1on1ミーティングで部下の言動に感じる違和感
1on1ミーティングをやっている時、部下の言っていることが理解できなかったり、違和感を感じることがあります。
これは一体なんなのでしょうか? また、そのような時皆さんはどうしていますか?
推論のはしご
人は誰しも、事実(現象)の中から自分の見たいものだけをみて、自分独自の意味づけをして行動に移していると言われています。
これを「推論のはしご」といい、以下のようなプロセスで説明されています。
- データの収集: 最初に、私たちはデータや情報を収集します。これは、私たちが目にしたり、聞いたり、経験したりする事実です。
- データの選択: 収集したデータから、私たちは一部のデータを選択します。この選択は、私たちの関心やバイアスによって影響を受ける場合があります。
- 意味づけ: 選択したデータに対して、私たちは意味を与えます。私たちの経験、信念、価値観などに基づいて、データに対する解釈を行います。
- 創造: 意味づけされたデータを基に、私たちは創造的に新しい情報を作り出すことがあります。この新しい情報は、私たちが持つ既存の知識や信念と結び付けられる場合があります。
- 割り当て: 新しい情報に基づいて、私たちは感情や評価を割り当てます。この段階では、私たちの感情や意見が強く色づけされる可能性があります。
- 行動: 最終的に、私たちは感情や評価に基づいて行動に移ります。この行動は、私たちの行動パターンや意思決定に影響を与えることがあります。
正反対の評価
あるプロジェクトのリーダを選出しようと会議を行った時に、候補者の評価が正反対になったことがありました。
上司であるB課長は、候補者のAさんは仕事ができるので適任だといい、隣のC課長は、Aさんの仕事ぶりはプロジェクトリーダーとして相応しくない。と意見が分かれました。
Aさんは、よく残業をすることがありましたが、必ず締め切りを守って仕事を完了していました。
なぜ、正反対の評価になってしまったのでしょうか。
上司のB課長は、必ず締め切りを守って完了するAさんを評価していました。
努力家で責任感もあり仕事ができるAさんを適任だと判断し、推薦したのです。
一方で 、残業をよしとしないC課長は、残業をしなければ締め切りに間に合わないAさんは仕事が遅く、仕事ができないと評価し、リーダーには相応しくないと判断したのです。
このように、同じ現象や事実(この場合Aさんの仕事ぶり)を見ていても、そこからどの情報を選択するか、それをどの様に意味づけするのか(その人の信念や偏見で)によって評価や行動が全く違うものになります。
まとめ
部下との1on1ミーティングで、部下の言っていることが理解できなかったり、違和感を感じる時には、自分と部下の「推論のはしご」が違うのではと言うことを確認してみましょう。
違和感を感じた時に、すぐにそれを評価したり、フィードバックを行うのではなく、なぜそのような言動に至ったのかを、部下と一緒に「推論のはしご」をゆっくりと降りていくことによって、お互いの理解が深まり、より価値のあるコミュニケーションになっていくでしょう。