
一生忘れられない、上司の「ひとこと」とは
何十年も経っているのに、いまも忘れないあのひとこと。 それは、素晴らしい上司たちによってもたらされました。
自分の人生を救ってくれた、可能性を広げてくれた。そういう至極のひとことを、ご紹介します。
「ほかの仕事しなよ」
「君、なかなかやるねぇ」
31歳の時、前社長から言われました。
ある仕事の原稿を見ていただいた時のことです。
この時、初めて褒められました。
2カ月前くらいには、たいへん厳しいご指摘もいただいたので、嬉しかったというより安心しました。
これ以来、ときどき部屋に呼んでいただくようになりました。
もっとも、このセリフの前には、「君、ぼーっとしてるかと思ってたけど」という枕詞もついていました(汗)。
「吉森君さ、人事の仕事が上手なのはもうよく分かったから、ほかの仕事しなよ。」
40歳くらい。課長から部長になるころだったでしょうか。
ほぼ人事一筋という感じだったし、これからもそうだと思っていました。
いささか驚きの言葉でしたが、自分の視野と可能性をぐっと広げていただいた一言でした。
「あれ、君たちが考えてやったの? 本社じゃなくて? そうか~、よかったよ!よかった!」
以前のブログにも書きましたが、事業所での表彰式を責任者に事前の報告もなく、がらっと変えてしまった後で、その責任者に呼ばれて。
「聞いてないよ」と叱られるかもしれないと思ったのに、報告がなかったことには触れもせずに、内容だけを評価してもらえました。
懐の広い方でした。
「僕がついていくから」
「俺にこうしてほしいと思っていること、あるだろ」
どうしようかなと思いましたが、「額に入れて部屋に置いといてくれ」と言われるので、「傾聴」と印刷してその方の部屋に置きました。
大変に厳しい方でしたが、実は自分にも厳しく、そして大きなあたたかさのある方でした。
「謝るの上手だねぇ」
上司から社長あてにお詫び(と釈明)のメールを出していただかないといけなくなった時のこと。
私が書いたそのメールの案を見られて。
こちらが申し訳ないと感じているときに、「謝り慣れてるんだな」とか、笑いながらこういうことを言われると、この人のために頑張ろうという気になりますよ。
「きょうはね、吉森君の仕事ぶりを見に来たのですよ」
これも前社長の話。
私が本社から工場に転勤して3か月後くらいに出張して来られました。
お昼ご飯の時に、こう言われました。
もちろん、忙しい人が私のために来られることはないわけですが、「気にかけていただいている」ことが心に沁みました。
「(私のよくない言動を指摘して)もうやめろよ。僕がついていくからこれから謝りに行こう」
これは会社の上司ではないのですが、恩人です。
人として助けられました。
言いにくいだろうのにはっきり指摘していただきました。
また注意はしても、一緒に謝りに行ってくださる方って、まずおられないように思います。
まとめ
上司の役割は難しいものではあります。
しかし、部下が一生忘れられない「ひとこと」を通じてそのひとに大きな財産を残せる存在でもあります。
読者であるリーダーの皆さん、ネクストリーダーの皆さんのご参考になれば幸いです。