1on1で目指すプラチナ企業
4月3日の日本経済新聞の一面に「プラチナ企業」のことが掲載されていました。
プラチナ企業とは「働きがい」のある企業のことです。
そしてこの働きがいとは、「働きやすさ」と「やりがい」が掛け合わされている状態のことで、それは高い事業成果に結びついているとの調査結果が紹介されていました。
今回はこの「働きがい」を高めることについて、1on1ミーティングと関連させて考えてみます。
「やりがい」を高める満足要因とは
社員の「働きやすさ」を高めた企業のことを「ホワイト企業」といいます。
2019年から順次導入された働き方改革関連法の施行で、ワークライフバランスなどを重視し、制度や体制を整えていく変革は徐々に企業間に広まりを見せています。
一方で社員の仕事に対する「やりがい」を高めるアプローチは十分には実践されていないようです。
まさにその取り組みが1on1ミーティングなのですが、社員のやりがいを高めることができる適切な1on1を実践するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
米国の臨床心理学者のフレデリック・ハーズバーグの有名な「二要因理論」ですが、それによると働くうえでの「不満足」を解消する主な要因は、会社の方針や管理、監督やその関係、そして労働条件などのことで、衛生要因といわれています。
かたや、働くうえでの「満足」を導き出す要因を動機づけ要因といい、その上位二つの要因が「達成」と「承認」になっています。
「働きやすさ」は様々な衛生要因によって改善が期待できますが、「やりがい」は「満足」と「承認」という二つの動機づけ要因をしっかりアプローチしていくことが大切だといえます。
「承認」とは価値観を認めること
「あなたの部下がもつ価値観を教えてくれますか?」 1on1実践トレーニングを受講中のリーダーたちとの体験セッションで、よくこの問い掛けを使います。
人がもつ「やりがい」はその人の価値観そのものです。
したがってその本人に、自分は何にやりがいを感じるのかを、気づいてもらうことが大切です。
もし自分のやりがいが曖昧な場合は、過去を振り返り、充実した体験や満足した体験を思い出してもらうとよいでしょう。
その時の充実や満足の要因が、自身の価値観といえるからです。 承認するとは、その人の価値観を知りそれを認めることだと思います。先ずはここから始めてみてください。
今の仕事の中で「達成」する目標を決める
「君の価値観から、今の仕事でどのようなことを達成したいのかな?」
もうひとつの動機付けの要因が「達成」ですが、何を達成したいのか。それを部下との1on1で決めていきましょう。
人は自ら決めたことや、自ら言い出したことは実行に移しやすいものです。そこに「やりがい」があるからですね。
しかし大きな組織ほど、個人の達成したいことをやる自由度は少なくなります。
大きな組織の中では、夫々の個人の役割が明確に分担されているからです。
そのような環境の中でも達成したいことを設定するには、今の仕事の中でその過程の中で見つけていくことから始めましょう。
それには仕事の進め方の自由度を上げて、それを自分の工夫で実行すること。
一つの小さな過程であってもそのプロセスを目標とすることです。
したがって、上述の問いかけのように上司からのアプローチが必要になるのです。
それを1on1ミーティングで実践していきます。
1on1の継続で達成を繰り返す
部下が自らの価値観にそった仕事の目標を設定すると「やりがい」が生まれ、高いモチベーションの下で目標を達成していくことでしょう。それを継続していくのも1on1が有効です。
当初は小さな達成から、成功体験を積んでいくことが大切ですが、徐々に難易度を上げて得られる成果も大きくしていきたいものです。
目標を設定する際に、仕事の範囲を拡大したり、権限の委譲を進めたり、さらに早くさらに高い目標達成を促したり、1on1の中で部下の自律性から引出してください。
まとめ
「働きやすさ」に加えて仕事への「やりがい」が高まると、「働きがい」のある組織になります。そのような会社がプラチナ企業です。
もっと部下の「やりがい」に関与してください。それが働きがいの源です。
その働きがいは事業成果へとつながります。
1on1でそのアプローチを身に付けてまいりましょう。