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対立を成長に繋げる

社員とのコミュニケーションを深めるために、月一度30分の個別面談を継続しています。

はじめはお互いに探り合いのような状態でしたが、続けていると少しずつ本音がでてきます。

会社方針への疑問や自分の待遇や給与への不満など、経営者として直接聞きたくないことがぶつけられることもあります。

以前はこの段階で相手を否定したり説得したり、または個別面談をやらなくなってしまうということもありました。

経営者と社員は、立場や視座の違いがあり本音で話せば葛藤や対立が起こります。

大切なのはその対立を避けるのではなく、起こるべくして起こる対立を受け止め 、どのようにお互いや組織の成長に繋げていくかだと思います。


本音を引き出す

個別面談を始めたころは当たり障りのない話が続きました。

プライベートの話題などお互いに葛藤が発生しないような事柄が中心です。

こちらが社員の話を聞きながら決して否定をしないという方針を徹底していくと、相手は心理的に安全と感じ少しずつ自分の本音を話し始めます。

ここで前向きで建設的な意見が出てくれば有難いのですが、実際には不平や不満が多く出てきました。

「もっと自分の給料を上げてほしい」、「上司のやり方が気に入らない」、「会社の方針が全く見えない」等々 他責、自己中心的考えのオンパレードになることもありました。


社員の本音を受け止められない

この状態になるとこちらも少しずつ感情的になっていきます。

そして社員を説得したり否定するようになるのです。

心理的に安全と感じたので本音を言った社員は、ここでまた心を閉じるようになってしまいます。

そして面談も後味の良くないものになり、お互いにとって苦痛になっていき、いつの間にかやめてしまうということになりました。

本音を引き出したことで考え方の違いが明確になり、対立的な関係性になってしまったのです。

「わざわざ寝た子を起こすようなことになってしまった」と後悔することも多々ありました。


対立を成長に繋げる

そもそも社員と社長では立場や目線が違うので、本音を引き出せば考え方や意見の対立が起こるのは普通の事です。

しかし経営者としてはそれを直接ぶつけられると居心地が悪くなってくるのです。

本音のコミュニケーションを求めて面談し、本音が出てくると避けたくなるというおかしなことになっていきます。

大切なのはこの葛藤、対立をお互いの成長に繋げること。

そのためには意見や考え方の相違を個人的な感情論に落とさずに、しっかりと向き合うことが重要です。

なぜそう考えるのか? それを実現すると何が手に入るのか? そのために何ができるのか? という問いに答える事でお互いが一段上の視点に立ち、抽象度を上げ、共通の目的を見つけていくことができるのです。

分かりやすい例では自分の給料をあげてほしいという社員と、適正な利益を確保したい経営者との対立でも、お互いが協力して知恵を出し合うことで業績を上げて、双方の要請を満たしていくということです。

正に対して反がぶつかり、その結果として合が生まれる。

いわば正反合の弁証法的な発展を対立から生み出していくことです。

考え方の対立のエネルギーを成長に繋げることができれば、個人面談の意義も高まります。


まとめ

社員とのコミュニケーションを密にして本音を出してくると、様々な相違点が浮き彫りになってきます。

経営者と社員の立場や目線の違いから生じる対立を怖れるのではなく、健全な葛藤を通じて互いの成長につなげる道を見つけ出すことが大切です。

正反合のプロセスを経てより高みに至ることができるように、社員との間に生じる葛藤、対立に向き合っています。

湯澤 剛
湯澤 剛
大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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