ピアサポートグループの有効性
いつもブログを読んで頂き、ありがとうございます。
先日、友人が薬学部の教授を務める大学の研究室を訪問しました。
きっかけは、その友人と久しぶりに一杯飲っていた時、学生たちがキャリア形成に悩んでいることを聞いたことです。
学生たちはそれぞれ課題を持ち、迷い、今後どのような人生の選択をすべきかと、先の読めない今をもがいている、と。
教授自身も学生の相談は受けるものの、多様な背景をもつ全ての学生の悩みに対応するのはとても困難。
そこで、実際にビジネスで経験を積んできた私から経験談を伝え、直接学生たちの話を聞いて欲しいというものでした。
今回は、この学生たちとの出会いから感じたことを書かせて頂こうと思います。
悩める学生たちは、かつての自分の姿
秋晴れの土曜日の昼過ぎ。
研究室を訪ねると、10名ほどの学生とキャリア相談課の職員の方が迎えてくれました。
私は、普段コーチ/メンターとしてビジネスパーソンと向き合うことが多いため、若い学生達との会話はとても新鮮でした。
何より、授業のない週末にも関わらず、わざわざ話を聴きに来てくれたことに感動しました。
コロナ禍や不安定な国際状況を経験し、学生達は将来にとても不安を抱えていることが分かりました。
先が見えずに不安を抱えている。
何が正解か分からない。
これまで勉強してきたことも無駄だったのではないか?
国家資格を取っても無駄ではないか?
学費を賄うのも大変。
親に申し訳ない。など。
学生達は悩み、人生の選択に迷っているのです。そして私は、かつての自分自身と重ねていました。
私も大いに迷い、今まで生きてきたこと、何度も失敗はしたけど、実は失敗から多くを学んできたことなどを。
アカデミックの現場でも感じた、1on1ミーティングの必要性
私自身のことを言えば、若い時から、幸いにも話を聴いてくれる大人との出逢いに恵まれました。
決して一人で成長してきたのではなく、折に触れて、意見をしてくれる大人との出会いに支えられてきました。
この経験からも、多様なバックグラウンドを持つ人との出会いは大事なことだと気付かされます。
井の中の蛙にならぬように。
年齢、職業、性別、国籍など、多様な背景をもつ人との出会いは視野を広め、柔軟な価値観を保つためにも大切なことだと思います。
そして、若いうちにそのような経験をすることは、更に大事なことのように思います。
今回の学生との出会いでは、まず社会人として経験してきたこと、特に失敗したこと、迷いの中から発見したことなどをプレゼンテーションし、その後、研究室で缶ビールを飲みながら、膝を交えた話し合いをしました。
学生達からは、個人的な悩みや相談がどんどん出てきます。
話題のきっかけを投げかけると、更に話してくれます。
そこで感じたのは、皆、話をしたい、話を聴いて欲しい。
「普段聞けない話が聴けて、楽しかった」と言ってくれた学生の言葉を素直に受け止めます。
多様な人間同士の交流は、とても大事なことだと気付かされます。
1on1ミーティングにも共通する、ピアサポートグループの原則
ハーバードビジネスレビュー(2022年9月号)に、「ピアサポートグループ」と言う名称を目にしました。
これは、peer(ピア:同僚、仲間)が、互いに支援し合うグループと言う意味で、組織などでの一般的な上下関係ではなく、共通の目的や課題を持つ仲間が繋がり合い、対話をすることで学び合うグループ。
ピアサポートグループには、心に留めておくべき原則があるそうです。
1. 秘密を守る
2. 重要な問題の解決に力を注ぐ
3. アドバイスではなく経験を話す
4. 心を開き、弱みを隠さない
これらの原則は、全て視線が相手に向かっていますね。
相手の気持ちになって、話を聴くことが基本なのです。
一方、前月のブログに、「1on1ミーティングで何を話したらいいか分からない」と言うマネージャーのことを書きました。
そのマネージャーは、視線が自分に向いているのではないでしょうか?
守るべきは相手よりも、自分自身。だから、聴くべきことが見出せないのかもしれません。
まとめ
視点を変えることで、普段では気づかないことに気づき、新たな発見があるものです。
その有効な手段がピアサポートグループであるなら、我々メンターも、その一つになり得るでしょう。
きっとお役に立てることがあります!
今後も継続的に、学生さんの話し相手になりたいと思います。
できれば、学校のカリキュラムに加えてもらえないかと思います。
教授の友人には相談しよう!これも立派なピアサポートグループですから!