
ありたいリーダー像を「最悪な上司」から焙り出す
皆さんの描く「ありたいリーダー像」とはどういうものでしょうか?
今回は通常とは逆のアプローチである対極視点法を使って、理想のリーダー像を焙り出して行きます。
ある管理職研修にて
私が会社員だった頃に参加したある管理職研修で、講師から「皆さんの理想とするリーダー像とはどういうものか?」という問いかけがありました。
その後で少人数のグループに分かれて、お互いの「マイベストボス」を共有してグループごとに発表。
講師は発表を拾いながらホワイトボードに板書していき、「なるほど皆さんは、このようなリーダーや管理職になりたいのですね!」と話を締めくくった。
列挙された内容を一つ一つ目で追いながら私はこう感じていました。
「確かにそうだけど、ここに書かれたことが実現できる上司は、ベストを通り越して『スーパーボス』だな!こんな上司は存在するはずがない。ましてや我々が目指す管理職像とはちょっと違う。こんなリーダーにはなれやしない!」
私が出会った「最悪の」3人の上司とは?
出来すぎのスーパーヒーローを思い浮かべても、自分たちとあまりにかけ離れていては意味がないと気が付いた私は、全く逆のアプローチで考えてみました。
つまり「最悪の上司」を思いうかべてみること。すると出てくる出てくる「最悪の上司たち」が。
私が仕えたワーストボスを3人ほど列挙すると以下のような人たちです。
・Sさん:いわゆるサラリーマンボス。「社長からの指示だから」と言って部下に仕事をさせるタイプ。面倒くさい仕事は自分で引き受けるので、部下としては楽だが、部下の能力開発や会社、仕事、キャリア構築など、長期的視点は感じられない。
・Tさん:仕事はやり手だが、社用族。接待費や出張費を何とか理屈を付けて使う。結果さえ出していれば、何をしても許されると考えていて、同じことを部下にも強要する上司。
・Vさん:フランス人。独自の価値観をそのまま押しつけて部下を巻き込む上司。部下に指示した仕事を、最後には「こんなんじゃダメだ」とお破産にして、自分で全てをやってしまい、後から部下を無能者扱いする。
アンケート調査による「最悪なリーダー像」
では、世の中の会社員・公務員など組織・団体で働く人たちが考える「最悪なリーダー」とはどんな人たちなのでしょうか?
日経プラスワンに掲載された「働きにくかったり、愛想を尽かした上司や先輩」というアンケート調査を引用すると以下の通りです。
1位:言うことや指示がコロコロ変わる
2位:強いものには弱く、弱いものには強い
3位:大事な局面で責任逃れ
4位:感情的で気分屋
5位:失敗を部下のせいにする
6位:上司自身が仕事が出来ない
7位:部下の手柄を持っていく
8位:部下指導をしない
9位:決断力がない
10位:無責任に部下に投げる
上記ランキングを見て確かにそうだな!と感じる反面、リーダーとして必ずしも失格とは言えない部分もあるように思います。
例えば1位の「言うことや指示がコロコロ変わる」ですが、このVUCAの時代、環境変化に柔軟に対応するには「朝令暮改」が必要な場面もあると考えます。
日頃の言動やそのリーダーの核となっている考え方や想いなどが理解されていて、かつ、朝令暮改をせざるを得ない状況や理由をきちんと説明できることが重要なのだと思います。
浮き彫りになる「ありたいリーダー像」
私のワーストボスやアンケート結果による「最悪なリーダー像」から焙り出される「ありたいリーダー像」とはどういうものでしょうか?
リーダーとして将来の方向を見る姿勢、また人としての在り方や責任感などの観点で、幾つかの要素に集約できると考えられます。
- 仕事や組織に関するビジョン
- ありたい姿を示している
- 組織人
- 社会人としての倫理観を持っている
- ブレない信念や軸
- 言動の一貫性が感じられる
つまり、そのリーダーに「付いて行きたい」と思わせるものを持っているか?
仕事を通じてだけではなく、職場を共にすると何かが得られる、と感じさせるものを持っていることが大切だと考えます。
まとめ・教訓
今回は対極視点法で「ありたいリーダー像」を考えてみました。
「こうありたい!」という姿を描くことはもちろん重要です。
しかし上司だって、リーダーだって人の子。いつもいつもベストでいられるほど取り巻く環境は優しいものではありません。
そこで「これだけは死守したい・これだけは曲げられない」という自分なりの信念や軸。これを先ずは打ち立て、それを日々の業務に生かして行こうとする心構えが重要だと感じます。
皆さんはどのような信念や軸を持ちたいですか?
参考文献:「リーダーシップからフォロワーシップへ」中竹竜二著