いまやろうと思ったのに
皆さんは、「いまやろうと思ったのに」という言葉を一度は口にしたことがあるのではないでしょうか?
例えば、子どもの頃に学校から帰ってきてすぐ宿題に手を付けずに、ゲームをしたり、友達と遊びに出かけようとしたとたん、母親に「宿題はやったの?」と言われて、おもわず、この言葉を呟いた経験があるのではないでしょうか?
あるいは、家庭内でも、ちゃんと片づけて欲しいとパートナーに責められた瞬間にも、心の中で思った方は多いと思います。
このような現象の事を、心理学では「心理的リアクタンス」と呼んでいますが、仕事の現場でも多く目にする事だと思います。
今回は、特に上司と部下の間で発生しやすい場面を想定しながら、その回避策などを探ってみたいと思います。
心理的リアクタンスとは
心理的リアクタンス(英: psychological reactance)とは、1966年にアメリカの心理学者ジャック・ブレーム(Jack Brehm)によって提唱された「抵抗・反発」を意味するリアクタンスという語を心理学に適用した概念であり、「人が自由を制限(剥奪・侵害)された際に、それに抗おうとする性質」を指す。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)と書かれています。
ではビジネスシーンに目を向けてみましょう。
営業職での場面を想像してみてください。成果の出ない営業パーソンは、一所懸命に商品や提案を説明し、顧客を「説得」しようとして、売り込めば売り込むほど、心理的リアクタンスを生み、買う気を削いでいることでしょう。
対する有能な営業は、顧客の不満や不安を受け止めながら、自分で考えられるように思考のプロセスを「アシス」トします。
そうやって、顧客が自分で答えを見つけ、自分自身を説得するようにもっていくわけです。
そうなんです、優秀な営業パーソンは、いわゆるコーチングを実践しているわけです。
部下と接する場面
今度は、上司が部下に、業務を依頼する場面です。
皆さんは依頼する時に、どの様な言葉で依頼されますか?
- 必ず、〇○までに報告してね
- 遅れはダメだから
- 本当に〇○までにできますか?
などと、言っていませんか?これでは、部下はやる気を削がれる事でしょう。
思いっきり心理的リアクタンスが発生させていますね。
これを避けるためには、「いつまでならできる?」とか「〇○までに出来るかな?」などと部下の自主性を重んじる言葉を使うと効果的です。
私が目にした経験ですが、ある朝、ある上司が部下に対して、「〇○君、これとこれの資料を整理してくれますか?」と指示していました。
その部下は、非常に素直で真面目な性格だった事もあり、「わかりました!」と元気よく答えていました。
しかし、その日のお昼前に、上司が突然に、「〇○君、さっきお願いした事は出来た?」と言うではありませんか。その上司の言葉に部下は戸惑っている様子でした。
何故なら、その業務内容はとても数時間でこなせる量ではなかったからです。
その部下は、実に申し訳なさそうに、「すみません、まだです。。。」と、すっかり顔色が青ざめているのが分かりました。
私の実践経験
上記のような事は、日常茶飯事かと思いますが、これでは部下のモチベーションも上がりませんね。つまり内発的動機づけを維持する事が難しくなってしまいます。
これを回避するために私が実践していた事ですが、
・部下に仕事を依頼するときは、出来る限り余裕を持って依頼する
・そして依頼した事を、出来る限り確認しない
という事でした。
そうはいっても、部下は依頼された事を忘れたわけではありません。
そんなタイミングで、私は部下とのすれ違いざまに、「そー言えば、なにかお願いしていたかな?」と少々ユーモアを交えて話すことにしていました。
こうする事で、部下も、依頼された仕事の状況を報告しやすくなると考えていました。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか?
私はこの歳になった今でも、「いまやろうと思ったのに」と思う事は多々あります。
そんな時は自らの行動を振り返って行動する事が有用ですし、とりわけコーチングコミュニケーションを思い出すことにしています。
皆さんもコーチングの効果を体験してみませんか?