上司の1on1に満足できない場合の対処法
企業の1on1の推進・定着をサポートする中で、「私の上司は、本来の1on1の意味を分かっていない」とか、「上司の1on1の進め方が上手ではない」のほか、「そのような上司との1on1に、どのように向き合えば良いのか」との不満の声が聞こえてくることがあります。
今回のブログでは、その様な場合の対処法について考えてみたいと思います。
「1on1」が持つ2つの意味
そもそも「1on1」が何かと言えば、大きく2つに大別できます。
1つは、言葉の通り1対1の関係のことを言い、バスケットボールなどのスポーツでも使用されている言葉です。
もう一つは、組織などで行われている、いわゆる「1on1ミーティング」のことを指します。この1on1は、上司と部下が行う定期的な面談のことであり、部下の仕事やプライベートなどの話題(テーマ)を扱います。特筆すべきことは、「部下を主体とした場」であり、話したいテーマや話の進め方などは、部下の希望どおりに行うことが基本となるのです。
一般的に、ビジネス社会における「1on1」とは、後者の意味であることは、ネット検索などをしてみると、すぐにお分かりいただけるでしょう。
なぜ、問題が起こるのか?
しかし、「1on1=1対1で行う面談」と前者の意味でのみ捉えている管理職はまだまだ多く、上司から一方的に話すだけになっていたり、双方向の会話になっていたとしても「単なる雑談」レベルになっている1on1は多いようです。
後者の意味を知っている部下からしてみれば、「今の上司と行っているのは本来の1on1ではない」「1on1の時間を無駄に感じる」との不満の声が出るのは、当然のことでしょう。
トランプで言えば、同じ1対1のカードゲームであっても、上司は「スピード」を、部下は「神経衰弱」のゲームをやろうとしているようなものですから、当然うまくいくわけがありません。
上司の1on1に満足できないときの解決策
上述のような問題点に対して、どのように対処すれば良いのでしょうか。
1つは、「1on1」について誤った理解をしている上司に、本来の1on1を知り、効果が出るようになるための研修を行う必要があるでしょう。これは部下がどうこうできるものではなく、会社として取り組む必要があるものです。(末尾ご参照)
では、部下の立場でできることは何でしょうか?
1つは、1on1の冒頭や実施前に、次のように上司に伝えてみることです。
「次の(今日の)1on1では、◯◯について話をしたいと思っています。◯◯さん(上司)には、〜〜のようにしていただきたいのですが、お願いできますか?」
このように上司に要望を伝えることで、少なからず、1on1は改善されるでしょう。「いやいや、うちの上司にはそんなこと通用しないよ…」という方もいるようですね…^^;
もう一つの方法は、自分自身の「セルフコーチング」の力を高めることです。
「セルフコーチング」とは何か?
セルフコーチングとは、文字通り、自分をコーチングすることですが、別の言い方をすれば、自分自身の「自問自答」の質を高め、「自分自身が最高の相談相手になること」に役立つものです。
上司との1on1の中で、話の流れや上司の言葉などをヒントにして、例えば、「この問題を解決するためにどんな工夫ができるだろうか?」「尊敬する◯◯さんだったら、どのように考えるだろうか?」などと、自分なりに自分に問いかけてみる。そして、答えを探し、行動に結びつけてみる。
なんでも前向きに取り組もうとするあなたであれば、それができるはずです。
セルフコーチングには、おさえるべきポイント・コツがあります。ご興味がありましたら、拙著「一瞬で自分を変えるセルフコーチング 〜最高の「気づき」を得る、自問自答の技術〜」をご参考ください。きっと、お役に立てると思います。
まとめ
今回のブログでは、上司の1on1に満足できない場合の対処方法についてご紹介しました。ポイントをまとめると、
・1on1の開始前や開始時に、自分の希望(話題・進め方など)を上司に伝える。
・セルフコーチング力を高め、1on1の中や1on1以外で、自分に良質な質問を投げかける。
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