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図と地の反転

有名な「ルビンの壺」の絵は、名前は出てこなくても一度は見たことがあるのではないでしょうか?

白い部分に着目すると壺が図として浮かび上がり、黒い部分は背景となり地として埋没して認識されなくなります。

逆に黒い部分に注目すると、人と人とが向き合う図として認識され、壺だった白い部分は地として背景になります。

どちらかに焦点を合わせると片方が埋没する、図と地が反転するルビンの壺は経営者にとっても大事なことを教えてくれます。


長所と短所

経営者にとっての悩みの多くは人間関係、それも大半は社員との関係性です。

経営が上手く行かなくなると「なぜ、言ったことができないのか」「どうして同じ失敗を繰り返すのか」と社員に対する不満で一杯になっていきます。

特に自分とタイプが異なる人財に対しては見方が厳しく成りがちです。

私の場合は、あまり感情を表に出さない社員に対して不満を抱きがちでした。

相手の熱意が伝わってこないのでやる気がないと捉えたり、リーダーとしては不向きであると判断していました。

しかしその社員は、店長としてアルバイトの信頼を得て、店舗の営業実績も上げていったのです。

たしかに上司の私から見れば積極性に欠けることがあるのですが、逆に部下からするといつも感情が安定していているので、安心して働くことができるようでした。

感情を表さないという点が、上司の視点から見ると物足りなさや積極性の不足と感じるのですが、 部下の視点から見ると安心感になるという、正に見方によって図と地が反転する事例です。


ピンチとチャンス

経営をしていく中で、何度かの窮地を経験することは避けられないでしょう。

売上や資金の減少や不足、人材に関するトラブルや取引先、お客様との問題など、様々な面でのピンチ、逆境が訪れます。

飲食店を経営する私にとって、2020年3月からコロナ禍は本当に厳しい試練でした。

先行きの見えない焦りから追いつめられた気持ちになっていき、不安な気持ちで毎日を過ごしていました。

しかしコロナ禍を抜けた今振り返ると、コロナを経験したお陰で会社が成長できたということがいくつもあります。

例えば、以前は現場の反対が強くてできなかった営業時間帯の変更も、コロナ禍の緊急事態の中で皆が結束して協力してくれたお陰で実現できました。

リスクが高くて取り組めなかった新業態についても、背水の陣の中で成功裏に開店させることができました。

コロナがあったお陰で、思い切って進むことができたのです。

降って湧いたような災難や哀しい出来事に見舞われることが、経営や人生の中ではあります。

しかし、どのような出来事や状況にも、そこから会社や自分の成長に繋げられる要素はあるのです。

自分や会社が成長するために、この状況から何が学べるかという視点で見る時に、図と地は反転しピンチはチャンスに切り替わるのです。


まとめ

大事なことは、無理にポジティブに捉えることでなく、出来事や人に対して常に多面的な見方をしていくことと思います。

欠点だけの人などいないのです。欠点や短所、弱みも見方を変えれば、図と地が反転し強みとして使える要素が見えてきます。

八方塞がりと思う状況や救いようのない出来事にも、自分や会社を成長させる種はみつかるのです。大事なのはどこに着目するかです。

勿論、前提は目の前の事実や厳しい現実をきちんと受け止めることです。

何でもポジティブに受け止めるということではなく、厳しい事実は受け止めつつも、その中にプラスの面を見出いだしていくことが大切なのです。

図と地を反転させることで目の前の悩みや問題が、未来のために取り組むべきチャレンジングな課題に変わり、積極的に向き合っていく姿勢になれるのです。

湯澤 剛
湯澤 剛
大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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