東芝テックグループ「1on1カンファレンス」開催レポート
2023年10月某日、東芝テックグループとして初となる、1on1カンファレンスが開催されましたので、その様子をレポートします。
※ 当ブログ記事は許可を得て掲載しています。
「1on1カンファレンス」とは何か?
東芝テックグループでは、2020年頃に1on1ミーティングを導入し、様々な研修や勉強会などが実施されています。
2022年からは一部の支社で、管理職の1on1スキルを向上させるために、「1on1実践トレーニング」*が導入され、現在までに約80名の部長職・課長職が当トレーニングを修了しています。
今回、次の目的で、第1回目となる「1on1カンファレンス」を開催することになりました。
成果の出る1on1を社内に浸透させるべく、
- トレーニング修了者に対する研修の振り返りと激励
- 1on1先行実践者の事例を共有し、活性化に繋げる
- 組織・グループ間の交流による、一体感の醸成
今回は各地域から、「1on1実践トレーニング」を修了した40名以上の管理職が出席し、学習内容の振り返りや、事例の共有、優秀実践者の表彰などが行われました。
そもそも1on1は何のため?(振り返り)
「1on1実践トレーニング」について簡単に触れておきたいと思います。当トレーニングは、1on1ミーティング本来の効果を生み出すことを目的とした、管理職の1on1スキル向上のための複合型研修プログラムです。
eラーニングによる必要知識のインプット、社外メンターによる1on1のメンティ体験、研修対象者同士の1on1セッション練習、1on1が正しくできているかどうかを判断するための実技テスト(動画検定)から構成されるもので、約7ヶ月の期間の中で、段階的に管理職の1on1スキルを向上させていく内容となっています。
カンファレンスの冒頭では、トレーニングで学習した中から、どうして1on1に取り組む必要があるのか(組織の成功循環モデル、心理的安全性など)や、1on1が機能するための要素のほか、個別スキル、3つの対話モデルなどについて、振り返り(復習)を行いました。
振り返りの最後には、「今後の1on1実践のための3つのアドバイス」が紹介され、多くの方が熱心に聴講していました。
互いをたたえ合った表彰式・認定証授与式
続いて、トレーニングを修了した直後の人たちの中から、検定テストで優秀成績を収めた人への表彰式があり、初級検定からは3名、中級検定と上級検定からは、各1名ずつが表彰されました。
また、トレーニング検定の合格者が取得できる認定資格「JRLA認定1on1メンター」の認定証授与式では、出席した42名一人ずつに認定証が手渡されました。
次に、トレーニングを終えて部下との1on1を実践している人の中から、優秀実践者が表彰されました。表彰には、「回数部門」「メンティ満足度部門」があり、メンティ満足部門には「部長・支店長の部」と「グループ長の部」に分けられており、総勢9名に表彰状と記念品が手渡されました。
表彰式の最後には、サブライズで特別賞が用意され、後発組のトレーニングにおいて、社内メンターとしてトレーニングに貢献された本部スタッフの方と、1on1の社内浸透や品質向上に大きく貢献された、中部支社長が表彰されました。
表彰式全体を通じて特に印象的だったのは、他の人の授与の際、多くの人がスマホで撮影する様子が見受けられたり、表彰された方たちが自主的に会場の隅に集まり、笑顔で集合写真を撮影されていたことなどから、管理職同士の関係性が良いことを感じさせられました。
▲優秀検定合格表彰を受けるトレーニング修了者
1on1で起きている変化(事例共有)
事例共有では、主に3つのことが行われました。
1つ目は、1on1を受けている部下(メンティ)へのインタビュー動画の視聴です。過去のトレーニング中に、管理職から多く聞かれたのは、「我々は1on1の有効性を感じるようになったが、果たして、部下たちは積極的に取り組んでくれるだろうか?」という声でした。
トレーニング後の1on1においては、アンケート結果から、メンティの満足度が高いことは分かっていたものの(全体平均4.2点/5.0満点)、実際にどう感じているのかは直接聞きづらい。そんな声に応えて、事前に1on1メンティ(2年目社員)の代表者にインタビューした様子の動画を、カンファレンスの中で視聴する機会が設けられました。
その後の、担当メンターへのインタビュー対談や複数の参加者から聞こえてきたのは、「正直、驚いた。メンティがこんな風に思っていたとは…」「感動した」という声でした。
なぜなら、メンティへのインタビューには、次のような発言があったからです。
- 新しく始まった1on1では、上司との距離が縮まって、相談しやすくなった
- 今のやり方・頻度を気に入っていて、ぜひ、今の1on1を継続してやっていただきたい
- 対面よりもオンラインの方が、緊張せず本音で話しやすい
- このような取組みは、私たち若手にとって、とてもありがたい
メンティへのインタビュー動画を見て、管理職の方々は自身の1on1に自信がついた様子に見えました。
▲メンティへのインタビュー動画を見る参加者
続く、その若手メンティを担当しているメンター(最多回数の表彰受賞者)へのインタビュー対談では、1on1への取り組み意識や、工夫点などが話され、他の参加者の方はメモを取るなど熱心に聞かれていました。
▲優秀実践者表彰 回数部門表彰者へのインタビュー対談
2つのインタビューの後には、いくつかのテーマでグループディスカッションが行われ、各グループの代表者から次のような発表がありました。
テーマ(1):1on1で起きている変化
メンティが、1on1で話したいテーマについて事前に自分で整理してくるようになったり、自分自身は、前回の1on1のメモを見て振り返りを行うようになった(Yさん)
自分自身の成長・変化として、沈黙など傾聴ができるようになった。(先ほどのインタビューで)継続することの大切さを感じたので、回数を多くやっている人の話を聞いてみたり、(1on1が)マンネリ化しそうなので、他部署や他支社の人と1on1をやってみたい(Sさん)
若い人からは、プライベートの話や相談が出てきているという変化を感じる。年配の方は業務寄りだけど、続けていくことによってプライベートな内容もでてくるのかなぁと思う(Yさん)
最初は(1on1に対して)懐疑的だった。”飲みュニケーション”で(コミュニケーションが)とれていた。でも、(1on1を)やってみて、部下の話を聞いてるようで、聞いていなかったことに気づいたことが、自分の中ですごく大きかった。”飲みュニケーション”とちがって、気軽にまじめな話をすることの大切さに気付いた。(Mさん)
以前から1on1をやっていたが、(トレーニングを終えて)全く違うものだったと実感している。社内でトレーニング受講希望者が増えている。検定合格や認定を取得して終わりではなく、これからがスタートだと思うので、スキルを活かしてテックグループの発展に活かしていきたい(Wさん)
テーマ(2):メンティのために大切にしたいこと
「心理的安全性」や「守秘義務」の意識や、メンティから頼まれたことや約束したことは、次回に必ず話す心がけている。傾聴姿勢を崩さないこと(Oさん)
テーマ(3):1on1実践の上での心配点と解決方法
慣れてくると、なぁなぁになりつつあったり雑談が多めになったりしてしまう。解決方法としては、グランドルールの読み合わせをしっかりやることによって、「場」をお互い認識しあうこと(Yさん)
▲グループディスカッションの様子
社外メンターからの激励メッセージ
カンファレンスの最後には、JRLAの松木 幹一郎メンターより、参加者の皆さんに激励メッセージがありました。
参加者が大きくうなづき反応していたのは、「事業成果を達成できない自分の不安を受け入れつつも、部下にはその不安をぶつけないこと。管理職は常に、動機が善なのか、利己的になっていないか、利他のためになっているか、内省(リフレクション)を行っていきましょう」というメッセージでした。
▲松木メンターからの激励メッセージ
管理職が変わり、部下との距離が縮まった
今回のカンファレンスの中で、多くの方から聞こえてきたのは、「2年くらい前と比べて、職場の中の雰囲気が大きく変わってきた。それは、管理職が部下の話をしっかりと聴くようになったからだと思う」という声でした。
上司の1on1スキルを高めることで、上司の人間力が高まり、部下との距離が縮まり、組織風土の改善が大きく進んでいる様子を、目の前で実感することができた、素晴らしいカンファレンスでした。
第1回目となる今回のカンファレンスは全員の大きな拍手で終わり、「来年には第2回目を、時間を延長して開催しましょう」(中部支社長談)と、再会を誓い合いました。
※ 「1on1実践トレーニング」「1on1検定」は、(一社) 日本リレーショナルリーダーシップ協会(JRLA)の登録商標です。