1on1における上司の「質問力」の高め方
岸田総理の発言によく出てくる「聞く力」。
その影響かどうか定かではありませんが、ビジネス界においてもリーダーに「傾聴力」が求められています。
今回のブログでは、「傾聴力の兄貴分」とも言える「質問力」にフォーカスし、それをどのように高めていけば良いのかをご紹介したいと思います。
対話型リーダーに求められる4つの能力
ビジネス街にある書店のリーダーシップコーナーを眺めてみると、コロナ前と比べ、「傾聴力」や「対話」などに関する書籍が増えているように思います。
私の専門分野である、コーチングや1on1においても、上司に必要な最も基本的な能力として、「観察力」「承認力」「傾聴力」「質問力」の4つが挙げられます。
上記の4つには次のような関連性があります。
▼目の前の部下をしっかりと「観察」し、
▼ありのままを受けとめ「承認」し、
▼部下が話したいこと・考えたいことを存分に「傾聴」し、
▼部下の気づきを引き出すための「質問」をする
さらには、気づきを行動に結びつけ、行動の結果を内省させるなどのサイクルを回す必要がありますが、この一連の流れによって上司は部下の経験学習による成長をサポートし、「自走できる部下」を育てることができるようになるのです。
「質問力」を高める3つのステップ
上記の能力のうち、今回は「質問力」に焦点を当て、その高め方についてご紹介したいと思います。
部下の「気づき」を引き出す質問力。その質問力を高めるには、どのように取り組めば良いのでしょうか? それには3つのポイントがあります。
◎ 質問力を高める3つのステップ
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1. 質の高い質問を受ける
どのようなことでも同じかもしれませんが、上達のためには、良いものを知る・本物を知ることはとても有効です。
では、「質の高い質問」を受けるには、どうしたら良いのでしょうか?
まず、会社の中を見渡して、「聞き上手」な人を探してみましょう。聞き上手な人は、「質問上手」である場合も多いと思われます。
そのような人が見つからない場合は、コーチングを学んでいる人や、コーチとして活動している人は近くにいないでしょうか? 可能であれば、コーチ経験が豊富な人を選ぶと良いでしょう。
そのような人と会話をすることによって、「質問によって気づきが引き出されるとは、こういうことか!」という新鮮な体験ができるでしょう。
2. 質の高い質問のポイントを知る
「質の高い質問」について考える前に、「質の悪い質問」とはどのようなものなのでしょうか?
「質の悪い質問」とは、質問を投げかけられた人が、不快な気持ちになったり、自信を無くしてしまったり、何をどのように考えたら良いか分からなくなってしまったりする質問のことだと私は思います。
質問を投げかけても、相手が考えたくないとか、考え方が分からないようであれば、質問をした意味がありません。
「質の高い質問」とはその逆で、質問を投げかけられた人が、答えを探求したり、考えることを楽しんだり、ワクワクするような答えが出てくるような質問、つまり、「考えたくなるような質問」のことだと私は思います。
質の高い質問をする上で、いくつかのポイントがあります。例えば、次のようなポイントです。
◎ 質の高い質問をするための2つのポイント
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3. 日々の自問自答(セルフコーチング)で磨く
質の高い質問とそのポイントが分かったら、質問をつくる練習をして投げかけてみることです。
目の前の部下との会話の中で実践するのも良いですが、もっと実践の数を増やせる方法があります。
それは、自分に対して試してみること、つまり、「セルフコーチング」として実践してみるのです。
「セルフコーチング」についての詳しい解説は割愛しますが、簡単に言えば、セルフコーチングとは、「質の高い自問自答を行うこと」と言えるでしょう。
セルフコーチングで、自分自身に質の高い質問を投げかけ、どのような効果があるのかを確認してみてください。
セルフコーチングで鍛えられたあなたの質問力は、部下との1on1やコーチングに必ず役立つはずです。
まとめ
今回は、1on1などで必要となる、上司の質問力の高め方についてご紹介しました。ポイントをまとめると次のようになります。
◎ 質問力を高める3つのステップ
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