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WHYから始める

経営者として社員に業務を依頼する時に「何をやるのか」という具体的な作業内容のみだけを指示してしまうことがあります。

またお客様に自社のサービスを説明するときも「何ができるのか」ばかりを話してしまうことも起こりがちです。

しかし大切なのは、「何をやるか」でなく「なぜやるか」です。

なぜなら人はWHATよりもWHYに心を動かされるからです。


なぜやるのか?が人を動かす

部下に業務を指示するときに、ついやりがちなのは具体的な作業レベルの指示だけをしてしまうことです。

飲食店を経営している私の場合は、「もう一度全商品のレシピの見直しをしよう」、「新商品を開発しよう」などとつい具体的な作業のみを指示してしまいます。

しかし有名なレンガ職人の寓話のとおり、人の心を動かすのは何をやるかではなく、何のためにそれをやるかなのです。

「この街の人に食を通じて笑顔と活力をもたらす」、そのために美味しい商品を提供する、そしてそれを実現する手段として、レシピの見直しや新商品開発に取り組む、このように説明することで皆の意欲は高まります。

会社全体としても同じことが言えます。

多くの会社は、「何をやっているか」を語ることが多いですが、「何のためにやっているか」はあまり語らないのです。

そして何のためにをそれをやっているのかをしっかり語る会社が、従業員や消費者の共感を得て成果を上げていることが多いのです。

このような取り組みで成功している会社の代表例がApple社です。

コンピューターを創る多くの会社の中で、なぜApple社は独創的な商品を次々に生み出し、繁栄することができたのでしょうか?

その要因はいくつも上げる事が出来ますが、私は大きな理由は、Apple社が「世界を変える」「固定概念をなくす」といった自分達の理念、つまり何のために事業を行うかを明確に定めてそれを追求した結果だと思っています。

Apple社にとっては、iPhoneは手段にすぎません。

大事なのはなぜそれを売るかなのです。

何をするかでなく、なぜをそれをするかが人の心を動かし、顧客や従業員が共感しApple社の繁栄につながっているのではないでしょうか。


大脳生理学的な根拠

人間の脳は、大まかに言うと二層構造になっています。

論理的で分析的な思考を司る「大脳新皮質」と 、情と行動を担当する「大脳辺縁系」です。

大脳辺縁系はいわば古い脳であり、人間の本能に基づく感情などを司ります。

人は理屈でなく感情で動くと言われます。

つまり人の行動に大きな影響を与えるのは、感情を担当する大脳辺縁系なのです。

例えば、家電量販店などにデジタル機器を買いに行ったときに、販売員の人から様々な特徴や機能の説明を詳しくされても、購入する気にならないということがあります。

それよりもなぜその機器を購入するかを確認し、機器を手に入れることで、自分の生活がどう変わるか、どんな楽しい生活が送れるかをイメージした方がワクワクして購入の動機につながるのです。

大事なのは、何を購入するかよりも何のためにその機器を購入するのかです。

「何のために」に焦点をあてることで、大脳辺縁系=感情に訴えかけることになります。

そしてそれは感情を動かし、行動を促すことにつながります。

大脳生理学的な観点からも「なぜ、何のために」にフォーカスしていくことが大切なのです。


まとめ

経営者として大事なことは「何のために経営をしているか」という問いに明確に答えられることです。

ついつい目先の問題や短期的な利益を意識して、どうやって売上、利益をあげるか?

そのために何をするかということだけを考えがちになります。

しかし本当に重要なのは「なぜ経営をするのか?何のために経営をするか」なのです。

人はWHATでなくWHYに心を動かされる、社員やお客様と想いを共有できるように、WHYから始めることをいつも意識しています。

湯澤 剛
湯澤 剛
大学卒業後、1987年キリンビール社に入社。国内ビール営業、ニューヨーク留学、海外事業担当を経て、1999年飲食店チェーン経営者であった実父の急逝に伴い事業を承継。年商20億、負債40億の会社をボロボロになりながら16年かけて再生、負債も全額返済。現在は、飲食店経営と並行して中小企業経営者向けの講演を全国で行い、コーチングを活用した経営者向け個別相談も実施している。趣味・特技:空手初段

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