思考を整理する
先日、ある企業の一部門でリーダーを担うRさんからご相談を受けました。
有能で人望もある彼女は、会社の期待を一身に背負い、今年初めてリーダーに抜擢されました。
しかし、それまでは常に7割の力で仕事することを意識し、上司からもそれを指摘されていたRさん。
リーダを任され、仕事一辺倒になる生活に不安を感じて、ご相談にいらっしゃったのです。
Rさんの悩みは、今を生きる女性たちの多くが抱える悩みでもありました。
二者択一の思考
Rさんがそれまで仕事をセーブしていたのには、大きな理由がありました。
Rさんの夢は、家庭を支え、子どもたちを育てる母になることだったのです。
ところが、夫との関係が上手くいかず、仕事に割く時間が増えていった結果、予想外に仕事で評価を得てキャリアの方が充実してしまった、というわけです。
キャリアを優先するか、あくまでもプライベートを大切にし続けるか… この狭間で、彼女はずっと、ぐるぐるぐるぐる悩んできました。
視座を高くする
そこで、あるあらゆる制限を取っ払って、まずは自分が“理想”とする状況を具体的に描いていきました。
Rさんの理想は、好きな仕事をしながら、夫と協力して子を産み育てる家庭を持つこと。
いつもなら、このうちどちらを優先するか、という二者択一の思考に陥りがちでした。
しかし、どちらかを諦める必要はなく、欲張りにどちらも目指したって構いません。
そこで、好きな仕事をするキャリア、夫婦で協力して子を育てるプライベートの両側面から、Rさんの理想を掘り下げていきました。
その結果、Rさんは、今の仕事があまり好きではないこと、そして、今の夫とは子を持つ未来を描けないことに気づいたのです。
事実と感情を分ける
次に、理想を実現するために今から具体的にどんなことができそうか、一緒に考えていきました。
キャリアの方は、興味のある仕事も見つかり、すぐにでも転職活動に動き出しそうな様子。
ところが、肝心のプライベートの方は、今の夫との関係を見直したり、清算することになかなか踏ん切りがつきません。
そこで、その原因がどこにあるのかを、今度は「事実」と「感情」の両面から探っていきました。
「事実」としては、夫から言われて傷ついた言動や、ショックを受けた出来事、夫との距離の取り方など、客観的な出来事を1つ1つ列挙していきました。
その上で、この「事実」に対してどういう気持ちを抱いたのかを、「感情」面も整理していきました。
その結果、Rさんの足かせとなっていたのは、夫と別れて1人なったときに後悔するのが怖い、という「恐怖心」だったことが判明したのです。
思考が整理されれば、行動も早い
こうして思考が整理された結果、Rさんは、それまで何年もかけて悩んできた二者択一の思考から、ようやく抜け出すことができました。
そして、この「恐怖心」に打ち勝つための1歩、いや半歩の行動が何かを考え、具体的に実践することになったのです。
まとめ
悩みは、深まれば深まるほど溝にはまり、ループから抜け出せなくなりますが、そういうときこそ、思考を整理することが大切です。
Rさんの例は、思考さえ整理されれば、行動も早くなることの格好の例です。
皆さんもぜひ、参考になさってみてください。