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メンバーのキャリアを共に描こう

この時期、多くの職場で新入社員を迎えています。私の講師仲間のみなさんもOJT研修で大忙しです。

その新入社員を迎える入社式を、日立製作所さんはファーストキャリア・キックオフ・セッションと改称しています。

「今日から自分のキャリアは自分で切り開いてほしい、というメッセージを送るためだ」(4月2日付日本経済新聞より)そうです。

私たちが支援する1on1ミーティングでも、キャリアビジョンは大切なテーマです。

ここを少し考えてみましょう。


昇進は目標としてふさわしいのでしょうか

1on1ではメンティさんのキャリアプランがテーマになることが多々あります。

企業によっては、その個人面談を上司に義務付けしているところもあります。

そこでの会話は、「将来は部長や役員になりたい」など昇進が語られて目標として設定されることがしばしばあります。

実はこの目標設定はメンターにとっては微妙なテーマです。ほとんどのメンターは部長や役員への任命権を持たないからです。

仮に任命権を持っていたとしても、そのメンティさんがその職責に最も相応しい人材とは限らないからです。

ピーター・ドラッガーの言葉にも昇進を目標にすべきでないとありました。

なぜならピンポイントのポストは本人の努力だけでは、そこに辿り着けないことの方が圧倒的に多いからだそうです。


働くことへの価値観を見つめよう

1on1においてメンティさんのキャリアプランをテーマにする場合は、働くことへの価値観やその意義を一緒に考えてはいかがでしょう。

「仕事をするうえで、大切にしたいことは何ですか?」「何をもって成功と言えますか?」「どのように成長できるとうれしいですか?」などと問いかけることができます。

次のポストだけに焦点を合わせるのではなく、自身の価値観に結びつく働き方を見つけていくのですね。


中間目標を設定しましょう

VUCA時代への対応策として、キャリアドリフトやプロティアンキャリアという考え方も提唱されています。

そこでは、変容していく環境に柔軟に対処できるキャリアを築くこと。そして、仕事の充実感を大切にしていくことが述べられています。

自身の価値観に結びつく働き方を明確に描くことは難しいかもしれません。

また、将来の環境の変化も確実に予想することはできません。

しかし、目標は明確に描くことが大切です。

そこでまずは、中間目標までを明確に設定していきましょう。そしてそこに至る準備は何なのか、その行動や向き合い方を考えていくのです。

「そのためにできることは何だろう?」「どんな準備があれば将来役にたつかな?」「また、どうすればそれを知ることができるだろう?」

中間目標が設定できたら、1on1でそれに向けた行動を一つひとつ語り合っていきましょう。


まとめ

将来のキャリアについて考えることは今まで以上に大切になっていきます。

自身の価値観に結びつく働き方を目指して、まずは中間目標を設定して一つひとつ歩みを進めて行きましょう。

日々の1on1でもしっかり語り合ってください。

私たちBiz Mentorも、そんなみなさんを応援しています。

松木 幹一郎
松木 幹一郎
東証1部上場の電気機器メーカーにて、役員・理事などを歴任。現在は非常勤顧問として、組織開発の支援。新入社員時代は、営業担当として飛び込み営業から開始、若い頃は売れずに苦悩の毎日を過ごす。中間管理職時代では、徹底した新規顧客開拓により担当エリア内顧客シェア90%を獲得し、年間売上を300%にまで拡大、事業基盤を構築。現在は、組織開発の内部実践者としてオフサイトミーティングなどを実践。全国にファシリテーターを108名育成し、組織開発の礎を構築した。趣味は、サッカー、ウクレレ、カラオケ。

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