ドラッカーの5つの質問(3) 顧客にとっての価値はなにか
ドラッカーの5つの質問の3つ目、「顧客にとっての価値」について考えてみた。
第1の質問、第2の質問で、ミッションが策定され、その対象となる顧客が特定された。
第3の質問、この「顧客にとっての価値」とは何か。
事業や仕事を成功させるには、対象となる顧客が、何を望んでいるかを知る必要がある。
シンプルな5つの質問
シンプルな質問であるからこそ、答えにくい。
しかし、それを深く考えることにより、いまの組織がどのような状態か把握でき、将来に向けてのミッションと行動が見えてくる。
そのためには、第1から第5までの質問を何度も繰り返し、検証することが必要である。
ドラッカーは「顧客にとっての価値は何か」という第3の質問こそ、5つの質問の中で際立って重要だと述べている。
ドラッカーの5つの質問
顧客にとっての価値は何か
顧客が求めていることや価値ををしっかり捉えることで、必要な行動が分かるようになる。
しかし、顧客が本当に求めていることを認識しなければ、真の成果はあげられない。その事例をみてみよう。
事例:あるホームレスの支援施設にて
当初、施設運営者は、施設の価値を「宿泊と食事の提供」と位置付けていた。
ホームレスに聞き取り調査をしたところ、たしかに宿泊と食事の提供は評価されていた。だが、本当に望まれていたことは、ホームレスの状態から抜け出す事であった。
顧客にとっての価値を知った施設は、生活立直しの支援サービスを柱とし、成果を上げた。
わかりやすい事例ではあるが、顧客の声に耳を傾けることにより、顧客にとっての価値を知る事ができる。
これまで、日本の工業製品は、高品質・高性能であれば売れていた。顧客は買い続けてくれるものと思っていた。
しかし、いまや顧客のニーズが変わり、新興国の製品に負けてしまっている。
顧客の価値を見誤った、一例かもしれない。
まとめ
顧客の望んでいることを知り尽くす。
それは、真摯に顧客に向き合い、顧客が何に価値を見出しているかを知ること。
そして、その価値を客観的な事実として受け入れ、意思決定の基盤とする事がとても大切である。