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経験を次の機会に活かし学習効果を高める「振り返り」(2)

あなたは自分自身に次のようなことを感じることがありますか?

「計画を立てても、なかなか実行できない」「頑張ったのに、思ったような結果が出ない」

また、リーダーとして次のような悩みをお持ちですか?

「メンバーが主体的に動いてくれない」「メンバーとの問題意識にずれを感じる」「問題を洗い出しても具体的な行動や改善につながらない」

業務の品質を高め、より早く目標を達成するためには、折に触れて「振り返り」の機会を持つことが重要です。

今回は、前回のブログ(https://www.bizmentor.jp/blog/230121a)で取り上げた「KPT」のフレームワークを使って実際に「振り返り」を行う際のポイントをご紹介します。


ケプトの基本フォーマットと3つの質問

ケプトとは、振り返るのに適した思考フレームワークで、「Keep」キープ、「Problem」プロブレム、「Try」トライという三つの単語の先頭文字をつなげたものです。

非常にシンプルで、自分自身の振り返りはもちろん、部下との1on1ですぐに活用できます。

また、チームで導入すると、チーム内の問題意識を統一し、その問題をチーム全体で解決していくようにできる非常に強力なツールになります。

ホワイトボードまたは紙を用意して、左上にKeep、左下にProblem、右にTryのエリアを作ります。

ブログの画像を参考にしてください。

たった三つの質問で超効率的に振り返る

① よかったこと、今後も続けることは何ですか?

「Keep」キープは実施した活動の中で行なっていたことで今後も続けたいことや良かったことです。

② 困ったこと、問題点は何ですか?

「Problem」プロブレムは、実施した活動の中で困ったことや問題点です。

③ 今後の活動で試したいことは何ですか?

「Try」トライは今後の活動で試したいことです。

三つの質問を使うだけで短時間で効果的に振り返ることができるのです。


7つのステップで振り返る

具体的な進め方について解説していきます。

① 活動を思い出す

どのような活動を行なったのか、その時何が起きたのか思い出します。結果だけに目が行きがちですがそれだけではいけません。そこまで時間をかけて取り組んだことの一つ一つが結果につながっています。活動全体をしっかり思い出すことが大切です。

② うまくいった行動を確認する

思い出していくと、うまくいかなかったことや失敗した点などが気になるかもしれません。しかし、そういうことは一旦置いておき、まずはうまくいった行動だけを確認します。うまくいった行動の中で、次も続けた方が良いことがあるはずです。これがキープです。「Keep」キープのエリアにどんどん書き出していきましょう。

③ 問題を洗い出す

結果としてうまくいかなかったことだけではなく、そこまで時間をかけて取り組んだことの一つ一つの中で、思ったようにできなかったことをあげていきます。ここでは細かなことであっても気にせず、ブレストのような形で思いついたものをどんどん書き出していくことがポイントです。また、うまくいったけれど理想の結果とはまだギャップがあるという場合そのギャップもあげましょう。これがプロブレムです。「Problem」プロブレムのエリアにどんどん書き出していきましょう。

④ 原因を検討する

「Keep」キープ、「Problem」プロブレムへの書き出しが終わったところで、ここまでに上がってきたキープやプロブレムをよく見てください。書き出された一つ一つの項目がキープやプロブレムとなった原因を考えます。「Keep」キープで良かったことは、どのように良かったのか、なぜ良かったのか。一方で「Problem」プロブレムに上がった項目については、それによってどのような不利益があったのかを検討してみましょう

⑤ 改善策を考える

「Keep」キープ、「Problem」プロブレムそれぞれの項目について原因の検討が終わったら、これまでより良くなりそうなアイデアを出していきます。改善策と言うと、「良くないところ、ダメなところを直す」というイメージを持つことが多いのですが、それだけではなく、「良いところをさらによくする」ということも考えていきましょう。これもまた非常に重要な改善策です。これがトライです。「Try」トライのエリアにどんどん書き出していきましょう。

⑥ 試したいことを考える

前のステップでは「Keep」キープ、「Problem」プロブレムに対する改善策を考えました。しかしキープやプロブレムに特に関連していなくても、この後より良くするためのアイデアがひらめくこともあります。これもトライとして「Try」トライのエリアに書き出していきましょう。

⑦ 試すことを選択する

「Try」トライのエリアには改善のアイデアがたくさん上がっていきます。すべての改善のアイデアを実施しようとすると、やることが多すぎて手が回らなくなり、かえって悪くなってしまうことがあります。そうならないために、上がったアイデアの中から、より効果がありそうなものをいくつか選んで実施します。トライは後で選ぶことを前提として、実施するかしないかを気にせず多く出しておくほうがいいのです。ただし、「Try」トライのエリアに書かれた項目が抽象的だと何をすれば良いかわからないので、実際に行動できるように、できる限り具体的なアクションをあげるようにしましょう。


繰り返すと効果が加速度的に増していく

7つのステップで少し詳しく解説しましたが、要するに活動を思い返して、たった3つの質問で振り返る

  1. よかったこと、今後も続けることは何ですか?
  2. 困ったこと、問題点は何ですか?
  3. 今後の活動で試したいことは何ですか?

そして、少しでも良くするためのアイデアを出してアクションに落とすという非常にシンプルな仕組みなのです。

さらに、このケプトを使った「振り返り」の素晴らしいところは、繰り返して行うことでその効果が加速度的に増していくというところにあります。

良かったけれど、さらによくするために試したいことや、やってみて課題と感じたことの改善策で試してみたいことは「Try」トライのエリアに書き出されます。

そして、前回の振り返りで書き出したトライの中で、実行して良かったものが次の Keep になっていきます。

つまり、キープには続けていくべき良い行動がどんどん蓄積されていくのです。(画像の矢印が繰り返されていきます)チームで使うと、特に効果絶大です。

ナレッジマネジメントの仕組みが、このケプトで実現されているからです。

さらに、ケプトのフレームに落とし込んでいく際に、文字にすることであなたの頭の中にあったアイデアを文字情報として他の人に伝えることが容易になるという「可視化」効果もあります。

他の人の考えることを知るきっかけにもなります。

非常にシンプルなケプトのフレームワークですが、継続して取り組むことでチームの雰囲気やパフォーマンスが劇的に変わっていきます。


行動を起こさなければ何も変わらない

ケプトを使った「振り返り」をただ行っただけでは、単純により良い未来が待っているとは言えません。

「Try」トライのエリアに書き出したアクションを実際に行動に移して初めてその効果が発揮されます。行動を起こさなければ何も変わりません。

しかし、「振り返り」で決めたアクションが実行されないということがよく起きます。

この原因は大きく二つあります。

①アクションが抽象的で行動に移せない場合。(・・・のやり方を変える 等)

②心構え的なアクションになっている場合。(・・・をきちんとやる 等)

「振り返り」の中で、少し時間が掛かっても、行動可能なアクションまでしっかり落とし込むように意識してください。


まとめ

いかがでしたか?

2回にわたってご紹介した「KPT 法」は非常にシンプルな思考法ですから、日々の振り返りのためのセルフコーチングや、部下との1on1ではもちろん、チームのミーティングでもそのまますぐに活用できそうではないですか?

繰り返しになりますが、「振り返り」をただ行っただけでは素晴らしい未来にはなりません。

「Try」トライのエリアに書き出したアクションを実際に行動に移して初めてその効果が発揮されるのです。ぜひ行動を起こして素晴らしい未来を手に入れましょう。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

田中 剛
田中 剛
1987年、大手メーカー系商社に入社。システムエンジニア、プロジェクトマネージャーとして主に金融業界を担当。数々のプロジェクトを手がけ4度の社長賞受賞。一方で、失敗プロジェクトではチームの崩壊、パートナー企業の離反などに直面、挫折を味わい、コミュニケーションの重要性を痛感。その後、大手顧客向けI Tシステムやサービスの企画・提案を担当。 2004年、世界初の実装技術で特許を取得し、販売実績5万本を超えるヒット商品を開発。また、クラウドサービスなどの企画・開発や、新規事業の立ち上げ、マーケティング施策の企画・実行など、新たな取り組みを数多く手がけた。マネジメントでは中期経営計画策定と組織運営、赤字事業の立て直し、コロナ禍での売上拡大に奔走。 現在は、価値観や強み、ありたい姿を起点とした、新規事業開発、I T人材の育成、リーダーシップ開発、組織開発の研究と実践に取り組んでいる。

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