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社外メンターによる「メンタリング」の実際(第2回)

前回はメンター制度について、そして最近注目されている「社外メンター」のメリットをお伝えしました。

一方、幹部候補へのメンタリングセッションでは「一体何が起きているのか?」と訝しく感じる方も少なくありません。

そこで今回は、私のメンターとしての実体験に基づいて、メンターとメンティー(メンタリングを受ける側)が実際にどのようなやり取りをするのか、一部を共有します。

なおセッションで話された内容には守秘義務がありますので、開示が許される範囲内、又は若干手直しして記載します。ご了解をお願い致します。


【メンティーAさん:「いきなり部署を異動させられて…」】

Aさん  「これまで25年間、営業一筋でやってきたんです。お客様にも恵まれて。」

「今は営業部門のヘッドですが、営業成績は常にトップ。このまま昇格して営業統括の役員かな?なんて思っていた矢先です、管理部門へ異動させられました。」

メンター 「異動させられた、って感じているんですね!」

Aさん  「はい、だってそうじゃないですか!私が管理部門で何をやれって言うのでしょうか?会社の機会損失になってしまう。」

メンター 「なるほど、機会損失ですか!それで今回の異動に関して、社長さんからはどういう話があったのですか?」

Aさん  「うーむ。そう言えば、今度は会社全体の視点で仕事をして欲しい、と社長は言っていました…」

メンター 「その言葉に対してAさんはどう感じましたか?」

Aさん  「取り敢えず、はい、とは答えたけど、『会社全体の視点』って?と感じました。」


【メンティーBさん:「自分のリーダーシップについて考え直せ、と言われても…」】

Bさん  「これまで自分としては、かなりやれていると思っています。工場の生産管理部門で20年くらいキャリアを積んでいるので、大抵のことは分かっています。」

メンター 「そうですか、大抵のことは分かっていらっしゃるんですね!それで、ご自身のリーダーシップ、と言われて何が思い当たりますか?」

Bさん  「やはり強いリーダーシップですね!素人集団を率いてきているので、先ずは部下に仕事をやらせないといけない。仕事をさせるのが私の仕事ですね。」

メンター 「なるほど。それでBさんの部下の方々はどんな反応ですか?」

Bさん  「うちの奴らは皆、素直に私の言うことを聞いて仕事していますよ!」

「うーん…でも、職場でも会議でも私がいつもいつも話をしていて、一方通行な感じはします。」

メンター 「一方通行、と言うと?」

Bさん  「指示には従ってくれているから良いんだけど、何か暖簾に腕押し、というか部下は皆、無表情な感じがしますね。」


【メンターはセッション中、何を考えているのか】

上記のようなメンタリングセッションで、メンターは何を考えてメンティーの言葉に耳を傾けているのでしょうか?

少し一般論的な視点も含めて、いくつか挙げてみます。

  • メンティーが抱える想いや葛藤、価値観、真意を本人に言語化してもらう。
  • メンティーを取り巻く環境や関係者について、メンティーにはどう見えているのかを言葉にしてもらう。
  • 何が明確になればメンティーは腹落ちして、行動に移せるのか本人に探求してもらう。


【メンティーはセッション中、何を考えているのか】

メンターの関わりや働きかけによって、メンティーがどのように思考しているかは、当たり前ですがメンターには見えません。そこでメンティー自身に言葉で語ってもらう必要があります。

メンターからの問い掛けに誘われ、メンティーは感情や期待などを言語化していきますが、それは内なるもう一人の自分への語りとも言えます。これが「オートクライン」と呼ばれる効果です。

人は言葉に出して初めて自分の考えていることを強く、もしくは改めて認識できると言われています。

メンティーが思いを巡らしているであろう事柄を、いくつか挙げると以下の通りです。

  • 自分が置かれている状況について、本当はどう感じているのか?
  • 思い通りにはならない事柄に関して、自分はどう対処しようとしているのか?
  • 周りの人には自分はどのように見えているのか?何を期待されているのか?


【まとめ】

今回はメンタリングセッションで、メンターとメンティーの間で具体的にどのようなやり取りがなされているのか、文章にしてみました。

対話は実際は口頭で行われるので、話すスピードや声のトーン、そして表情も逐次変化しますし、沈黙も起きます。

メンタリングセッションの時間はある意味では、メンティーにじっくり内省してもらう機会とも言えると思います。

メンターはメンティーの思考を拡げたり、深掘りしたりできるように誘いますが、飽くまでメンティーが主役です。

自分と向き合うことでメンティーが自分自身の力で「ありたい姿」を探し当てることが重要だとメンターは考えています。

つまりこの営みがメンティー自らに気付きを与え、自らの意思による行動が引き出されます。

そして幹部候補の持てる能力をさらに顕在化させることに繋がるとメンターは信じて、メンティーに対峙しています。

幹部候補へのメンタリングにご興味があれば、下記をご覧ください。

ご参照:https://www.bizmentor.jp/

砂村 義雄
砂村 義雄
上智大学経済学部卒。外資系大手企業などで財務経理本部長などを歴任し独立。 経営者を対象としたエグゼクティブ・コーチング、及び企業向けにコーチングとコンサルティングを掛け合わせた「協業型コンサルティング」を提供。また「1on1ミーティング」導入支援や管理職研修を通じて、組織開発・企業風土改革のプロジェクトを展開中。名古屋商科大学大学院 経営学修士(MBA)取得

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