。

・業務の依頼を受けたら、依頼者に「最終成果物」のイメージを確認してから作業を開始する。部下に指示する際にも同様、「最終成果物」を具体的に伝える。


まとめ・教訓

管理職の仕事上の要諦は「リソースマネジメント」で、活用できるリソースを見極め、それらを組み合わせること(リソースミックス)で成果を出すのが、管理職の役割です。

そのリソースを長期的な観点で潤沢にしていくことが部下の育成です。

「リソースか、そう言われれば理解できるけど、目の前の締め切りに追われてしまって…」そのような時は、メンターと一緒に考えてみませんか?

きっとあなたならではの「リソースマネジメント」実践法が見つかるはずです。

砂村 義雄
砂村 義雄
上智大学経済学部卒。外資系大手企業などで財務経理本部長などを歴任し独立。 経営者を対象としたエグゼクティブ・コーチング、及び企業向けにコーチングとコンサルティングを掛け合わせた「協業型コンサルティング」を提供。また「1on1ミーティング」導入支援や管理職研修を通じて、組織開発・企業風土改革のプロジェクトを展開中。名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)取得

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