もし孫子が職場のリーダーだったら?
先回のブログ(11月5日付)では、『リーダーはなぜ「孫子の兵法」を学ぶのか?』と題し、『孫子』の概要やリーダーたちに読み継がれる理由についてお話しました。
本日のブログでは、リーダーが職場で活かせるような『孫子』の知恵をケーススタディという形式でご紹介したいと思います。
ケーススタディ1:新しい職場に赴任した時の対処法
【事例】
Sさんは営業能力を買われ、業績が低迷しているA支店にマネジャーとして赴任することになりました。元々、体育会系気質でトップセールスを自負しているSさんですが、A支店にはSさんと同じようなタイプの社員はいないようです。あなたがSさんなら、赴任早々に何から着手しますか?
【回答例】
マネジャーとして、支店メンバーと個々に面談をして、それぞれの資質や能力をしっかりと把握した上で、適切なコミュニケーションを取るように努める。
「孫子の兵法」的思考では・・・
「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あやう)からず」(謀攻篇)
(敵を知り己を知った上で戦えば、絶対に負ける心配はない)
組織やチームのリーダーは、まず「自己理解」「他者理解」の視点を持つことが大切です。リーダーは自己開示したり、1on1ミーティングを実施したりするなどして、メンバーとの相互理解に努めることが望まれます。
ケーススタディ2:なかなか成果を出せない部下への対処法
【事例】
Sさんは、なかなか成果を出せない部下たちに対して、注意したり、叱責したりすることが日毎に多くなって来ました。そんなある日、部下のひとりが「マネジャーのやり方についていけない」と言い出しました。果たしてSさんは、そうなる前にどのような対応をすれば良かったのでしょうか?
【回答例】
部下に“逃げ道”を用意しておく。具体的には、「経験学習サイクル」を回すなどして、失敗を次にどう活かすかという視点を部下に持たせるようにする。
「孫子の兵法」的思考では・・・
「囲師には必ず欠き、窮寇(きゅうこう)には迫ることなかれ。これ用兵の法なり」(九変篇)
(包囲した敵軍には必ず逃げ道を用意しておき、進退窮まった敵をあまり追い詰めてはならない。これが戦いの鉄則である)
「窮鼠(きゅうそ)猫を嚙む」という故事成語があるように、相手を必要以上に追い込むことは得策ではありません。「経験学習サイクル」を回すなどして、部下に振り返させ(内省)、それを次にどう活かすか(概念化)という視点を与えるようにします。
まとめ
リーダーが自らの経験や知見に基づき部下をマネジメントすることは大切ですが、時にそれが独善的なものに陥ってしまい、必ずしも効果が伴わない場合もあります。
そのような時、『孫子』の知恵は、あなたを助けてくれる先人の知恵ということが言えるでしょう。