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1on1ミーティングで部下の言動に感じる違和感

1on1ミーティングをやっている時、部下の言っていることが理解できなかったり、違和感を感じることがあります。

これは一体なんなのでしょうか? また、そのような時皆さんはどうしていますか?


推論のはしご

人は誰しも、事実(現象)の中から自分の見たいものだけをみて、自分独自の意味づけをして行動に移していると言われています。

これを「推論のはしご」といい、以下のようなプロセスで説明されています。

  1. データの収集: 最初に、私たちはデータや情報を収集します。これは、私たちが目にしたり、聞いたり、経験したりする事実です。
  2. データの選択: 収集したデータから、私たちは一部のデータを選択します。この選択は、私たちの関心やバイアスによって影響を受ける場合があります。
  3. 意味づけ: 選択したデータに対して、私たちは意味を与えます。私たちの経験、信念、価値観などに基づいて、データに対する解釈を行います。
  4. 創造: 意味づけされたデータを基に、私たちは創造的に新しい情報を作り出すことがあります。この新しい情報は、私たちが持つ既存の知識や信念と結び付けられる場合があります。
  5. 割り当て: 新しい情報に基づいて、私たちは感情や評価を割り当てます。この段階では、私たちの感情や意見が強く色づけされる可能性があります。
  6. 行動: 最終的に、私たちは感情や評価に基づいて行動に移ります。この行動は、私たちの行動パターンや意思決定に影響を与えることがあります。


正反対の評価

あるプロジェクトのリーダを選出しようと会議を行った時に、候補者の評価が正反対になったことがありました。

上司であるB課長は、候補者のAさんは仕事ができるので適任だといい、隣のC課長は、Aさんの仕事ぶりはプロジェクトリーダーとして相応しくない。と意見が分かれました。

Aさんは、よく残業をすることがありましたが、必ず締め切りを守って仕事を完了していました。

なぜ、正反対の評価になってしまったのでしょうか。

上司のB課長は、必ず締め切りを守って完了するAさんを評価していました。

努力家で責任感もあり仕事ができるAさんを適任だと判断し、推薦したのです。

一方で 、残業をよしとしないC課長は、残業をしなければ締め切りに間に合わないAさんは仕事が遅く、仕事ができないと評価し、リーダーには相応しくないと判断したのです。

このように、同じ現象や事実(この場合Aさんの仕事ぶり)を見ていても、そこからどの情報を選択するか、それをどの様に意味づけするのか(その人の信念や偏見で)によって評価や行動が全く違うものになります。


まとめ

部下との1on1ミーティングで、部下の言っていることが理解できなかったり、違和感を感じる時には、自分と部下の「推論のはしご」が違うのではと言うことを確認してみましょう。

違和感を感じた時に、すぐにそれを評価したり、フィードバックを行うのではなく、なぜそのような言動に至ったのかを、部下と一緒に「推論のはしご」をゆっくりと降りていくことによって、お互いの理解が深まり、より価値のあるコミュニケーションになっていくでしょう。

田中 剛
田中 剛
1987年、大手メーカー系商社に入社。システムエンジニア、プロジェクトマネージャーとして主に金融業界を担当。数々のプロジェクトを手がけ4度の社長賞受賞。一方で、失敗プロジェクトではチームの崩壊、パートナー企業の離反などに直面、挫折を味わい、コミュニケーションの重要性を痛感。その後、大手顧客向けI Tシステムやサービスの企画・提案を担当。 2004年、世界初の実装技術で特許を取得し、販売実績5万本を超えるヒット商品を開発。また、クラウドサービスなどの企画・開発や、新規事業の立ち上げ、マーケティング施策の企画・実行など、新たな取り組みを数多く手がけた。マネジメントでは中期経営計画策定と組織運営、赤字事業の立て直し、コロナ禍での売上拡大に奔走。 現在は、価値観や強み、ありたい姿を起点とした、新規事業開発、I T人材の育成、リーダーシップ開発、組織開発の研究と実践に取り組んでいる。

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