マネージャーが自分の時間を確保する
マネージャークラスの方とコーチングなどでお話をすると、
「部下ともっと話した方がいいとは思うけど、時間がないのですよ」
「まずは自分の時間を確保することが課題ですね」ということを聞くことが多くあります。
責任ある立場であるので、忙しくなる、という悩みはよくわかります。
どうすれば少しでも時間を作ることができるか、マネージャーにとっても部下にとってもいい方法をご紹介します。
「最上」ではなく、「最適」を
私たちが、仕事をするときには、できるだけよい仕事をしたいと思います。
マネージャーならなおさらでしょう。それは通常の感情だと思います。
問題なのはその程度です。「やりすぎ」になってしまうことに注意を払う必要があります。
例えば、こういうことはありませんか。
・プレゼンテーション資料の作成で、文字の大きさ、色の使い方や、レイアウト、アニメーションなどに時間をかけすぎてしまう。
・部下が作成した社内報告資料のこまかなところまでチェックを入れてしまう。
・何かの方法を考える際には、すべて見逃さないようにしようと考えて、可能性が低いと思える方法であっても同じように検討しないと気が済まない。
・時間があれば、その時間のすべてを使ってぎりぎりまでより良いものにしようと努力する。
熱心さのあまりとも、クオリティを重視したいという日本人的な気質がもたらしているとも言えますが、大事なことは、「その時間を投入するに足る成果が得られるかどうか」のです。
最高をめざすのがいつも正しいわけではないのです。
例えば、社内向けの資料や内部の会議、調整・連絡などは、「十分によい」や「許容範囲である」ということで割り切ってみませんか。
部下にとっていいこと:部下の仕事も、目的に合った「適切な」労力でできたものかどうかを点検しましょう。
「自分への報告にこんなにきれいな資料を作る必要はないよ」、と言ってもらえれば部下の仕事は効率的になるでしょうし、適切な労力の勘所もわかってくるのではないでしょうか。
任せる
部下がやるべきことを、マネージャーが自分でやってしまっていることはありませんか。
あるいは、部下が一人でできることを一緒にやってしまうケースはないですか。
・部下も忙しくて大変そうだから。
・この仕事は自分に経験があるので、早くできるから。
・丸投げしていると思われたくないから。
マネージャーとしては、「よかれ」と思ってしていることではあるのですが、マネージャーの本来の業務時間を奪ってしまうことになります。
結果的に、マネージャーが本来のマネジメント業務ができず、部下がマネージャーに相談する時間が取れなくなって効率的に仕事ができない、という弊害も生まれます。
誰の時間をどこに投資するのが、チームとしてもっとも効果的かということを考えるのが望ましいです。
マネージャーの皆さんは、部下自身ももっと仕事ができるようになりたいという意欲を持っていることを信頼していいのです。
部下にとっていいこと:一時的に負荷は増えたとしても、やがてその仕事をうまくこなせるようになります。
経験を積むことで、長い目で見れば仕事の効率が上がります。成長にもつながります。
上司の信頼を伝えるいい方法でもあります。
まとめ
もう一つ付け加えるならば、部下との対話をしっかり行うこともいいですね。
対話によって、互いの考えや仕事の状況をしっかりすりあわせることで、問題が起きてから対処するという後ろ向きの仕事がなくなり、早め早めの対応ができるようになります。